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脆弱を覆う優しさ
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しおりを挟むとても言いにくそうにそう言った榛名くんを見上げる。
会話を交わした事すらなかったから、榛名くんがこんなに近くに居るのも勿論初めてだった。
「…榛名くんて、背高いね」
「…は?」
いきなりそんな事を言い出したあたしに、榛名くんはそこでようやく首だけで振り返った。
…と思えば、すぐにあたしの手からカーディガンを奪うように手に取って、
「…いいから、大人しくこれ着て帰って」
そんな言葉と共に、今度は広げたそれをあたしの肩から羽織らすようにパサリと被せた。
ふわりと鼻腔を擽るのは、清潔感が溢れる中にも少し甘さを孕んだような、とてもいい匂い。
その匂いに、何故か胸がギュッと苦しくなった。
落とした視線の先に映る紺色のそれを、きゅっと握り締めた。
「別に、下着くらい見られたってどうって事ないのに」
「…どうって事ないって…、変な男が寄って来たらどうすんの」
「そんなの慣れてるよ」
「……それ、慣れるもんなの?」
頭上から降り注いできたその言葉に反応したあたしは俯き気味だった顔をパッと上げた。
そしてあたしより高い位置にある榛名くんの顔を見上げた瞬間、「え…」と思わず間抜けな声がぽろりと口から零れた。
「…榛名くん、顔真っ赤…」
「…っ」
独り言のようにそう呟けば、榛名くんは赤くなった顔をバッと逸らして、手で口元を隠すように覆った。
艶のある黒髪から覗く耳も、シャツから覗く綺麗な首元も、ほんのりと赤く色づいている。
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