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隠された本音
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触れたところから伝わってくる榛名くんの熱に見事に浮かされて、頭がくらくらとし始めた、その時だった。
――ガタンッ、
シンと静まり返っていた空間に突如響いた物音。
同時にびくっと肩を震わせたあたし達は、これまた同時にバッと顔を離した。
「…だ、誰か入ってきた…?」
ひそひそ話しをするような音量でそう問いかけたあたしに、ドアの方に向いて座っている榛名くんは「…いや」と首を横に振る。
「…此処からじゃ見えないけど、多分…手前の教室に誰かが入っていったんだと思う」
榛名くんの言う通り、耳を澄ませば誰かが話している声が微かに聞こえた。
「…そ、っか」
微かに乱れる息を整えながら小さくそう相槌を打つ。
どこを見たらいいのか分からずに一向に定まらない視線を泳がせながら、意味もなく髪を触った。
うるさい心臓の音が榛名くんに伝わるんじゃないかとひやひやした。
そんなあたしに再び手を伸ばした榛名くんは、あたしの濡れた唇を親指で優しく拭うと、
「…ごめん」
そう小さく謝った。
そして知らないうちに床に落ちていたプリントを拾う。
拾ったプリントを机に置いて顔を上げた榛名くんの頬から、赤はもう消えていた。
…それだけの事がどうしてこんなにも寂しくなるんだろう。
「…暗くなる前に終わらせよ」
「…うん」
そう言った榛名くんに小さく頷いて、2人で最初と同じようにプリントに向き直った。
“なんで今、謝ったの?”
訳の分からない数字と記号が羅列された問題を眺めながら、喉元までせり上がってくるその言葉を何度も飲み込んだ。
――ガタンッ、
シンと静まり返っていた空間に突如響いた物音。
同時にびくっと肩を震わせたあたし達は、これまた同時にバッと顔を離した。
「…だ、誰か入ってきた…?」
ひそひそ話しをするような音量でそう問いかけたあたしに、ドアの方に向いて座っている榛名くんは「…いや」と首を横に振る。
「…此処からじゃ見えないけど、多分…手前の教室に誰かが入っていったんだと思う」
榛名くんの言う通り、耳を澄ませば誰かが話している声が微かに聞こえた。
「…そ、っか」
微かに乱れる息を整えながら小さくそう相槌を打つ。
どこを見たらいいのか分からずに一向に定まらない視線を泳がせながら、意味もなく髪を触った。
うるさい心臓の音が榛名くんに伝わるんじゃないかとひやひやした。
そんなあたしに再び手を伸ばした榛名くんは、あたしの濡れた唇を親指で優しく拭うと、
「…ごめん」
そう小さく謝った。
そして知らないうちに床に落ちていたプリントを拾う。
拾ったプリントを机に置いて顔を上げた榛名くんの頬から、赤はもう消えていた。
…それだけの事がどうしてこんなにも寂しくなるんだろう。
「…暗くなる前に終わらせよ」
「…うん」
そう言った榛名くんに小さく頷いて、2人で最初と同じようにプリントに向き直った。
“なんで今、謝ったの?”
訳の分からない数字と記号が羅列された問題を眺めながら、喉元までせり上がってくるその言葉を何度も飲み込んだ。
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