雨晒し

Liz

文字の大きさ
上 下
84 / 141
隠された本音

しおりを挟む

「この制服、S高のやつじゃん!」


その男の子は目を大きく見開いてそう言いながら、あたしを指差す。

人に指を差すとか、常識のない奴。…なんて、そんな思考は所詮後付けでしかなかった。




「ってことは、司が前言ってた“ナンパしたらすぐヤれた女”ってこの子?!」


次に浴びせられた言葉に、まるで胸を引っ掻き回されたみたいに苦しくなった。

多分、頭の中が真っ白になるって、きっとこういう事だと思った。





「てっきり大した事ないのかと思ってたけど、なんだよ~普通に可愛いじゃん!」


興奮気味にあたしに近寄ろうとするその男の子を司が「おい」って慌てた様子で引き止めようとする。



「マジでもういいから、行くぞ」

「えー何それつまんな。いいじゃん、お前女なんか腐るほど寄ってくるんだしさ、ひとりくらい俺にマワせよ」



早くこの場から去りたそうにしている司と、クソほどの空気も読めていないその男友達。

あたしはそんな光景を、ぼんやり見てた。
しおりを挟む

処理中です...