雨晒し

Liz

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特別の合図

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その名前に、心臓が一度ドクンッと大きく跳ねた。

それはユカが榛名くんの名前を口にするのが珍しいからっていうのもあるけど、ただ単にその名前に反応してしまったって事が大半を占めていると思う。




「んー、榛名くんの地元ぉ?聞いた事ないなぁ。希子は?知ってる?」


顎に手を当てて悩むような仕草をしながらマユミはナチュラルにあたしに話しを振ってきた。



「…いや、あたしも知らない」


少し小さな声で返した言葉は、嘘だった。


本当は知ってる。

一度だけ地元の話しになった時に聞いた事がある。あたしの記憶力が正しければ、ユカが今言った通り榛名くんの地元は東町だったはず。


でもここで肯定すれば、なんであたしが知ってるの?って思われるのは目に見えてるし、知らないフリをするのが最善だ。


そんな事を考えては自己完結しているとマユミが「だよね~?」と言葉を続けた。


「榛名くんとまともに話した事ないし、知らないよね~」

「…うん」

「っていうかユカちんが榛名くんの話しするとか珍しくない?榛名くんがどうかしたの?」


マユミが不思議そうな視線を向ければ、ユカはスマホの画面に視線を注いだまま、大して興味もなさそうに口を開いた。


「あたしのバイト先あの辺りなんだけどさ、何回か榛名のこと見かけたから」

「え、そうだったんだ?」

「うん。ちなみに昨日も見かけた」

「マジ?ユカちん、榛名くんに話しかけたの?」


淡々と並べられるユカの言葉に耳を傾けながら、飽く迄“興味ありません”っていう風を装って、あたしもスマホを弄っていたけど、



「あいつ、聖蘭学院の子と一緒に居たし話しかけたりしてないよ」


ユカのその言葉にぴたりと指が止まった。
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