3 / 23
1章
第3話:選ばれし者
しおりを挟む...「ちょっと待ってくれ、オレは確かにミアに子供たちを託された、しかし、それはついさっきの事。それなのになぜあなたはそれを知っている・・・」
ゼインの問いに、老人は静かに目を閉じ、小さく息を吐いた。
「ワシは村の長をしえおるリオと申す者じゃ。
ミアは、この村の守り手の血を引く巫女じゃった。
彼女には未来の欠片を見る力があった。
お主が来ることも……そして、あの子たちを託すことも、すでに彼女の中では決まっていたのじゃ」
「未来を……見る?」
「予知とは少し違う。可能性を読む力だ。お主が現れる未来を彼女は“選んだ”のだろう」
ゼインはしばらく言葉を失っていた。
超常的な話には馴染みがないわけではないが、
それを信じるかは別の問題だった。
しかし、ミアが最後に見せた安らかな表情と、光に包まれて消えた姿が、
全てが“偶然”ではないことを物語っている気がした。
「……なら、なおさら、俺はこの命を無駄にできないな」
リオは微笑んで頷いた。
「そう言ってくれると思っておった。
あの子たちは、まだ幼くて頼りない。
だが、あの兄妹には……特別な力が眠っておる」
「特別な……力?」
「その力が目覚めれば、この世界にとって大きな希望にも、
災いにもなりうる。
だからこそ、守る者が必要なんじゃ。ミアが託したお主に」
ゼインはリオの言葉を反芻しながら、空を見上げた。
青く広がる空に、かつていた世界の灰色の空はなかった。
「……それが、俺の“次の任務”ってわけか」
リオは重々しく頷いた。
「そうじゃ。これはこの世界を救うかもしれぬ大切な任務じゃ」
「だったらまずは――飯と仕事の確保だな」
ゼインの現実的な返しに、リオは声を上げて笑った。
「うむ、それでこそよ。生活が立たねば未来も守れん」
リオはゼインに村の中でできる仕事のいくつかを紹介した。畑仕事、木材の切り出し、水路の整備。どれも地味だが、村にとっては欠かせない作業ばかりだった。
「明日からでいい。好きなものを選んで、村の生活に慣れるとよい」
「助かる。じゃあ、まずは薪割りからだな」
「ふむ、ならば鍛冶屋のヴァルドのところへ行くといい。手荒な男だが、腕は確かじゃ」
「了解した」
そう言ってゼインは一礼し、リオの元を後にした。
異世界での生活。与えられた運命。
だがそれ以上に、今の彼にとって大事なのは――
「まずは、あの子たちを笑わせてやることから始めるか」
ゼインの中で、静かに何かが芽吹き始めていた。
33
あなたにおすすめの小説
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる