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転生令嬢は男の浮気を許さない
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ガリルタリア王国には、魔力のある貴族の子息子女が通う学園がある。
その学園では、卒業式の後にパーティーが行われるのだが、いつもならお祝いムードで楽しく明るいはずのパーティー会場が、今年に限ってはなぜか緊迫した空気に包まれていた。
会場の中央には、この国の第二王子であるルドリックが、パーティーに相応しい正装した姿で立っていた。金髪に碧眼、服の上からも想像がつく肉体の逞しさと顔形の麗しさは、学園の令嬢たちの憧れの的となっていた。
しかし、なぜか祝いの場であるはずのこの場所で、ルドリックの表情は怒りに満ちている。
ルドリックの腕には、小柄で愛くるしい亜麻色の髪の少女がぴったりとしがみついていた。二人の背後には、この国の高位貴族の令息たち数人が、ルドリックと同じく怒りの形相を隠すことなく、まるのその少女を守るかのように立ち並んでいる。
そんな彼らに対峙するように、一人の美しい令嬢が堂々と胸を張って立っていた。ルドリックの婚約者であるカーティス公爵家の一人娘、セシーリアである。銀色の髪に紫の瞳をした、息を飲むほどの美貌を誇る彼女は、自分の前に立つ集団を無表情で見つめていた。
緊迫感のある空気を醸し出すその集団を、パーティーの参加者たちは遠巻きに固唾を飲んで見守っている。
やがてルドリックが一歩前に出たかと思うと、凛とした美声でセシーリアに言い放った。
「身分低き者を蔑み、苛めを行って楽しみを得るなど許されることではない。分かるか、セシーリア、おまえのことだぞ!」
セシーリアは手にした扇で口元を隠したまま、小首を傾げてみせた。絹の糸のような美しい髪がさらりと揺れる。
「苛め? なんのことでしょう?」
「しらばっくれる気か! おまえはこのミマス子爵令嬢ルルのことを、執拗に虐めていたそうじゃないか。顔を合わせれば罵り、ルルの家が貧しいことを知っていながら物を隠したり壊したり、マナーの授業ではドレスにワインをかけて汚し、挙句の果てには階段から突き飛ばして怪我を負わせたとか。覚えていないとは言わせないぞ!」
ルドリックの大きな声に動揺することなく、セシーリアは平然と答えた。
「記憶にありませんわ」
「セシーリア様、謝って下さい。わたし、謝ってもらえればそれでいいんです」
大きな目を涙で滲ませながらそう訴えるルルは、いかにも弱々しく儚げで、その姿は男たちの庇護欲を誘う。
「ああ、ルルは優しいな。それに比べてセシーリア、おまえときたら……取り合えず、今すぐルルに謝れ!」
ルドリックの言葉に、そうだそうだと後ろの取り巻き令息たちが一斉にセシーリアをがなり立てる。セシーリアはそれを無視すると、ルドリックの腕にしがみついている涙目のルルをチラリと見た後、視線をまたルドリックに戻した。
「ルドリック殿下」
「なんだ。謝罪するなら、わたしにではなくルルにしろ!」
「いえ、謝る気は毛頭ありません。苛めなどやっておりませんし。そもそも、そのルルとかいうご令嬢とは、わたくし今が初対面ですし」
「そんなっ! いつもわたしに意地悪したり、酷いこと言ったりしたじゃないですか!」
ボロボロと大粒の涙を流し始めたルルの肩を、ルドリックが優しく抱きしめた。
「ルル、こんなに泣いて、かわいそうに」
「ルド、わたし嘘なんて言ってないの。ホントよ、ホントに意地悪されたの」
「分かってるさ。悪いのはすべてセシーリアだ」
顔を上げたルドリックは、汚物を見るかのような目をセシーリアに向けた。
「もうこれ以上は我慢ならない。セシーリア、おまえとの婚約は今ここで破棄する。身分低き者、弱き者を助けるどころか蔑むような性根の腐った女、わたしの伴侶に相応しくない。わたしの妻に相応しいのは、未来の国母足り得るのはルルのような心優しき女性だ。よって、ミマス子爵令嬢ルルとの婚約をわたしは宣言する」
ルドリックの胸の中で、ルルがニヤリと笑ったのがセシーリアには見えた。
王家とカーティス公爵家との間に結ばれていた婚約の突然の破棄宣言に、会場は一気にざわめきたった。目の前で起きたあり得ない出来事に、皆顔を青褪めさせている。気の弱い令嬢など、ショックのあまりフラついてしまい、パートナーに支えられて、なんとか立っているような状態である。
異様な雰囲気の中、パーティー参加者たちがちらちらと盗み見ているのは、婚約破棄を突きつけられたセシーリアである。
王族とはいえ、現在、国内でも最も力ある貴族家の令嬢である彼女に対して、公衆の面前での婚約破棄はあまりにも礼を欠いた行いである。しかも、一人娘のセシーリアをカーティス公爵が目に入れても痛くないほど溺愛していることは、社交界でも有名な話だった。彼女がどういった態度に出るかによって、国が割れる可能性も出てくるとあっては、皆が息を潜めて成り行きを見守のも当然と言えた。
そんな中、セシーリアは持っていた扇でポンと手を打ちつけた。彼女が言葉を発する予兆と捉え、会場中がはっと息を飲む。
「殿下」
その声を耳にしたルドリックが、面倒臭そうにセシーリアに顔を向けた。
「なんだ。今更謝ってももう遅いぞ。婚約破棄は覆らない」
「婚約破棄は承諾いたしますわ。こちらとしても、願ってもないことですので」
「は?」
「え?」
「「「「「ええ?」」」」」
セドリックとルル、そして取り巻き連中が驚きの声を上げる中、これまで無表情を通していたセシーリアが美しく、それでいてなぜか背筋が凍るようなぞくっとする笑みを、その整った顔に浮かべた。
かと思うと、つかつかと早足で前に出たかと思うと、握った拳でいきなりルドリックの顔に渾身のパンチを喰らわしたのである。不意をつかれたルドリックは、思いっきり吹っ飛んだ。
その場にいた全員がポカーンとする中で、セシーリアだけが楽しげな笑顔で呟いた。
「はい、一発目~♪」
そのなんとも言えぬ恐ろしい笑顔に、会場中が凍りついた。
カーティス公爵家令嬢セシーリアは転生者である。前世は日本という国でオタク女子をしていた。
前世のセシーリアが趣味として生きがいにしていたのは乙女ゲーム。これさえあれば三次元の男なんていらないと声を大にして言えるほど、ゲームの攻略対象に愛を注ぎまくっていた。
とはいっても、特定の推しキャラは作らず、すべての攻略対象を平等に愛でていた。一人攻略が完了しては次のキャラを攻略、そしてまた次のキャラを攻略する、という風に、色々なキャラとの疑似恋愛を、かなりの本気モードで楽しんでいたのである。
ゲームのキャラたちは最高だった。がんばれば必ず振り向いてくれる。相思相愛になった後は浮気なんて絶対にしない。
最高だった。浮気しない上に顔も良く、場合によっては金も地位も権力も名誉さえも持っている。もう本当に最高だった。
それに比べて、三次元の男のダメっぷりときたら……。
前世のセシーリアには二人だけ付き合った男がいた。
一人目は高校生の時。相手は同じクラスのどこにでもいそうなフツメンだった。
特別いいところがあったわけではないけれど、話して気が合ったし、とても優しい人でもあったから好感を持っていた。付き合ってくれと告白された時にはすごく嬉しくて、満面の笑顔で頷いた。が、そいつは付き合って一年が過ぎた頃に浮気した。当然、すぐ別れた。
二人目は大学の時。相手の男とはバイト先で知り合った。その男は前世のセシーリアに一目惚れしたらしく、顔を合わせるたびに付き合ってくれと告白し続けてきた。
一度目の恋愛で男というものに不信を抱くようになっていた前世のセシーリアは、男からの告白を断り続けた。しかし、それが一年も続くとさすがに絆されたし、信じていい人なんじゃないかと思い始めてしまう。
バイト仲間たちからも「アイツはマジでいい奴だから」とか「どうして付き合ってあげないのよ、超優良物件じゃん」なんて背中を押されたこともあって、ついに告白を受けて付き合うことになった。が、そいつも浮気した。付き合って二ヵ月目のことだった。泣いて謝られたけれど、当然、許さずにすぐ別れた。
それからである。三次元の男に見切りをつけて、乙女ゲームの攻略キャラとの恋愛を楽しむようになったのは。
前世、セシーリアがどういう風に人生の幕を閉じたのかは覚えていない。けれど、強く強く心に刻み込まれていて、忘れようにも忘れられないことがあった。それは。
浮気する男は糞野郎だ、ということだ。
セシーリアが前世の記憶を思い出し、生まれ変わったこの世界がプレイ済みの乙女ゲームだと気付いた時、かなりガッカリ落ち込んだ。
なにせ自分はゲームの中の悪役令嬢で、浮気されるために存在するようなキャラだったからである。
公爵令嬢セシーリアはメイン攻略対象ルドリックの婚約者である。ヒロインがルドリックを恋の相手に選んだ場合に限り、断罪されて修道院送りにされることになる。
メイン攻略対象だけに、ヒロインがルドリックを選ぶ可能性は高いだろうとセシーリアは思った。だから、第二王子の婚約者にと、王家から打診が来ていることを両親から聞いた時、嫌だとはっきり断った。大泣きして駄々をこねた。五才の時の話だ。
しかし、ゲームの強制力なのかどうなのか、結局は断り切れずに婚約者にさせられた。死ぬほど嫌だったけど、どうにもならなかった。
しばらく食事も喉を通らないくらい落ち込んだ。そうしたら、ルドリックの両親である国王夫妻が気を使ってくれて、なにか一つ願いを聞いてくれると言ってくれた。だから言った。
「将来、ルドリック殿下が公衆の面前でわたしに婚約破棄を付きつけるようなことがあったら、その時は絶対に婚約を解消させて下さい。そして、殿下を一万発殴る許可をお願いします」
国王夫妻は驚いた顔をしたが、結局はセシーリアの願いを聞き届けてくれた。一つと言われたのに二つのお願いをしたけれど、いいよいいよと笑顔で承諾してくれた。素手で殴ると手を痛めるから、道具を使って殴っていいよとまで言ってくれた。一万発では少ないから、十万発にしたらどうかとも言われた。
公衆の面前で婚約破棄を宣言するなんて、普通はありえないことである。そんなことになる筈がないと国王夫妻は思ったに違いない。だからこそ、セシーリアからの願いを聞いて、軽い気持ちで頷いてくれたのだろう。
念のため、正式な魔法契約書を作成してもらった。契約を交わすのは国王夫妻とセシーリア。契約が正しく履行されなかった場合、非がある方の寿命を五十年短くするという契約になった。
どういうことかと言うと、婚約破棄が公衆の面前で行われた場合、セシーリアにはセドリックを十万発殴る権利(道具使用可)が与えられることになる。それを邪魔しようとすれば、寿命がそう長くないこの世界、国王夫妻はおそらく即死することになるだろう。なんとも恐ろしい契約だが、まあ、殴らせればいいだけの話である。
実際のところ、ヒロインが誰を選ぶのかは、その時になってみないと分からない。セシーリアが覚えている限り、攻略対象は全部で五人いた筈だった。
もしもヒロインが別の攻略対象を選び、ルドリックが浮気をしなかったら、その時は諦めて結婚しようと思った。三次元には見切りをつけているので愛せないだろうが、逆に期待することもない。前世でプレイヤーとして対峙していた時には、愛を注ぎまくったキャラでもある。結婚する以上は良い関係を築けるように努力しようと思った。裏でこっそり、恋愛小説のヒーローにでも愛を捧げながら生きればいい。
そうして月日は巡り、セシーリアとルドリックはゲームの舞台となる学園に入学した。ヒロインであるルルも入学してきた。攻略対象キャラも全員集結した。
その結果、ヒロインのルルは色々とあった末にルドリックと恋に落ちた。そして、ルドリックは卒業パーティーの最中、つまり公衆の面前で、セシーリアに婚約破棄を突きつけたのだった。
最初の三発までは拳で殴ったセシーリアも、四発目からワインのビンで殴ることに切り替えた。ルドリックの鼻は折れ、前歯は砕け散り、顔中腫れあがって見るも無残になったが、これ以上殴ると死ぬかもしれないくらいに痛めつけた後、セシーリアはすぐ隣で恐怖にがたがた震えて失禁しているルルに笑顔で声をかけた。
「ルル嬢、殿下に治癒魔法をかけてあげて下さらないこと? あなた、確か治癒魔法を使える珍しい光属性持ちでしょう? ほら、早く」
腰が抜けて動けず、恐ろしさのあまりボロボロと涙を流しながら、ルルは震える声でセシーリアに問う。
「え、いいの? 治癒してあげてもいいの?」
「勿論いいですわ。あなたが治癒魔法を使えることを見越して、殴ることを罰にした契約にしたのですもの。ほらほら、死んでしまってはいけないから、早く治して」
「は、はい!」
ルルが魔法をかけると、血だらけだったルドリックの顔が綺麗に戻った。それをまた、セシーリアがぼこぼこに殴りつけて血反吐を吐かせる。
第二王子の護衛騎士がセシーリアを止めようとしたものの、持ってきていた契約書を見せると、彼らは黙って後ろに下がっていった。魔法契約書で交わされた約束は絶対である。ルドリックを庇うことで、国王夫妻を死なせるわけにはいかないからだ。
知らせを受けた国王夫妻が卒業パーティー会場に駆け付けた時、そこはまるで殺人現場のような血の海と化していた。セシーリアは返り血を受けた血塗れ状態で、けれども最高に機嫌良さそうに美しい所作で彼らにカーテシーを披露した。
すぐ隣には気絶したルルと、頭を守るようにして床で体を丸めて震えているルドリックがいて、少し錯乱しているのか「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」と叫び続けている。
「陛下、王妃様、キリがいいので今日は取り合えず百発で止めておきましたわ。ルル嬢が有能な治癒魔法士で本当に良かった。差し出がましいかもしれませんがご助言させていただけるならば、ルル嬢とルドリック殿下の婚姻を今すぐ結ぶべきだと思います。ルル嬢がいればどれだけ怪我をしても大丈夫ですもの。逃げられたら大変ですわよ、主にルドリック殿下が」
セシーリアの言葉を理解した国王夫妻は、そのまま二人を教会に運ばせて、すぐに婚姻を結ばせた。そして、その後は二人を王城隅の離宮に閉じ込めて逃げ出せないようにした。セシーリアにはいつでも好きな時に二人を訪れて良いと許可を与えた。
セシーリアは今回の件で婚約者をなくしたものの、すぐにカーティス公爵が遠縁の伯爵家令息三男を連れてきて、セシーリアの婚約者へとあてがった。そこそこに美形でそこそこに優秀な彼とは、すぐにそこそこに仲の良い関係を築くことができた。
数年後に二人が結婚してからもその関係は変わらず、やがて子供ができてからも、二人の仲は相変わらずだった。そうやって夫とはそこそこの関係を続けながらも、真の恋人は恋愛小説の中に何人もいて、二次元をこよなく愛するセシーリアは、いつだって最高に幸せだった。
とはいえ、たまには意見が衝突して夫婦喧嘩をすることもある。社交界での夫人同士の付き合いも、裏を読み合う会話ばかりで肩がこる。
そうやってイライラが溜まった時、セシーリアは決まって王城の離宮へと出かけていった。そこで思いっきり鬱憤を晴らしてストレス解消をすれば、次の日からはまた元気よく生活することができた。夫ともすぐに仲直りできる。
ストレスを内に抱えることなく、適度に気持ち良く発散できているセシーリアの精神状態は常に良好で、いつも晴れ晴れとした母親は子供たちにも良い影響を与えるらしく、家庭はいつも円満だった。
もし夫が浮気をしたら、死んだ方がマシだと思える目に合わせてやろうとセシーリアは思っている。勿論、二次元との浮気はアリだ。ダメなのは三次元との浮気だけ。
しかし、いくら注意深く見張っていても、夫は浮気をしなかった。もしかして、上手く隠しているのだろうか。男とは浮気をするものだ。きっと夫だって浮気するはず。今はしていなくても、いつかは必ずするはずだ。
そう思い、更に注意深く夫も見張る。しかし、浮気の形跡は見つからない。もしかして、夫も二次元と恋愛しているのだろうか。
そう考えた時、セシーリアの胸がチクリと痛んだ。
この胸の痛みはなんだろう。セシーリアは考えた。そして気付いた。もし仮に夫の浮気相手が二次元だったとしても、それでも嫌だと思っている自分の心に。
そう言えば、最近はあまり恋愛小説を読まなくなったな、とセシーリアは気付いた。たまに読んだとしても、ストーリーを楽しむだけで、ヒーローに萌えることはない。
恋愛小説を読むよりも、夫と話をすることが楽しいと思えるようになったのは、一体いつ頃からのことだろう。いつの間にか夫の存在は、セシーリア中でなくてはならないほど大きく大切なものになっていた。
既に子供たちも成人し、それぞれの家庭を持っている。
夫と過ごす二人だけの時間はとても穏やかで、セシーリアはもう何年も、王城の離宮に足を運ばなくなっていた。
「ねえ、あなた?」
「なんだい、セシル」
「わたくし、あなたが浮気したら嫌だわ」
そう言うと、夫は楽し気に笑った。
「浮気なんてしないよ。だって、わたしはずっとセシルに夢中なのだから。君はどうだい? 君もわたしに夢中かな」
「どうやらそうみたい。だから、絶対に浮気しないで欲しいの」
「しないよ、愛しい人。もししたら殺してくれていい」
殺したくないから、セシーリアはもう夫の浮気の形跡を探ることをやめた。疑うことをやめて、信じることにしたのだ。
そうしたら、ますます日々が幸せに、穏やかに感じるようになった。
どんなに素敵な小説の中のヒーローも、夫にはかなわない。
本気でそう思えるくらい、セシーリアは幸せだった。
きっともう二度と、王城の離宮に行くことはない。
end
その学園では、卒業式の後にパーティーが行われるのだが、いつもならお祝いムードで楽しく明るいはずのパーティー会場が、今年に限ってはなぜか緊迫した空気に包まれていた。
会場の中央には、この国の第二王子であるルドリックが、パーティーに相応しい正装した姿で立っていた。金髪に碧眼、服の上からも想像がつく肉体の逞しさと顔形の麗しさは、学園の令嬢たちの憧れの的となっていた。
しかし、なぜか祝いの場であるはずのこの場所で、ルドリックの表情は怒りに満ちている。
ルドリックの腕には、小柄で愛くるしい亜麻色の髪の少女がぴったりとしがみついていた。二人の背後には、この国の高位貴族の令息たち数人が、ルドリックと同じく怒りの形相を隠すことなく、まるのその少女を守るかのように立ち並んでいる。
そんな彼らに対峙するように、一人の美しい令嬢が堂々と胸を張って立っていた。ルドリックの婚約者であるカーティス公爵家の一人娘、セシーリアである。銀色の髪に紫の瞳をした、息を飲むほどの美貌を誇る彼女は、自分の前に立つ集団を無表情で見つめていた。
緊迫感のある空気を醸し出すその集団を、パーティーの参加者たちは遠巻きに固唾を飲んで見守っている。
やがてルドリックが一歩前に出たかと思うと、凛とした美声でセシーリアに言い放った。
「身分低き者を蔑み、苛めを行って楽しみを得るなど許されることではない。分かるか、セシーリア、おまえのことだぞ!」
セシーリアは手にした扇で口元を隠したまま、小首を傾げてみせた。絹の糸のような美しい髪がさらりと揺れる。
「苛め? なんのことでしょう?」
「しらばっくれる気か! おまえはこのミマス子爵令嬢ルルのことを、執拗に虐めていたそうじゃないか。顔を合わせれば罵り、ルルの家が貧しいことを知っていながら物を隠したり壊したり、マナーの授業ではドレスにワインをかけて汚し、挙句の果てには階段から突き飛ばして怪我を負わせたとか。覚えていないとは言わせないぞ!」
ルドリックの大きな声に動揺することなく、セシーリアは平然と答えた。
「記憶にありませんわ」
「セシーリア様、謝って下さい。わたし、謝ってもらえればそれでいいんです」
大きな目を涙で滲ませながらそう訴えるルルは、いかにも弱々しく儚げで、その姿は男たちの庇護欲を誘う。
「ああ、ルルは優しいな。それに比べてセシーリア、おまえときたら……取り合えず、今すぐルルに謝れ!」
ルドリックの言葉に、そうだそうだと後ろの取り巻き令息たちが一斉にセシーリアをがなり立てる。セシーリアはそれを無視すると、ルドリックの腕にしがみついている涙目のルルをチラリと見た後、視線をまたルドリックに戻した。
「ルドリック殿下」
「なんだ。謝罪するなら、わたしにではなくルルにしろ!」
「いえ、謝る気は毛頭ありません。苛めなどやっておりませんし。そもそも、そのルルとかいうご令嬢とは、わたくし今が初対面ですし」
「そんなっ! いつもわたしに意地悪したり、酷いこと言ったりしたじゃないですか!」
ボロボロと大粒の涙を流し始めたルルの肩を、ルドリックが優しく抱きしめた。
「ルル、こんなに泣いて、かわいそうに」
「ルド、わたし嘘なんて言ってないの。ホントよ、ホントに意地悪されたの」
「分かってるさ。悪いのはすべてセシーリアだ」
顔を上げたルドリックは、汚物を見るかのような目をセシーリアに向けた。
「もうこれ以上は我慢ならない。セシーリア、おまえとの婚約は今ここで破棄する。身分低き者、弱き者を助けるどころか蔑むような性根の腐った女、わたしの伴侶に相応しくない。わたしの妻に相応しいのは、未来の国母足り得るのはルルのような心優しき女性だ。よって、ミマス子爵令嬢ルルとの婚約をわたしは宣言する」
ルドリックの胸の中で、ルルがニヤリと笑ったのがセシーリアには見えた。
王家とカーティス公爵家との間に結ばれていた婚約の突然の破棄宣言に、会場は一気にざわめきたった。目の前で起きたあり得ない出来事に、皆顔を青褪めさせている。気の弱い令嬢など、ショックのあまりフラついてしまい、パートナーに支えられて、なんとか立っているような状態である。
異様な雰囲気の中、パーティー参加者たちがちらちらと盗み見ているのは、婚約破棄を突きつけられたセシーリアである。
王族とはいえ、現在、国内でも最も力ある貴族家の令嬢である彼女に対して、公衆の面前での婚約破棄はあまりにも礼を欠いた行いである。しかも、一人娘のセシーリアをカーティス公爵が目に入れても痛くないほど溺愛していることは、社交界でも有名な話だった。彼女がどういった態度に出るかによって、国が割れる可能性も出てくるとあっては、皆が息を潜めて成り行きを見守のも当然と言えた。
そんな中、セシーリアは持っていた扇でポンと手を打ちつけた。彼女が言葉を発する予兆と捉え、会場中がはっと息を飲む。
「殿下」
その声を耳にしたルドリックが、面倒臭そうにセシーリアに顔を向けた。
「なんだ。今更謝ってももう遅いぞ。婚約破棄は覆らない」
「婚約破棄は承諾いたしますわ。こちらとしても、願ってもないことですので」
「は?」
「え?」
「「「「「ええ?」」」」」
セドリックとルル、そして取り巻き連中が驚きの声を上げる中、これまで無表情を通していたセシーリアが美しく、それでいてなぜか背筋が凍るようなぞくっとする笑みを、その整った顔に浮かべた。
かと思うと、つかつかと早足で前に出たかと思うと、握った拳でいきなりルドリックの顔に渾身のパンチを喰らわしたのである。不意をつかれたルドリックは、思いっきり吹っ飛んだ。
その場にいた全員がポカーンとする中で、セシーリアだけが楽しげな笑顔で呟いた。
「はい、一発目~♪」
そのなんとも言えぬ恐ろしい笑顔に、会場中が凍りついた。
カーティス公爵家令嬢セシーリアは転生者である。前世は日本という国でオタク女子をしていた。
前世のセシーリアが趣味として生きがいにしていたのは乙女ゲーム。これさえあれば三次元の男なんていらないと声を大にして言えるほど、ゲームの攻略対象に愛を注ぎまくっていた。
とはいっても、特定の推しキャラは作らず、すべての攻略対象を平等に愛でていた。一人攻略が完了しては次のキャラを攻略、そしてまた次のキャラを攻略する、という風に、色々なキャラとの疑似恋愛を、かなりの本気モードで楽しんでいたのである。
ゲームのキャラたちは最高だった。がんばれば必ず振り向いてくれる。相思相愛になった後は浮気なんて絶対にしない。
最高だった。浮気しない上に顔も良く、場合によっては金も地位も権力も名誉さえも持っている。もう本当に最高だった。
それに比べて、三次元の男のダメっぷりときたら……。
前世のセシーリアには二人だけ付き合った男がいた。
一人目は高校生の時。相手は同じクラスのどこにでもいそうなフツメンだった。
特別いいところがあったわけではないけれど、話して気が合ったし、とても優しい人でもあったから好感を持っていた。付き合ってくれと告白された時にはすごく嬉しくて、満面の笑顔で頷いた。が、そいつは付き合って一年が過ぎた頃に浮気した。当然、すぐ別れた。
二人目は大学の時。相手の男とはバイト先で知り合った。その男は前世のセシーリアに一目惚れしたらしく、顔を合わせるたびに付き合ってくれと告白し続けてきた。
一度目の恋愛で男というものに不信を抱くようになっていた前世のセシーリアは、男からの告白を断り続けた。しかし、それが一年も続くとさすがに絆されたし、信じていい人なんじゃないかと思い始めてしまう。
バイト仲間たちからも「アイツはマジでいい奴だから」とか「どうして付き合ってあげないのよ、超優良物件じゃん」なんて背中を押されたこともあって、ついに告白を受けて付き合うことになった。が、そいつも浮気した。付き合って二ヵ月目のことだった。泣いて謝られたけれど、当然、許さずにすぐ別れた。
それからである。三次元の男に見切りをつけて、乙女ゲームの攻略キャラとの恋愛を楽しむようになったのは。
前世、セシーリアがどういう風に人生の幕を閉じたのかは覚えていない。けれど、強く強く心に刻み込まれていて、忘れようにも忘れられないことがあった。それは。
浮気する男は糞野郎だ、ということだ。
セシーリアが前世の記憶を思い出し、生まれ変わったこの世界がプレイ済みの乙女ゲームだと気付いた時、かなりガッカリ落ち込んだ。
なにせ自分はゲームの中の悪役令嬢で、浮気されるために存在するようなキャラだったからである。
公爵令嬢セシーリアはメイン攻略対象ルドリックの婚約者である。ヒロインがルドリックを恋の相手に選んだ場合に限り、断罪されて修道院送りにされることになる。
メイン攻略対象だけに、ヒロインがルドリックを選ぶ可能性は高いだろうとセシーリアは思った。だから、第二王子の婚約者にと、王家から打診が来ていることを両親から聞いた時、嫌だとはっきり断った。大泣きして駄々をこねた。五才の時の話だ。
しかし、ゲームの強制力なのかどうなのか、結局は断り切れずに婚約者にさせられた。死ぬほど嫌だったけど、どうにもならなかった。
しばらく食事も喉を通らないくらい落ち込んだ。そうしたら、ルドリックの両親である国王夫妻が気を使ってくれて、なにか一つ願いを聞いてくれると言ってくれた。だから言った。
「将来、ルドリック殿下が公衆の面前でわたしに婚約破棄を付きつけるようなことがあったら、その時は絶対に婚約を解消させて下さい。そして、殿下を一万発殴る許可をお願いします」
国王夫妻は驚いた顔をしたが、結局はセシーリアの願いを聞き届けてくれた。一つと言われたのに二つのお願いをしたけれど、いいよいいよと笑顔で承諾してくれた。素手で殴ると手を痛めるから、道具を使って殴っていいよとまで言ってくれた。一万発では少ないから、十万発にしたらどうかとも言われた。
公衆の面前で婚約破棄を宣言するなんて、普通はありえないことである。そんなことになる筈がないと国王夫妻は思ったに違いない。だからこそ、セシーリアからの願いを聞いて、軽い気持ちで頷いてくれたのだろう。
念のため、正式な魔法契約書を作成してもらった。契約を交わすのは国王夫妻とセシーリア。契約が正しく履行されなかった場合、非がある方の寿命を五十年短くするという契約になった。
どういうことかと言うと、婚約破棄が公衆の面前で行われた場合、セシーリアにはセドリックを十万発殴る権利(道具使用可)が与えられることになる。それを邪魔しようとすれば、寿命がそう長くないこの世界、国王夫妻はおそらく即死することになるだろう。なんとも恐ろしい契約だが、まあ、殴らせればいいだけの話である。
実際のところ、ヒロインが誰を選ぶのかは、その時になってみないと分からない。セシーリアが覚えている限り、攻略対象は全部で五人いた筈だった。
もしもヒロインが別の攻略対象を選び、ルドリックが浮気をしなかったら、その時は諦めて結婚しようと思った。三次元には見切りをつけているので愛せないだろうが、逆に期待することもない。前世でプレイヤーとして対峙していた時には、愛を注ぎまくったキャラでもある。結婚する以上は良い関係を築けるように努力しようと思った。裏でこっそり、恋愛小説のヒーローにでも愛を捧げながら生きればいい。
そうして月日は巡り、セシーリアとルドリックはゲームの舞台となる学園に入学した。ヒロインであるルルも入学してきた。攻略対象キャラも全員集結した。
その結果、ヒロインのルルは色々とあった末にルドリックと恋に落ちた。そして、ルドリックは卒業パーティーの最中、つまり公衆の面前で、セシーリアに婚約破棄を突きつけたのだった。
最初の三発までは拳で殴ったセシーリアも、四発目からワインのビンで殴ることに切り替えた。ルドリックの鼻は折れ、前歯は砕け散り、顔中腫れあがって見るも無残になったが、これ以上殴ると死ぬかもしれないくらいに痛めつけた後、セシーリアはすぐ隣で恐怖にがたがた震えて失禁しているルルに笑顔で声をかけた。
「ルル嬢、殿下に治癒魔法をかけてあげて下さらないこと? あなた、確か治癒魔法を使える珍しい光属性持ちでしょう? ほら、早く」
腰が抜けて動けず、恐ろしさのあまりボロボロと涙を流しながら、ルルは震える声でセシーリアに問う。
「え、いいの? 治癒してあげてもいいの?」
「勿論いいですわ。あなたが治癒魔法を使えることを見越して、殴ることを罰にした契約にしたのですもの。ほらほら、死んでしまってはいけないから、早く治して」
「は、はい!」
ルルが魔法をかけると、血だらけだったルドリックの顔が綺麗に戻った。それをまた、セシーリアがぼこぼこに殴りつけて血反吐を吐かせる。
第二王子の護衛騎士がセシーリアを止めようとしたものの、持ってきていた契約書を見せると、彼らは黙って後ろに下がっていった。魔法契約書で交わされた約束は絶対である。ルドリックを庇うことで、国王夫妻を死なせるわけにはいかないからだ。
知らせを受けた国王夫妻が卒業パーティー会場に駆け付けた時、そこはまるで殺人現場のような血の海と化していた。セシーリアは返り血を受けた血塗れ状態で、けれども最高に機嫌良さそうに美しい所作で彼らにカーテシーを披露した。
すぐ隣には気絶したルルと、頭を守るようにして床で体を丸めて震えているルドリックがいて、少し錯乱しているのか「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」と叫び続けている。
「陛下、王妃様、キリがいいので今日は取り合えず百発で止めておきましたわ。ルル嬢が有能な治癒魔法士で本当に良かった。差し出がましいかもしれませんがご助言させていただけるならば、ルル嬢とルドリック殿下の婚姻を今すぐ結ぶべきだと思います。ルル嬢がいればどれだけ怪我をしても大丈夫ですもの。逃げられたら大変ですわよ、主にルドリック殿下が」
セシーリアの言葉を理解した国王夫妻は、そのまま二人を教会に運ばせて、すぐに婚姻を結ばせた。そして、その後は二人を王城隅の離宮に閉じ込めて逃げ出せないようにした。セシーリアにはいつでも好きな時に二人を訪れて良いと許可を与えた。
セシーリアは今回の件で婚約者をなくしたものの、すぐにカーティス公爵が遠縁の伯爵家令息三男を連れてきて、セシーリアの婚約者へとあてがった。そこそこに美形でそこそこに優秀な彼とは、すぐにそこそこに仲の良い関係を築くことができた。
数年後に二人が結婚してからもその関係は変わらず、やがて子供ができてからも、二人の仲は相変わらずだった。そうやって夫とはそこそこの関係を続けながらも、真の恋人は恋愛小説の中に何人もいて、二次元をこよなく愛するセシーリアは、いつだって最高に幸せだった。
とはいえ、たまには意見が衝突して夫婦喧嘩をすることもある。社交界での夫人同士の付き合いも、裏を読み合う会話ばかりで肩がこる。
そうやってイライラが溜まった時、セシーリアは決まって王城の離宮へと出かけていった。そこで思いっきり鬱憤を晴らしてストレス解消をすれば、次の日からはまた元気よく生活することができた。夫ともすぐに仲直りできる。
ストレスを内に抱えることなく、適度に気持ち良く発散できているセシーリアの精神状態は常に良好で、いつも晴れ晴れとした母親は子供たちにも良い影響を与えるらしく、家庭はいつも円満だった。
もし夫が浮気をしたら、死んだ方がマシだと思える目に合わせてやろうとセシーリアは思っている。勿論、二次元との浮気はアリだ。ダメなのは三次元との浮気だけ。
しかし、いくら注意深く見張っていても、夫は浮気をしなかった。もしかして、上手く隠しているのだろうか。男とは浮気をするものだ。きっと夫だって浮気するはず。今はしていなくても、いつかは必ずするはずだ。
そう思い、更に注意深く夫も見張る。しかし、浮気の形跡は見つからない。もしかして、夫も二次元と恋愛しているのだろうか。
そう考えた時、セシーリアの胸がチクリと痛んだ。
この胸の痛みはなんだろう。セシーリアは考えた。そして気付いた。もし仮に夫の浮気相手が二次元だったとしても、それでも嫌だと思っている自分の心に。
そう言えば、最近はあまり恋愛小説を読まなくなったな、とセシーリアは気付いた。たまに読んだとしても、ストーリーを楽しむだけで、ヒーローに萌えることはない。
恋愛小説を読むよりも、夫と話をすることが楽しいと思えるようになったのは、一体いつ頃からのことだろう。いつの間にか夫の存在は、セシーリア中でなくてはならないほど大きく大切なものになっていた。
既に子供たちも成人し、それぞれの家庭を持っている。
夫と過ごす二人だけの時間はとても穏やかで、セシーリアはもう何年も、王城の離宮に足を運ばなくなっていた。
「ねえ、あなた?」
「なんだい、セシル」
「わたくし、あなたが浮気したら嫌だわ」
そう言うと、夫は楽し気に笑った。
「浮気なんてしないよ。だって、わたしはずっとセシルに夢中なのだから。君はどうだい? 君もわたしに夢中かな」
「どうやらそうみたい。だから、絶対に浮気しないで欲しいの」
「しないよ、愛しい人。もししたら殺してくれていい」
殺したくないから、セシーリアはもう夫の浮気の形跡を探ることをやめた。疑うことをやめて、信じることにしたのだ。
そうしたら、ますます日々が幸せに、穏やかに感じるようになった。
どんなに素敵な小説の中のヒーローも、夫にはかなわない。
本気でそう思えるくらい、セシーリアは幸せだった。
きっともう二度と、王城の離宮に行くことはない。
end
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主人公の言ってる事がおかしい
乙女ゲームなんて寝取りゲームな訳で、実際自分がヒロインとして婚約者から盗っていってたんでしょ?ゲームの中で
普通に考えて、二次元の男は浮気者しかいないんですけど…
しゅ、主人公こわひぃぃ!!
けどとっても素敵な契約だと思いました♡w
この世の中に魔法があったならわたしも未来の旦那様に契約すると思いますw
ゲームヒロインたちの幽閉は、
彼らの保護のためだったのか、
国王夫妻の生存のためだったのか(^_^;)
せっかくの聖魔法所持者なのに王子専属として幽閉扱いしなくてはならなくて、
でも国王夫妻の命には替えられなくて・・・ゲームヒロインたちに向ける上層部の目は極寒だったことでしょうww
主人公の旦那様、何気に病んでいそうな気が。。。(・・;)