呼んでいる声がする

音羽有紀

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呼んでいる声がする(その6)

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  呼んでいる声がする(その6)
 
 町の灯はきらきらして瑠子は小さな声で

「じゃあ。」

 と、坂を登り始めた。

「良い人ぶって、何よ。」

と坂の中盤に来ると呟いた

何かたくらんでいるんだわ



あまりにも冷たい風が吹いて来た

もう帰って寝よう

時間は九時を回っていた。

頭の中に瑠子ちゃんていうんだという猫男

またの名を紫苑の声が響いていた


 紫苑なんてカッコ良すぎ、猫男で充分だわ

そんな事を思いながらちらっと後ろを振り返った

 猫男が、まだ猫達と戯れている。

 真上の外灯に照らされシルエットの様になった猫達と彼はまるで影絵の様に映し出されていた。



 それから一時間程たった頃だろうか 

階段を上がってくる音がした。



 次の日空は晴れ渡っていたが風は冷たかった。

 ピンクの手袋をした。駅ビルカシカルの1階のブティくで買った蓮子のいるネリネにも今日は寄ってみようか、今日は早番だから

そう思った

坂の上から見る海は今日も穏やかだ。

また、いつもの様に駆け下りながらそう思った。



マーマレードが終わると、カシカの1階のネリネに

行ってみた。

 どうか、蓮子さんがいます様に

そう思ってネリネの店を表からのぞいた。

 連子はレジ前で仕事をしていた。

「蓮子さん。」瑠子は足早に近寄ると

 蓮子は、瑠子の様子に気がつくと花の様な笑みを浮かべた。

 ああ、あんな笑顔初めて見る気がして嬉しくなった。

「何時に終わるの。」

「あと1時間くらい。」

「帰り暇かな。」

 蓮子は頷いた。

「じゃあ、地下の本屋で待ってるね。」

 地下の本屋は、瑠子のお気に入りだった。

 レトロ調のブラウンの色調の壁で茶色の小さいソファが隅に置いてある。

 瑠子は写真集の海辺の街を見ていた。

 世界には、様々な海辺の街に人々が住んでいるのだなと思った。

 すると、突如声が聞こえた

「瑠子さん。」

「あ、蓮花さん。」

 蓮花は、白いマフラーをして微笑んで立っていた。

 マフラーから延びる細い髪の毛がかかって妖精の様だ。

「あの、来てくれたんですね。」

 これってデートみたいだな

 って少し笑ってしまった。



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