8 / 61
呼んでいる声がする(その8)
しおりを挟む呼んでいる声がする(その8)
雲があんなに黒い。帰るか、カフェマーメイドでは暖かったけれど外はやはり寒い。
街の灯りがぽつぽつと灯っていく。
改札口で、人を待つ人が羨ましい。
そんな事を思いながら、そして蓮花を心配しながら冷えた手で電車を待った。
電車が来て乗る頃には、外は薄闇が覆って来た。
アパートのイエローハウスを思うと猫男と猫達を思い出す。
あたしは猫国の住人になってしまったのかと、電車の窓から外を見ながら思った。
雨が、電車の窓に小さい水玉の模様を描いている。
この雨では、猫はいつもの場所にいないかもしれない。
本当は紫苑という名前だけれど、猫男は猫男よね
などと思いながら、羽根駅から降りたって土砂降りの雨の街に降り立った。
もう蓮花は家に着いたのだろうか、いったい何処に住んでいるのか、聞きそびれてしまった事を後悔した。
イエローハウスの上り坂に近づいたが、猫男がご飯を猫にあげている街灯の下には猫も彼もいなかった。
軽いため息を着きつつ、瑠子の住むアパート、イエローハウスに帰ると家のピンクの掛け時計は、10時をとうに過ぎていた。
着替えて、携帯のお気に入りの猫のユーチューブを見る。
一人で笑ったら声が部屋に響いた。
猫男は、帰っているのだろうか。
隣の隣に彼は住んでいるので、その方の壁を見た。
時に浮かんだのは、ハーレムのごとき海岸で彼にまとわりつく女達の姿だった。
あんな人どうでもいいか、そう呟きながら窓のカーテンを開けた
「雨が凄いな。」
けれど、その風景は、落ち着く。
しかし、その風景に似つかわしい男女のイカレタカップルを見つけるにいたった。
二人で一つの傘を差しながら、ふざけ合うカップルがイエローハウスに歩いて来た。
目を凝らして見るとそれは、忘れもしない猫男と海岸に彼と一緒にいた一番くっついていた女であった。
そのまま、騒がしくイエローの階段を上る音が聞こえる。
とだんだん声がはっきり聞こえて来た二人共に酔っているらしかった。
「やあだ、紫苑。」
「はっ?」
部屋の中の瑠子は一人顔をしかめた。
紫苑じゃない、猫男でしょと呟いた。
それからイエローハウスの住人に迷惑を顧みず猫男ペアは大声で奇声を上げながらドアの前の通路を通りドアを閉める音がし、微かにペアの声が聞こえそして聞こえなくなった。
ため息をつくと瑠子は、毒づいた
「やっぱりチャラ男だったんだ。」
それから、窓に戻って雨の様子を眺めた。
暗い夜空を眺めながら思った。
あの二人は確実にノアの箱舟に乗ろうとして放り出されるに違いないそんな事を思って微かにほほ笑んだ。
(つづく)
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる