余命一年の伯爵家の奥様になった。~どうやら将来は悪役の母らしいです。~

あはははは

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痛い。熱い。つらい。
疲れのせいだと思っていた体調不良がどうやら疲れのせいじゃないと知った。
再び目を覚ましても私は体が辛くて動けなかった。

辛い。辛すぎる!!
あー、健康だった頃が懐かしい...
ああでも、この人は、私は、ユリアはこれが普通だったな。

ふと思い出す記憶が私のものなのか彼女のものなのかわからない。 そんなことも考える余裕がない。
でもこれが普通だとどこかでそうおもう私がいる。
きっとこの体に染み付いた習慣、癖なのだろう。

ああ、ダメね。もう考えるのはよそう。

コンコン

不意に扉が叩かれる音がした。

「奥様?スズです。昼食をお持ちしました。」

彼女は..ああ、私のメイドのスズね。

「入って。」

ガチャリと扉の開く音が聞こえて、スズが入ってきた。
人が来たんだし昼食なので体を起こそうと力をいれた。
いくら病弱と言えど、どうやらそれくらいの動作を行う力はあるようだ。
スズは栗色の目と髪のかわいらしい少女だった。髪を後ろできっちりお団子にまとめている。
昼食は柔らかそうなパンにバターがのっていた。りんごのシャーベットもついていてとても食べやすそうだった。

「今朝は具合が悪そうだったので、胃に優しいものを頼んだのですが..いかがですか?あ、無理して食べる必要はありませんからね。」

心配そうに私の顔を覗いてスズが言う。

「美味しそうね。」

私がそういってパンを手にとると、スズは嬉しそうな顔で笑った。


辛い体に元気が染み渡るように、昼食はおいしかった。 
綺麗に完食した私を見てスズは
「また夕食の時に伺いますね!御用の際は、ベットの横の呼び鈴をならしてください!」
といって部屋を後にした。

さて、再びひとりになった私。昼食を食べて少し動く元気が出たので、部屋を探索しようと思う。
「まずは...」
スズのいっていた呼び鈴とやらの位置確認をしようかな。
ベットの横...
左右に視点を移動させる。と、どうやら右側に紐がぶら下がっている。上には穴が空いていて紐はどうやらその先まで繋がっているようだ。

多分...これのことね。

続いて部屋の奥に化粧台らしきものと机を発見する。
恐る恐るベットから床に足を下ろす。
そして立つ!一瞬くらっとしたが、立つことには成功した。

後は歩けばいいの。毎日もっと長い距離歩いてた。だからできるわ。

一歩踏み出す。
頭は相変わらず痛いし、だるいのは変わらないけど、

いける!

私は机の前まで行くことに成功した。
窓際あって今も日の光が直に照らしているとても日当たりのいい場所だ。

机には引き出しがあって、中にはどうやら筆記用具が入っているようだ。

「あら?」
これは、日記?
もしかしたら、ユリアに関することがこれでもう少しわかるかもしれない。

恐る恐る中身を見る。

9月9日 今日は結婚式。倒れずに最後までいられるかしら。
9月10日 結婚ってこんなに大変なのね。筋肉痛が加わって
                     今日は多分もう動けないわ。

ん?結婚?????
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