3 / 10
「旦那様、これは世にいうイチャイチャですか?」
しおりを挟む
目が覚める。いつもはアンナが起こしてくれるのに。どうしたのかしら?
ゆっくりと目を開くとそこには、はっと息をのむ美しい人が。
「綺麗な人…」
彼は心配そうにこちらをみていて、私の声を聴いて驚いたように嬉しそうにこういった。
「目が覚めたのか?ソアラ。」
まあ。きれいな声。
あら?この声と顔、見覚えがあるような…?
少し考えてはっとする。そう、彼は旦那様にそっくりなのだ。
ふふ、離婚前に旦那様そっくりの人が夢に出てくるなんて、幸せね。
「最後にこんな夢を見れるなんて。」
「夢?」
目の前の彼が少し困ったような顔をする。ああ、そんな顔をしないで。私を…
徐々に意識が覚醒する。そして私はきずいてしまった。
この人が誰かを。
「旦那…様?」
震える声を絞り出して、そう言った。
「ああ、私だ。」
夢ではなかった。そっくりさんでもなかった。ど、どうしましょう⁈
私、旦那様に何か変なこと言ったかしら?
……。
『綺麗な人』
『最後にこんな夢を見れるなんて。』
『夢?』
Ω\ζ°)チーン
お、終わったわ。よりにもよって旦那様に言ってしまうなんて。
興味のない女にこんなこと言われたら気持ち悪い、というか困るじゃない!!
実際困った顔をなさっていたし。もしかしたら、
『は?何こいつ…(引き)』
って思ってたかも…⁈
私はさっきまでの幸せな気分などとうに忘れ、慌てふためいている。
焦りが顔に出ないようにするのに必死だ。
焦れば焦るほど落ち着いて判断できなくなり、私はさらに混乱する羽目に。
そして私は新たな事実にきずいてしまった。
私寝顔を見られたわ…寝ぼけているところも…
一国の王女だった身としてはこんなに恥ずかしいことはない。
まさか男の人にこんな無防備な姿をさらしてしまうなんて…!
一応夫婦ではあるのだが。一年間何もなければ致し方ないだろう。
もうやだ。もう顔見れない。わ、私寝るわ。私は何も知らない。何も見てないわ!
狸寝入りをしようとしている私のおでこに誰かの手がふれる。
きずきたくはないが。だけど明らかに侍女の手ではない。
ソアラの手より大きくて骨ばった温かい手。
そう、旦那様の手がソアラのおでこに触れたのだ。
「まだ熱があるのか?」
み、耳元でささやかないで~(汗)
とても耐えられなくて目をうっすらと開けると、
予想はしてたけどさすがに刺激が強いわ…
海よりも深い青い瞳、漆黒の髪。人目を惹くその美貌。
旦那様の顔が目の前に…
ソアラの心臓は崩壊寸前だった。
だ、誰か助けて…
「失礼ながら旦那様、奥様が困っているかと。」
アンナ、さすがだわ。
『奥様、私に任せてください✧』
「ん?ああ、すまん…」
目じりを下げてそう言う旦那様に
『きゅんっ』
旦那様、私をきゅん死させる気ですか!!!
プルプルと震えるソアラを見て使用人たちは生温かい目を二人に向け、旦那様は混乱するのだった。
「こほん、すみませんが奥様の身支度を整えたいので…」
「このままでも…夫婦なんだから!」
その一言で部屋の温度が下がったことはお察しいただけるだろう。
「旦那様、とりあえず出て行ってください💢」
「え、あの、アンナ…⁈」
「あ、ああ…」
旦那様は幼いころからの侍女であるアンナの気迫に押されてすごすごと部屋を出て行った。
それをとてもいい笑顔で見送る使用人たち。
やがて使用人も持ち場へ戻っていき、
「さ、奥様お支度をしましょう。」
「ええ。」
私はやっと落ち着くことができたのだった。
「ねえ、アンナ。」
「なんですか。奥様。」
「旦那様はどうしちゃったのでしょう?」
「さあ?私からは何とも。奥様も気にしなくていいですからね。」
そう言われてしまえば仕方がない。私は早々に考えることをあきらめた。
でも、もしかしたらさっきのは世にいう
「イチャイチャ…」
アンナはそれを聞いて、とてもうれしそうに目を細めたのだった。
「それにしても、奥様が気を失ったときはどうしようかと思いました…」
「?」
「奥様、3日も眠っていたのですよ。」
「え⁈」
ゆっくりと目を開くとそこには、はっと息をのむ美しい人が。
「綺麗な人…」
彼は心配そうにこちらをみていて、私の声を聴いて驚いたように嬉しそうにこういった。
「目が覚めたのか?ソアラ。」
まあ。きれいな声。
あら?この声と顔、見覚えがあるような…?
少し考えてはっとする。そう、彼は旦那様にそっくりなのだ。
ふふ、離婚前に旦那様そっくりの人が夢に出てくるなんて、幸せね。
「最後にこんな夢を見れるなんて。」
「夢?」
目の前の彼が少し困ったような顔をする。ああ、そんな顔をしないで。私を…
徐々に意識が覚醒する。そして私はきずいてしまった。
この人が誰かを。
「旦那…様?」
震える声を絞り出して、そう言った。
「ああ、私だ。」
夢ではなかった。そっくりさんでもなかった。ど、どうしましょう⁈
私、旦那様に何か変なこと言ったかしら?
……。
『綺麗な人』
『最後にこんな夢を見れるなんて。』
『夢?』
Ω\ζ°)チーン
お、終わったわ。よりにもよって旦那様に言ってしまうなんて。
興味のない女にこんなこと言われたら気持ち悪い、というか困るじゃない!!
実際困った顔をなさっていたし。もしかしたら、
『は?何こいつ…(引き)』
って思ってたかも…⁈
私はさっきまでの幸せな気分などとうに忘れ、慌てふためいている。
焦りが顔に出ないようにするのに必死だ。
焦れば焦るほど落ち着いて判断できなくなり、私はさらに混乱する羽目に。
そして私は新たな事実にきずいてしまった。
私寝顔を見られたわ…寝ぼけているところも…
一国の王女だった身としてはこんなに恥ずかしいことはない。
まさか男の人にこんな無防備な姿をさらしてしまうなんて…!
一応夫婦ではあるのだが。一年間何もなければ致し方ないだろう。
もうやだ。もう顔見れない。わ、私寝るわ。私は何も知らない。何も見てないわ!
狸寝入りをしようとしている私のおでこに誰かの手がふれる。
きずきたくはないが。だけど明らかに侍女の手ではない。
ソアラの手より大きくて骨ばった温かい手。
そう、旦那様の手がソアラのおでこに触れたのだ。
「まだ熱があるのか?」
み、耳元でささやかないで~(汗)
とても耐えられなくて目をうっすらと開けると、
予想はしてたけどさすがに刺激が強いわ…
海よりも深い青い瞳、漆黒の髪。人目を惹くその美貌。
旦那様の顔が目の前に…
ソアラの心臓は崩壊寸前だった。
だ、誰か助けて…
「失礼ながら旦那様、奥様が困っているかと。」
アンナ、さすがだわ。
『奥様、私に任せてください✧』
「ん?ああ、すまん…」
目じりを下げてそう言う旦那様に
『きゅんっ』
旦那様、私をきゅん死させる気ですか!!!
プルプルと震えるソアラを見て使用人たちは生温かい目を二人に向け、旦那様は混乱するのだった。
「こほん、すみませんが奥様の身支度を整えたいので…」
「このままでも…夫婦なんだから!」
その一言で部屋の温度が下がったことはお察しいただけるだろう。
「旦那様、とりあえず出て行ってください💢」
「え、あの、アンナ…⁈」
「あ、ああ…」
旦那様は幼いころからの侍女であるアンナの気迫に押されてすごすごと部屋を出て行った。
それをとてもいい笑顔で見送る使用人たち。
やがて使用人も持ち場へ戻っていき、
「さ、奥様お支度をしましょう。」
「ええ。」
私はやっと落ち着くことができたのだった。
「ねえ、アンナ。」
「なんですか。奥様。」
「旦那様はどうしちゃったのでしょう?」
「さあ?私からは何とも。奥様も気にしなくていいですからね。」
そう言われてしまえば仕方がない。私は早々に考えることをあきらめた。
でも、もしかしたらさっきのは世にいう
「イチャイチャ…」
アンナはそれを聞いて、とてもうれしそうに目を細めたのだった。
「それにしても、奥様が気を失ったときはどうしようかと思いました…」
「?」
「奥様、3日も眠っていたのですよ。」
「え⁈」
1
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
偽りの愛の終焉〜サレ妻アイナの冷徹な断罪〜
紅葉山参
恋愛
貧しいけれど、愛と笑顔に満ちた生活。それが、私(アイナ)が夫と築き上げた全てだと思っていた。築40年のボロアパートの一室。安いスーパーの食材。それでも、あの人の「愛してる」の言葉一つで、アイナは満たされていた。
しかし、些細な変化が、穏やかな日々にヒビを入れる。
私の配偶者の帰宅時間が遅くなった。仕事のメールだと誤魔化す、頻繁に確認されるスマートフォン。その違和感の正体が、アイナのすぐそばにいた。
近所に住むシンママのユリエ。彼女の愛らしい笑顔の裏に、私の全てを奪う魔女の顔が隠されていた。夫とユリエの、不貞の証拠を握ったアイナの心は、凍てつく怒りに支配される。
泣き崩れるだけの弱々しい妻は、もういない。
私は、彼と彼女が築いた「偽りの愛」を、社会的な地獄へと突き落とす、冷徹な復讐を誓う。一歩ずつ、緻密に、二人からすべてを奪い尽くす、断罪の物語。
彼は亡国の令嬢を愛せない
黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。
ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。
※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。
※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。
※新作です。アルファポリス様が先行します。
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
これは王命です〜最期の願いなのです……抱いてください〜
涙乃(るの)
恋愛
これは王命です……抱いてください
「アベル様……これは王命です。触れるのも嫌かもしれませんが、最後の願いなのです……私を、抱いてください」
呪いの力を宿した瞳を持って生まれたサラは、王家管轄の施設で閉じ込められるように暮らしていた。
その瞳を見たものは、命を落とす。サラの乳母も母も、命を落としていた。
希望のもてない人生を送っていたサラに、唯一普通に接してくれる騎士アベル。
アベルに恋したサラは、死ぬ前の最期の願いとして、アベルと一夜を共にしたいと陛下に願いでる。
自分勝手な願いに罪悪感を抱くサラ。
そんなサラのことを複雑な心境で見つめるアベル。
アベルはサラの願いを聞き届けるが、サラには死刑宣告が……
切ない→ハッピーエンドです
※大人版はムーンライトノベルズ様にも投稿しています
後日談追加しました
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる