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「旦那様、一度奥様と話し合ってください。」~アンナ視点~
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奥様が倒れられた。奥様の横では今までさんざん奥様をないがしろにしてきた旦那様が必死に奥様の名前を呼んでいる。
「ソアラ、ソアラ!!!」
天変地異か何かかしら、そう思うほどに今までの旦那様からは考えられない様子だ。
顔面蒼白で奥様を呼ぶ旦那様はまるで奥様を愛しているかのようだった。
今更何なのかしら。さんざん冷たくあしらってきたくせに。
ふつふつと怒りが沸き上がるのを私は必死に抑えた。あくまで私はこの家の侍女なのだから。さあ、こんなところでぼーっとしてないでまずは倒れられた奥様を寝室に運びましょう。
「奥様を寝室に運びましょう。」
何事かと集まってきた使用人たちに私は声をかける。
「イル、奥様を運んでちょうだい。」
さすがに女性に奥様は運ぶことができませんから、昔からこの家に使える家系の執事、イルに頼もうと私は声をかけた。しかしイルは首を横に振った。
「アンナ、奥様のほうを見てごらん。」
なんと旦那様自ら奥様を抱えているのだ。
「アンナ、ソアラは寝室に運べばいいよな?」
「はい、それでよいかと思います。」
もしかしたら、もしかしたら、この夫婦はお互いにすれ違っているのかもしれない。
もしかしたら、いつも一人で悲しみを抱えていた奥様の思いが報われるかもしれない。
あの日、ポツリとこぼした奥様のつぶやき。
「私は旦那様に愛されたい。」
部屋の窓から空を眺めながら奥様はそう言った。
奥様の美しい金髪が風になびいて悲しそうに伏せられた長いまつげと色素の薄い水色の目。
それはとても美しくて。儚げで。
その一言とその表情が私のそれまでの奥様への認識を改めるきっかけになった。
というのも、私たち世間一般には奥様は隣国で好き勝手、わがままの限りを尽くした悪役王女。ついに手に負えなくなった国王夫妻の手によって無理やり旦那様に嫁がされた、そう聞いていたから。
でも実際の奥様はとても大人しくて病弱だった。
私たち使用人はそれを演技だと思っていた。
しかしどうやら奥様は旦那様のことが好きで、みずからここに嫁いできたという。
そのあと奥様と少し話してみて分かった。
「もしかしたら奥様はうわさとは違うのかもしれない。」
少しずつ奥様と触れ合って、それは確信へと変わっていった。
それまで奥様のことをよく思っていなかったことで知らなかったことを、奥様に興味を持ったことで知った。
奥様が毎日旦那様を待って明け方まで起きていること。
時々声を殺して泣いていること。
旦那様を愛していること。
甘いものが大好きなこと。
病弱なのに運動が好きなこと。
他にもいろいろ知った。
「ねえ、みんな奥様は私たちが知っているうわさとは全く違うわ。」
ある日、わたしはそう使用人会議で伝えた。
「一度奥様とかかわってみて。」
あっという間に誤解は解けていった。たった一人、旦那様を除いて。
旦那様は徹底的に奥様を避けていたからだ。
そして、だんだん奥様の体を壊す頻度が高くなった。私たちには気を使って一度も言わなかったが、熱でつらそうな時が何度もあった。
そしてついに
「旦那様、離婚しましょう?」
奥様は久しぶりに帰ってきた旦那様にそう言った。
旦那様のあまりにもそっけない返事にさすがにひどすぎやしないかと思ってしまった。
奥様の表情はとても見ていられなかった。だからこそびっくりした。
「ねえ、アンナ、旦那様がどこにいらっしゃるか知ってるかしら?」
覚悟を決めたような表情でそう言われた時は驚いた。
「旦那様なら、執務室にいらっしゃるかと。」
「ありがとう。」
そういって奥様は立ち去って行った。
しばらくして、旦那様の叫び声が聞こえるから何事かと見に来れば奥様が倒れていたのだ。
そして今に至る。
旦那様が奥様をベットに寝かせた。
「医者の手配を」
「はい」
一体何があったのだろうか。とても気になってしまうのは仕方がないだろう。
ただ、一つこれは旦那様に伝えておくべきだろう。
「旦那様、発言をお許しいただけないでしょうか。」
「許す。」
「旦那様、一度奥様と話し合ってください。」
「ソアラ、ソアラ!!!」
天変地異か何かかしら、そう思うほどに今までの旦那様からは考えられない様子だ。
顔面蒼白で奥様を呼ぶ旦那様はまるで奥様を愛しているかのようだった。
今更何なのかしら。さんざん冷たくあしらってきたくせに。
ふつふつと怒りが沸き上がるのを私は必死に抑えた。あくまで私はこの家の侍女なのだから。さあ、こんなところでぼーっとしてないでまずは倒れられた奥様を寝室に運びましょう。
「奥様を寝室に運びましょう。」
何事かと集まってきた使用人たちに私は声をかける。
「イル、奥様を運んでちょうだい。」
さすがに女性に奥様は運ぶことができませんから、昔からこの家に使える家系の執事、イルに頼もうと私は声をかけた。しかしイルは首を横に振った。
「アンナ、奥様のほうを見てごらん。」
なんと旦那様自ら奥様を抱えているのだ。
「アンナ、ソアラは寝室に運べばいいよな?」
「はい、それでよいかと思います。」
もしかしたら、もしかしたら、この夫婦はお互いにすれ違っているのかもしれない。
もしかしたら、いつも一人で悲しみを抱えていた奥様の思いが報われるかもしれない。
あの日、ポツリとこぼした奥様のつぶやき。
「私は旦那様に愛されたい。」
部屋の窓から空を眺めながら奥様はそう言った。
奥様の美しい金髪が風になびいて悲しそうに伏せられた長いまつげと色素の薄い水色の目。
それはとても美しくて。儚げで。
その一言とその表情が私のそれまでの奥様への認識を改めるきっかけになった。
というのも、私たち世間一般には奥様は隣国で好き勝手、わがままの限りを尽くした悪役王女。ついに手に負えなくなった国王夫妻の手によって無理やり旦那様に嫁がされた、そう聞いていたから。
でも実際の奥様はとても大人しくて病弱だった。
私たち使用人はそれを演技だと思っていた。
しかしどうやら奥様は旦那様のことが好きで、みずからここに嫁いできたという。
そのあと奥様と少し話してみて分かった。
「もしかしたら奥様はうわさとは違うのかもしれない。」
少しずつ奥様と触れ合って、それは確信へと変わっていった。
それまで奥様のことをよく思っていなかったことで知らなかったことを、奥様に興味を持ったことで知った。
奥様が毎日旦那様を待って明け方まで起きていること。
時々声を殺して泣いていること。
旦那様を愛していること。
甘いものが大好きなこと。
病弱なのに運動が好きなこと。
他にもいろいろ知った。
「ねえ、みんな奥様は私たちが知っているうわさとは全く違うわ。」
ある日、わたしはそう使用人会議で伝えた。
「一度奥様とかかわってみて。」
あっという間に誤解は解けていった。たった一人、旦那様を除いて。
旦那様は徹底的に奥様を避けていたからだ。
そして、だんだん奥様の体を壊す頻度が高くなった。私たちには気を使って一度も言わなかったが、熱でつらそうな時が何度もあった。
そしてついに
「旦那様、離婚しましょう?」
奥様は久しぶりに帰ってきた旦那様にそう言った。
旦那様のあまりにもそっけない返事にさすがにひどすぎやしないかと思ってしまった。
奥様の表情はとても見ていられなかった。だからこそびっくりした。
「ねえ、アンナ、旦那様がどこにいらっしゃるか知ってるかしら?」
覚悟を決めたような表情でそう言われた時は驚いた。
「旦那様なら、執務室にいらっしゃるかと。」
「ありがとう。」
そういって奥様は立ち去って行った。
しばらくして、旦那様の叫び声が聞こえるから何事かと見に来れば奥様が倒れていたのだ。
そして今に至る。
旦那様が奥様をベットに寝かせた。
「医者の手配を」
「はい」
一体何があったのだろうか。とても気になってしまうのは仕方がないだろう。
ただ、一つこれは旦那様に伝えておくべきだろう。
「旦那様、発言をお許しいただけないでしょうか。」
「許す。」
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