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第四章 みんな大好きデース!

4-4(土)未来を勝ち取るデース

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 私は高橋静恵の挑発に乗って彼女の前に座る。


 「OH-! 由紀恵もバトルデース!!」

 「でも由紀恵ちゃん、高橋先輩とのバトルってどうやるの~?」

 
 いや、占ってもらうだけなんだからバトルはしないっての!
 戦う占いって何なのよ!?


 「ふふふっ、由紀恵ちゃん戦いはもう始まっているのよ?」

 「はいっ!? 占いですよね、これって占いですよねっ!?」


 高橋静恵の不敵な笑みに私は思わず突っ込みを入れてしまった。
 しかし彼女は水晶を撫でるかのような手つきで言い放つ。


 「この占いは水晶に揺らぐ光を静電気で自分側に来させその色合いで行く末を占うのよ。勿論そうそう簡単に思い通りの未来は見させてあげないわよ?」

 「いや、それって何処に占い要素が有るんです!? それに何下敷き渡して来るんです!? って、脇の下に入れてこすり始めたぁ!?」


 高橋静恵は水晶にフットスイッチで電源を入れ怪しい光を放たせる。
 そして横に色彩判定表などと言うボードを取り出す。


 「いい事由紀恵ちゃん。この水晶の中で揺らぐ放電光は静電気で近寄って来るの。静電気を溜めこの水晶に一斉に手をかざし静電気力の強い方にたくさんのスパークが集まるわ。そして水晶の表面にそれが当たると七色の色が現れ、願いが強ければ赤、願いが弱ければ青くなるのよ。それによってこの占いは成立するの!」

 「いやそれ静電気ですよね? 願いじゃなくて静電気ですよねぇっ!?」


 「問答無用よ!! さあ、長澤君をかけてどちらがより赤い色を出せるか勝負よ!!」


 既に占いの「う」の字も無い。
 あたしは頭を抱えるけど高橋静恵の勝ち誇った様子と大きく開かれた胸元が非常に頭にくる!!


 「良いでしょう! 受けてたちます!!」


 私は渡された下敷きをわきの下に挟んでこすり始める!
 高橋静恵も同じくシャカシャカと下敷きをこすって静電気を溜めている。


 「駄目だよ由紀恵ちゃん! 高橋先輩のあの衣装、静電気が発生しやすい衣装だよ~!!」

 「なっ!?」

 
 紫乃に言われてみれば確かにナイロン系のこすればパチパチ来そうな衣装。


 しまった! 

 今の私はワイシャツにスカートと言ういで立ち!
 これでは不利になってしまう!!


 「ふっ、今頃気付いてももう遅いわ!! さあ時間よ、由紀恵ちゃん覚悟は良い? いっせいにこの水晶に手をかざすわよ!!」


 高橋静恵は得意げにそう言う。
 何と言う事だ、これでは確実に高橋静恵に負けてしまう!!

 戦慄を覚えながらも私は時間になった為ふるふると震える手を水晶にかかげる。
 そして高橋静恵も。


 「ふっ、勝った!」

 「くぅっ! ここまでかぁっ!?」

 「ほいっ、デース!」


 ぺた。


 ぱちぱちぱち


 私と高橋静恵、そしてリンダが一斉に水晶に手を置く。
 するとなんとリンダの所へ放電光は集まり水晶の表面を赤き色に染める。


 「やりましたデース! 私の勝ちデース!!」

 「そんなっ!」

 「な、なんで? リンダなにしたの!?」


 一番放電光を集め水晶の表面を赤く染めたのはリンダだった。


 「ふん、説明してやろう。この外人はベストのセーターを羽織っていたのだ! もうじき夏だが冷え性の女性とは夏でもベストを着込むやつがいる。であればそれを使った静電気の蓄積はナイロン以上! 長澤由紀恵、貴様そんな事も分からんのか!?」

 新田泉一郎はここぞとばかりにびしっっとリンダのベストのセーターを指さす。
 確かに冬場なんか確実にセーターの方がパチパチする。


 「くぅううぅっ! まさかリンダちゃんまでもが参戦するとはぁっ!」


 がくっ!


 こうして高橋静恵はリンダに敗れ去ったのだった。


 「やったデース! 泉かなめも三戦二勝で勝ちましたデース!! あとは矢島紗江だけデース!」

 「‥‥‥悔しい。まさかあそこでレアカード引かれるとは」


 いや、あんたら占いでしょ?
 なんで三戦もしてんのよ!?

 ここって占いの館だよね!?


 「あ、長澤先輩、インコ占い吉が出ました。僕も桜川東に来れるそうです♪」

 「新田先輩、私も中央受かるそうです! 先輩、必ず私も行きますからね!!」

 吉野君も陽子ちゃんもいつの間にか他の占いしていた。




 私はこめかみを押さえながら大きなため息をついてお兄ちゃんのクラスを出て行くのだった。
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