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第四章 みんな大好きデース!

4-6(日)ミスコンデース!

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 何故こうなった?


 私はステージ裏の控室でネコミミメイド服姿のまま胸に番号札をつけて頭を抱えていた。


 昨日、私の承諾も無く勝手に「ミス桜川東コンテスト」にエントリーをされてそのままリンダを含む高橋静恵、矢島紗江、泉かなめとの勝負となった。
 そしてこのミスコンで勝った人が今日の校庭で最後のダンスの後にあの伝説の木の下でお兄ちゃんに愛の告白をする事となっている。


 と、勝手に話が進められたけどあんたらあの協定はどうなったのよ!?


 お兄ちゃんが大学に行くまで誰かと付き合うことは無いと宣言して、みんなへの回答を保留するって事になっていたはず。
 それなのにみんなやる気満々。


 私はあまりの事に昨日はあの後に現実逃避でメイドカフェの手伝いを休憩時間も忘れて右往左往する羽目になった。 
 おかげでメイドカフェは大盛況だったけど。


 「ふっふっふっふっふっ、このミスコンで優勝して友也も私の物にするデース! これで二人は私の兄妹デース!!」

 「いや、なんでそうなるのよ?」

 「いいなぁ~リンダちゃん。私も由紀恵ちゃん欲しぃ~」

 控室でリンダも準備して衣装提供者の紫乃も来ていた。

 しかし‥‥‥


 ぼよぉん~!


 何その凶器!?
 しかもチアガールの衣装って反則じゃなの!?
 ただでさえ可愛いリンダに胸を強調して太もも丸出し、アンダー穿いてるけど絶対領域を生成するロングソックス付きだなんて卑怯すぎるわよ!!


 本気でこの外人が可愛いので嫉妬してしまう私。


 「ううぅ~ん、リンダちゃん似合ってる~。あ、由紀恵ちゃんも勿論可愛いよ~ 追加の猫グローブもすっごく似合ってるよぉ~」

 紫乃が追加で持ってきた猫グローブのお陰で私は完全にネコミミメイドになっていた。
 いっそ猫グローブではなくボクシンググローブにしてみんなを殴り飛ばしたいのに。


 
 「ふふふっ、準備は出来たようね?」

 後ろから声を掛けられ振り向くと‥‥‥


 ばいんっ!

 ぼんきゅばーん!!

 ぴちぴちぃ~!

 
 胸元が大きく開く占い師姿の高橋静恵に何故か和服でうなじと裾を大きく開いている泉かなめ、そして「それ競泳水着かっ!?」と突っ込みたくなるようなきわどい切れ込みのレオタード姿の矢島紗江がいた。

 「OH-! そう来ましたかデース! しかしこれはこれでなかなかデース、ぐへへへへぇ~デース」

 なんかリンダはおやじっぽい口調になって高橋静恵たちを見る。


 「今回のミスコン、負けないわよリンダちゃん、由紀恵ちゃん!!」

 「‥‥‥露出が多ければいいものではない。ちらリズムこそ至高」

 「いやいやここはダイレクトに健康美で!」


 こいつらはぁ~。

 やる気満々だった。
 私はため息をついていよいよ開催されるミスコンの舞台を見上げるのだった。 
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