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第六章
6-15苦悶
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6-15苦悶
シコちゃんが眠って早一週間、未だに呼び掛けに反応は無い。
「エルハイミさん、今日こそはシェルさんにちゃんと覚えてもらってください!」
寮母のシルフィーさんにあたしは怒られている。
うう、本当はシェルが怒られるべきはずなのに!!
またまたシェルの奴、素っ裸のままで中庭の噴水で水浴びしていたらしい。
「す、すみませんわ、よく言い聞かせておきますわ」
あたしは平に謝るしかなかった。
あれから教員用の部屋では狭くてシェルが寝泊まりできないという事でソルミナ教授はあたしにシェルを押し付けてきた。
師匠もマーヤさんゆかりの者だから面倒見なさいとか言うし、女子寮もふらふらされては困るから知人のあたしが面倒見ろと言う事でいつの間にか同居人とされてしまっている。
身分的にはあたしの付き人って事にしているらしいが、いつそんなことが決まった?
『シェル、あなた今どこにいるのですの!? また噴水で水浴びしていたらしいじゃないですの!?』
『あ、エルハイミ、おはよう~。さっきまで水浴びしてたけど今は屋根の上で日向ぼっこしてるよ』
こ、こいつ、平然と!!
『いいからすぐにここに戻ってきなさいですわ!!』
『なになに? もうご飯?』
朝っぱらからこいつときたら自由気ままなままだ。
あたしは朝からため息をついてティアナの部屋の扉を見る。
ティアナはシェルが同居すると聞いた時猛反対した。
何ならシェルに一人部屋用意するとまで言い出すほどに。
しかし今はこの女子寮に空いている部屋は無いし、使用人部屋もいっぱいだ。
結局あたしが毎晩ティアナの所へ行く事で渋々了承することになったけど、そうするとあたしの部屋って何?
もともと荷物は少ないし、部屋も空くことが多かったからこざっぱりはしているけど、今はシェルが家主のようになっている。
うう、あたしの部屋がぁ‥‥‥
「何? エルハイミ??」
あたしの苦悶を全く感じずシェルがやってきた。
「あなた、あれほどだめだと言ったのにまた中庭の噴水で水浴びしていたのですの? しかも素っ裸で!!!?」
「えー、だって女子寮のお風呂ってお湯じゃない、あんなの熱くて入れないよ! それに噴水で水浴びするのに裸にならなきゃ水浴びなんてできないじゃない?」
「中庭の噴水は男子寮から丸見えですわ!! 何度言ったら分かるのですの!? こちらの世界では混浴は特別な意味を持ちますのよ!」
はぁはぁ、これで何度目だっけ?
何度説明してもこいつは覚えないのだから。
「どうもその混浴がダメってのが分からないのよね? 体を清めるだけだってのになんでダメなの?」
「だ、男女が裸で混浴なんてしたら間違いが起こりやすいですわ! ソルミナ教授から聞いてないのですの? そのうち本当に襲われますわよ!!」
「男女じゃなくてもエルハイミはティアナ襲ってるじゃない? 昨日の夜だってあんなに激しくティアナの胸を揉んだり吸ったり、舐め回したり‥‥‥」
「わーわーわーですわっ!!!!」
あたしは赤面して両手を振りながら慌てる。
こんな所でなんて事言いだすのよ!!
「あ、あれには深い訳が有るのですわ! 私とティアナの運命がかかっているのですわ!!」
シェルはジト目であたしを見る。
「それは前にも聞いたけど、結局お楽しみなんじゃない?」
ぼっ!!
あたしは真っ赤になって頭から湯気出す。
「朝から何? 騒がしいわね‥‥‥」
ティアナが扉を開けてキャミソール姿で現れる。
その姿はなまめかしく、片方がはだけて最近大きくなったティアナの胸がもう少しで見えそうだ。
そしてティアナはあたしがいるのに気付くとはにかむ様にぽっと赤くなりもじもじと嬉しそうにする。
「ほら、やっぱりそうじゃない?」
「あうううぅぅぅぅっ」
* * * * * * *
「で、結局またエルハイミが怒られたと言う訳ね?」
食堂で朝食をとりながらあたしたちは先ほどの事を話していた。
ティアナはフォークをぴっとシェルに向けて言い放つ。
「今度水浴びしたかったらあたしに言いなさい。特大の水生成魔法でシェルもろとも下水にきれいに流してあげるわ!」
「なんですって!? その前に水の精霊呼び寄せてティアナにその水全部ぶっかけてあげるわよ!!」
がるるるるっ!
ふしゃー、ふしゃーっ!!
朝からやめてほしい。
あたしはため息つきながらサラダをかじる。
「それよりエルハイミちゃん、『至高の杖』はまだ目覚めませんか?」
アンナさんは食事を終えて分厚い本を読んでいた。
あたしも気になって毎日呼び掛けているけど今の所目覚めてはいない。
「駄目ですわね、毎日呼び掛けているのですが‥‥‥」
この一週間で四連型の組付けは終わっている。
しかしいろいろと怖いのでまだ火は入れていない。
万が一暴走など起こしたらそれこそ取り返しのつかないことになってしまう。
ここは安全性を高めるためにシコちゃんに協力してもらうのが一番いい。
「そうですか‥‥‥ そうすると他にはこの方法しかないでしょうか?」
そう言ってアンナさんはアイミを見る。
ぴこ?
アイミは小首をかしげる。
「どういうこと?」とか言っているようだ。
「アンナさん、アイミが何か?」
「アイミはマシンドールの姿ですがれっきとした上級精霊イフリートが核になっています。しかもすごく安定した状態で私たちにも非常に強力的です。なのでアイミの意志を四連型と共有することにより安定性を保つという方法です。ただ、出力に関してはもしかすると落ちるかもしれませんが‥‥‥」
アイミを使って四連型魔晶石核を安定させる?
「そんなことできるの?」
ティアナがいつの間にかこっちに戻ってきた。
「はい、殿下。ただし先ほど言った出力が落ちるのは各魔結晶石が半分寝ているような状態になるからです。様は寝ぼけているところにアイミの意志で連動をかけ動かすという方法です」
つまり催眠状態のような感じで動かすって事かな?
「エルハイミちゃん、アイミはもう一人のイフリートが魔結晶石の中でどうなっているかわかりますか?」
アンナさんに質問されてアイミはもう一度小首をかしげる。
そして耳をピコピコと動かす。
ぴこぴこ?
「えーと、寝てるかもだそうですわ」
「アイミが呼びかけるとどうですか?」
ぴこっ!
「めんどくさそうに返事するみたいですわ‥‥‥」
同族のイフリートってちゃんとコミュ二ケーション取ってるんだ。
でもそうすると他の上級精霊も同じ状態なのかな?
「アイミ、そうすると他の上級精霊も同じ状態ですの?」
ぴこぴこ?
「多分同じだと思う? あんまり仲いい訳じゃないから雰囲気しか分からないだって?」
ティアナがミルク飲みながら通訳する。
上級精霊は各女神の分身って聞いたから女神戦争で仲がいい、悪いってあるかもしれない。
そうすると本来ならシコちゃん使ってするのが一番いいんだろうなぁ。
「やはりそうですか。となると半トランス状態で催眠をかける要領でアイミの意志を割り込ませ稼働させると言う方法は使えそうですね」
アンナさんは本から顔を上げてこちらを見てからアイミを見る。
「ただできれば安全面を考えて『至高の杖』を使いたいところですが」
それはそうだけど、こればっかはシコちゃんが目覚めないと何とも言えない。
当面はアイミの線で調整が必要かもしれない。
「そう言えば今日の講義はどうしますか殿下?」
「ソルミナ教授の所、あたしたちも参加しないとやばいでしょ? 受講者少ないんだから。いけるときはいくわよ。」
ソルミナ教授の講義も人数が減ると来年度にはなくなってしまうかもしれない。
先ほどの事も含めソルミナ教授に相談する為あたしたちは朝食を終え教授の講義を受けるために移動するのであった。
シコちゃんが眠って早一週間、未だに呼び掛けに反応は無い。
「エルハイミさん、今日こそはシェルさんにちゃんと覚えてもらってください!」
寮母のシルフィーさんにあたしは怒られている。
うう、本当はシェルが怒られるべきはずなのに!!
またまたシェルの奴、素っ裸のままで中庭の噴水で水浴びしていたらしい。
「す、すみませんわ、よく言い聞かせておきますわ」
あたしは平に謝るしかなかった。
あれから教員用の部屋では狭くてシェルが寝泊まりできないという事でソルミナ教授はあたしにシェルを押し付けてきた。
師匠もマーヤさんゆかりの者だから面倒見なさいとか言うし、女子寮もふらふらされては困るから知人のあたしが面倒見ろと言う事でいつの間にか同居人とされてしまっている。
身分的にはあたしの付き人って事にしているらしいが、いつそんなことが決まった?
『シェル、あなた今どこにいるのですの!? また噴水で水浴びしていたらしいじゃないですの!?』
『あ、エルハイミ、おはよう~。さっきまで水浴びしてたけど今は屋根の上で日向ぼっこしてるよ』
こ、こいつ、平然と!!
『いいからすぐにここに戻ってきなさいですわ!!』
『なになに? もうご飯?』
朝っぱらからこいつときたら自由気ままなままだ。
あたしは朝からため息をついてティアナの部屋の扉を見る。
ティアナはシェルが同居すると聞いた時猛反対した。
何ならシェルに一人部屋用意するとまで言い出すほどに。
しかし今はこの女子寮に空いている部屋は無いし、使用人部屋もいっぱいだ。
結局あたしが毎晩ティアナの所へ行く事で渋々了承することになったけど、そうするとあたしの部屋って何?
もともと荷物は少ないし、部屋も空くことが多かったからこざっぱりはしているけど、今はシェルが家主のようになっている。
うう、あたしの部屋がぁ‥‥‥
「何? エルハイミ??」
あたしの苦悶を全く感じずシェルがやってきた。
「あなた、あれほどだめだと言ったのにまた中庭の噴水で水浴びしていたのですの? しかも素っ裸で!!!?」
「えー、だって女子寮のお風呂ってお湯じゃない、あんなの熱くて入れないよ! それに噴水で水浴びするのに裸にならなきゃ水浴びなんてできないじゃない?」
「中庭の噴水は男子寮から丸見えですわ!! 何度言ったら分かるのですの!? こちらの世界では混浴は特別な意味を持ちますのよ!」
はぁはぁ、これで何度目だっけ?
何度説明してもこいつは覚えないのだから。
「どうもその混浴がダメってのが分からないのよね? 体を清めるだけだってのになんでダメなの?」
「だ、男女が裸で混浴なんてしたら間違いが起こりやすいですわ! ソルミナ教授から聞いてないのですの? そのうち本当に襲われますわよ!!」
「男女じゃなくてもエルハイミはティアナ襲ってるじゃない? 昨日の夜だってあんなに激しくティアナの胸を揉んだり吸ったり、舐め回したり‥‥‥」
「わーわーわーですわっ!!!!」
あたしは赤面して両手を振りながら慌てる。
こんな所でなんて事言いだすのよ!!
「あ、あれには深い訳が有るのですわ! 私とティアナの運命がかかっているのですわ!!」
シェルはジト目であたしを見る。
「それは前にも聞いたけど、結局お楽しみなんじゃない?」
ぼっ!!
あたしは真っ赤になって頭から湯気出す。
「朝から何? 騒がしいわね‥‥‥」
ティアナが扉を開けてキャミソール姿で現れる。
その姿はなまめかしく、片方がはだけて最近大きくなったティアナの胸がもう少しで見えそうだ。
そしてティアナはあたしがいるのに気付くとはにかむ様にぽっと赤くなりもじもじと嬉しそうにする。
「ほら、やっぱりそうじゃない?」
「あうううぅぅぅぅっ」
* * * * * * *
「で、結局またエルハイミが怒られたと言う訳ね?」
食堂で朝食をとりながらあたしたちは先ほどの事を話していた。
ティアナはフォークをぴっとシェルに向けて言い放つ。
「今度水浴びしたかったらあたしに言いなさい。特大の水生成魔法でシェルもろとも下水にきれいに流してあげるわ!」
「なんですって!? その前に水の精霊呼び寄せてティアナにその水全部ぶっかけてあげるわよ!!」
がるるるるっ!
ふしゃー、ふしゃーっ!!
朝からやめてほしい。
あたしはため息つきながらサラダをかじる。
「それよりエルハイミちゃん、『至高の杖』はまだ目覚めませんか?」
アンナさんは食事を終えて分厚い本を読んでいた。
あたしも気になって毎日呼び掛けているけど今の所目覚めてはいない。
「駄目ですわね、毎日呼び掛けているのですが‥‥‥」
この一週間で四連型の組付けは終わっている。
しかしいろいろと怖いのでまだ火は入れていない。
万が一暴走など起こしたらそれこそ取り返しのつかないことになってしまう。
ここは安全性を高めるためにシコちゃんに協力してもらうのが一番いい。
「そうですか‥‥‥ そうすると他にはこの方法しかないでしょうか?」
そう言ってアンナさんはアイミを見る。
ぴこ?
アイミは小首をかしげる。
「どういうこと?」とか言っているようだ。
「アンナさん、アイミが何か?」
「アイミはマシンドールの姿ですがれっきとした上級精霊イフリートが核になっています。しかもすごく安定した状態で私たちにも非常に強力的です。なのでアイミの意志を四連型と共有することにより安定性を保つという方法です。ただ、出力に関してはもしかすると落ちるかもしれませんが‥‥‥」
アイミを使って四連型魔晶石核を安定させる?
「そんなことできるの?」
ティアナがいつの間にかこっちに戻ってきた。
「はい、殿下。ただし先ほど言った出力が落ちるのは各魔結晶石が半分寝ているような状態になるからです。様は寝ぼけているところにアイミの意志で連動をかけ動かすという方法です」
つまり催眠状態のような感じで動かすって事かな?
「エルハイミちゃん、アイミはもう一人のイフリートが魔結晶石の中でどうなっているかわかりますか?」
アンナさんに質問されてアイミはもう一度小首をかしげる。
そして耳をピコピコと動かす。
ぴこぴこ?
「えーと、寝てるかもだそうですわ」
「アイミが呼びかけるとどうですか?」
ぴこっ!
「めんどくさそうに返事するみたいですわ‥‥‥」
同族のイフリートってちゃんとコミュ二ケーション取ってるんだ。
でもそうすると他の上級精霊も同じ状態なのかな?
「アイミ、そうすると他の上級精霊も同じ状態ですの?」
ぴこぴこ?
「多分同じだと思う? あんまり仲いい訳じゃないから雰囲気しか分からないだって?」
ティアナがミルク飲みながら通訳する。
上級精霊は各女神の分身って聞いたから女神戦争で仲がいい、悪いってあるかもしれない。
そうすると本来ならシコちゃん使ってするのが一番いいんだろうなぁ。
「やはりそうですか。となると半トランス状態で催眠をかける要領でアイミの意志を割り込ませ稼働させると言う方法は使えそうですね」
アンナさんは本から顔を上げてこちらを見てからアイミを見る。
「ただできれば安全面を考えて『至高の杖』を使いたいところですが」
それはそうだけど、こればっかはシコちゃんが目覚めないと何とも言えない。
当面はアイミの線で調整が必要かもしれない。
「そう言えば今日の講義はどうしますか殿下?」
「ソルミナ教授の所、あたしたちも参加しないとやばいでしょ? 受講者少ないんだから。いけるときはいくわよ。」
ソルミナ教授の講義も人数が減ると来年度にはなくなってしまうかもしれない。
先ほどの事も含めソルミナ教授に相談する為あたしたちは朝食を終え教授の講義を受けるために移動するのであった。
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