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第七章

7-17マシンドールブラック

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 7-17マシンドールブラック
 

 そこは驚くほど深く深く続く階段だった。
 
 多分もう五、六階分は地下におりている。
 永遠に続くと思われた階段もやっと終わりが見え地下の広大な空間にたどり着く。

 あたしはその光景を見て息をのむ。

 
 何なんだこの広さは!?
 まるでドラゴンの巣のように広い!


 壁際に天井を支えるための柱が何本もそびえ立ち一番上は明かりが届かずうっすらと暗くなっている。
 所々にかがり火の魔法の光が輝いている。
 うっすらとそびえる神殿はギリシャアテネのパルテノン神殿のような感じがする。

 「よし、準備は良いな? 行くぞ!!」

 アコード様の号令で特殊部隊が一斉に襲いかかる。

 流石に予測していなかったのだろう、ジュメルの黒ずくめたちは対応が遅れ突っ込んだロクドナルさんに一刀両断にされ地面に倒れる。

 「アイミ!」
 
 ティアナの短い声にアイミが反応して同調しながら他の四体、ウインドー、フレイム、ウォター、アースと呼んでいるマシンドールたちを引き連れ突っ込んでいく。

 あたしは【防御魔法】を特殊部隊にかけながら後ろに続く。

 神殿からは慌てて怪人たちが出てきた。
 流石に特殊部隊でも一体につき五、六人で取り囲まないと押さえられない。
 しかしそこへアイミたちが割り込み一体ずつ倒していく。
 
 「エルハイミ、こいつらやっぱり魔晶石核タイプね! 弱い!!」

 同調したアイミなら確かに余裕だろう。
 相手の怪人の攻撃をいとも簡単に跳ね返し、その細腕のどこにそんな力が有るのかと言うくらいの剛力で怪人をなぎ倒す。
 他のマシンドールも属性の力をふんだんに使っている。


 しかし特殊部隊も何人かはケガをして後退をする。
 あたしはその人たちが下がってきたらにすぐに【回復魔法】をかけてまた前線に送り出す。

 この調子でいけば時間の問題で圧勝できそうだ。


 と、そんな楽観的な考えを打ち砕く事態が起こる!


 ロクドナルさんが吹き飛ばされて後方まで飛んでくる!?

 あたしはすぐに念動魔法でロクドナルさんを受け止める!

 「何が有りましたの!?」
 
 駆けつけロクドナルさんに【回復魔法】をかけながら聞く。

 「マシンドールが出ました! 流石双備型! まさか防御した上からチャリオットを食らうとは思いませんだ!」

 何?
 チャリオットってガレント三十六式の!?
 そう思っていると【炎の矢】が飛んできた!

 しかしそれを曲芸がごとくシェルが弓矢で撃ち落とす!!


 「エルハイミ大丈夫!? 魔法の矢がどんどん飛んでくる! 何とかしてさばききれない!!」

 次々とくる【炎の矢】を弓矢で迎撃しているが流石に全部は撃ち落とせない!
 あたしは同調してその【炎の矢】を魔力に還元して吸収するけど流石に全部は出来ない!

 危ないっ!

 そう思って勝手に【絶対防壁】が発動する寸前そこに割って入る影!
 異形の兜に変身したショーゴさんだ!

 彼は義手でその【炎の矢】を弾き飛ばす。
 
 「主、無事か!?」

 「私は大丈夫ですわ! それよりシェルの防御を!!」

 見ると今度はシェルに向かって【炎の矢】が雨のように降り注ぐ!
 
 「うわっきゃぁ! むりむり!!」

 そう言ってシェルは腰につけてた革袋の紐をほどき媒介の水を使って水の精霊を呼び出し自分の前に水の壁を出現させる!

 なんて器用な真似を!!
 しかしこれで【炎の矢】はしのげた!

 「ティアナ、マシンドールが出てきましたわ!!」

 「わかった! アイミ!!」

 神殿奥より女性型のマシンドールが二体出てきた!


 その姿は全身が黒く塗られ背中から触手のようなものが数本生えている。
 所々にとげとげしいものがついていて、世紀末の奴等みたいな感じがする。

 
 マシンドールブラックは触手をこちらに向けて再度【炎の矢】を打ち放つ!
 しかもマシンガンのように連射で!!
 
 自分一人なら何とでもなるけどこうも広範囲に乱射されてはみんなを守るのが一苦労だ! 

 「シコちゃん、特大防御魔法お願いですわ!!」

 『わかったわ! 【完全防御壁】!!」

 シコちゃんに魔力を流し込みシコちゃんが魔法を発動させる!
 あたしたちの目の前に全体的に透明な壁が発生する!?
 それはこちら側全部を蔽うかのように飛来する全ての【炎の矢】を防いだ!

 数百発はあるだろうそれを完全に防ぎ切ってから透明な壁は消えた。


 「またあなたたちですの!? この貧乳娘どもぉ‥‥‥??」


 声のした方を見るとジェリーンが神殿の二階窓に立っていた。

 「小娘ども意外と成長いいですわね? まあ、私にはまだまだ及びませんが、おーっほっほっほっ!!」

 「何の自慢しているのよ! 今日こそとっ捕まえてあげるから覚悟しなさい!!」

 ティアナがジェリーンに啖呵を切る!

 「そうはいきません事よ! お前たちやっておしまい!!」

 ジェリーンがそう言って残りの怪人たちが飛び出してくる!
 と、何と蝙蝠のように空飛んでいたり遠方魔法攻撃してくる個体がいる!?


 「ジェリーン、何事です?」

 「奇襲ですわ! フィジーあなたもとっとと魔怪人呼んできなさいな。あいつらガレントのマシンドール使いですわ!!」

 奥からもう一人美人の巨乳で茶髪のおっとりした感じのボンテージ女幹部が出てきた!
 初めて見る顔だけど、相変わらずこいつらってでかいな!!

 「全く何をやっているのです? これでは安心してガルザイルに向かえないでは無いですの!」

 そう言いながら怪人たちに指示を出す!


 「お前たち、融合よ!! 【融合魔法】!」


 すると奥から出てきた怪人たちは遠方攻撃していた怪人と蝙蝠型の怪人が融合合体を始める!?
 他にも残った怪人たちが融合合体を始めてその体を一回りも二回りも大きくする!!
 残っていた怪人たちは一体を残して全て融合をした!


 「でかくなったからと言っても隙だらけだぞ! むんっ!!」


 飛び込んだロクドナルさんが剣を一閃させる!
 しかしその刃は怪人を切ることなく受け止められた!?

 見ると剣が当たっている場所に最小限の【絶対防壁魔法】が発生している!?


 なんという器用なことを!!


 しかしこの刹那が悪かった!
 見込みと違う強度にロクドナルさんの動きが止まる。
 そこを怪人の剛腕が打ち抜く!?

 流石に受け身を取ったみたいだがロクドナルさんは地面に叩きつけられながら防御した片腕が変な方向を向いている!?

 あたしは慌ててロクドナルさんに駆け寄り【回復魔法】で間に合いそうも無いので【治癒魔法】で治療する!!

 「かたじけない! エルハイミ殿!」

 ロクドナルさんは言いながら立ち上がるが足元がふらついている。
 完全には回復していないのだ。


 「厄介ね、なんなのあれは!?」

 シェルが水の精霊を使いながら防御をしているけど時たま強力な【炎の矢】が飛んでくる。
 数こそ少なくなったけど威力が桁違いだ。

 『エルハイミ、あいつら双備型と同じような魔力循環してない? やたらと魔法攻撃が強くなってるわよ?』
 
 シコちゃんに言われあたしは【感知魔法】で融合怪人を見るとほんとだ!!
 完全じゃないけど循環がされていて魔力増幅している!?

 「厄介な敵ですわね‥‥‥ ティアナ、気を付けてですわ! 融合怪人はほとんど双備型と同じだと思ってくださいですわ!!」

 アコード様たちの特殊部隊が押され始めた。
 アイミたちも融合怪人とマシンドールブラックに押されている!?


 マジ?

 
 これってやばくない??


 「おーっほっほっほっほっ!! いいですわぁ! そのままやっておしまい! フィジー!!」

 「私に指示しないでください! まあ攻勢ならそのまま行くまでです! お前たち一気に行きなさい!!」
 
 高みの見物の二人は無駄に大きな胸を張って高笑いしている!


 うあー、あれってなんか腹立つぅ!!


 『仕方ない、エルハイミ魔力をちょうだい! 大きいの行くわよ! みんな逃げて!!』

 シコちゃんにあたしは魔力を注ぎ込みながらみんなに避けるように言う!

 「大きいの行きますわ! みんな避けて!!」


 あたしは更にシコちゃんにどっと魔力を流し込む!


 『きたきたきたぁ!! あっついのが中にたっぷり入ってくるぅ!! 行くわよ【大地鋏】!」


 シコちゃんの魔法が発動して融合怪人やマシンドールブラックの足元から岩の板が左右にせり出て挟み込む!

 万力で絞めるかのような強力な圧力が個々の融合怪人やマシンドールブラックを襲う。
 しかし、すべての融合怪人とマシンドールブラックが双備型魔晶石核をフル回転で稼働させる!?

 胸の辺がうっすらと赤くなってひかり、シコちゃんが使った【大地鋏】の壁を押し戻す。

 ほどなくその馬鹿力で岩の板を破壊した!!


 『うっそぉっ!? あの魔法の壁壊すの!? どんだけ馬鹿力なのよ!!!?』


 シコちゃんまで驚いている!?



 
 融合怪人とマシンドールブラックは何事も無かったかのように歩み出るのだった。
  
 
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