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第一章私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?
1-2学校見学
しおりを挟む「由紀恵ちゃん、聞いた? 桜東が来週の学校見学を受け付けるって」
「もちろん知っているわ。既に参加申し込みの用紙はもらってあるわよ。ああ、紫乃の分ももらってあるからね」
私は既に参加申し込みの書類に必要事項を書き終わり提出する準備が整っている。
同じく桜川東高校を受験したいという紫乃の為に余分にもらっておいた参加申込書を紫乃に渡す。
「うえぇ~ん、やっぱりわかりにくい。由紀恵ちゃん教えてぇ」
「仕方ないわね、このくらいちゃんと出来ないと桜東に受からないわよ? はいはい、私のを参考に自分で書きなさい」
ピーピー言っている紫乃に私の書類を見せながら必要事項を書かせる。
「長澤さんいますか? 生徒会から呼び出しですよ?」
教室の扉の所で他のクラスの女の子が私を呼ぶ。
どうやら生徒会で何か有るようだ。
紫乃に書類を書かせ自分の書類をしまってから私は生徒会室へ向かう。
何せ生徒会副会長をさせられている身分。
本当はやりたくなかったのに推薦で無理やりやらされている。
私はとぼとぼと生徒会室へと向かうのだった。
* * *
「聞いたぞぉっ! 長澤っ! 貴様県央高校推薦を断ったのだと!? 何故だ!? 僕は県央推薦受けるのに!?」
いきなり生徒会長の新田泉一郎がまくしたてる。
この人頭良いはずなのにたまに闘争心むき出しで私に突っかかって来るのよね。
めんどい。
「呼ばれましたけど何ですか?」
「むっ!? 僕の質問に華麗にスルーとは!? まさか貴様私立の進学校に行くつもりか!?」
「会長、要件言ってください」
睨み合う私と会長。
しかし会長はいきなりふっと笑い語りだす。
「まさか貴様が敵前逃亡とはな。あれだけ僕と熾烈を極める成績争いをしておきながらな。そうか、分かったぞ、貴様女子高にでも行くつもりか!? まあいい、貴様がキャッキャウフフしている間に僕はさらなる高み、東大を目指すだけだがな!」
「あー、それでも何でもいいですから要件言ってください。 あ、吉野君結局何の用なの?」
「は、はい、長澤先輩。来週から始まる公立高校の学校見学について参加者の整理と各高校への送迎バスの日程についてです」
後輩の吉野晴幸君。
二年生で書記。
まるで小学生のようなその容姿から女生徒の間で人気とか。
確かに紫乃と同じく小動物っぽい所がある。
「では日程表を作って人数確認とバスに乗れるかどうかの確認ね?」
「はい、予定表はもう僕がまとめました。参加者の方は今日のホームルームで参加希望用紙の回収してからですね」
「流石吉野君、仕事が早いわね。助かるわ。で、会長。回収した参加希望の用紙で人数を決めてバスの手配をすればいいんですね? 先生たちにはそれで話してください」
私は早い所かたずけたくて提言する。
「む? 長澤、貴様に仕切られるのは気に入らんが仕方ない。先生方には僕から話そう」
ふんぞり返っているけど何威張ってんのかしら?
あきれて吉野君の反対に座っている天川陽子ちゃんに視線を向ける。
吉野君と同じ二年生、生徒会書記。
陽子ちゃんはキラキラした目で新田会長を見ている。
「ステキ‥‥‥」
あー、そう言えば陽子ちゃん会長にあこがれて生徒会に入ったんだっけ。
こんなのの何処が良いのやら。
「では放課後此処でちゃっちゃと終わらせましょう。良いですね会長?」
「うむ、良きにはからえ」
私はため息ついて生徒会室を後にする。
でもお兄ちゃんの学校見学できると思うと思わず足元も軽くなる。
もしかしたら見学中にお兄ちゃんが見れるかもしれない。
「うふふふふっ」
にやにやが顔に出ちゃいそう。
もうすぐ教室なので深呼吸してから元の顔に戻して部屋に入るのだった。
* * * * *
放課後に生徒会室で職員室からもらってきた希望用紙の仕分けをする。
各高校ごとにファイリングして参加希望者の名簿を作り、人数確認をしてバスに乗れるかどうかの確認をする。
うちの中学校はこの界隈で一番大きい。
「市立桃ノ木中学校」は少子化のこの時代でも一学年六クラス位有る。
近郊の小学校は四つありそれが全部この中学校に集まるのだから当然だ。
なのでひと学年二百人以上いるのが当たり前になっている。
近くの別の中学校だと酷い所はひと学年二クラス有るとか無いとか‥‥‥
だから高校側もこうして見学会を開いてその高校に来てもらおうという事らしい。
男子生徒の中には授業に出なくていいからと言って喜んで参加する子もいるけど、その分宿題の課題が増えるの知っているのだろうか?
そんな事を考えながら整理していくと思っていたより早く作業が終わった。
「長澤先輩、桜川東高校に見学希望だったんですか? 僕、てっきり市立女子高校かと思ってましたよ」
「意外かしら? 私は地元の大学目指しているから別に家から近い方がいいかなって」
吉野君は意外そうに私を見ている。
私ってそんなに女子高に行くイメージなのかな?
「桜東って共学でしたよね? 僕もそこに行きたいな‥‥‥」
「吉野君だって成績良いのでしょ? だったら桜東なら余裕なのじゃない?」
吉野君も成績良かったはずだからその気になれば県央高校狙えると思うんだけどな?
「でも桜東ならまた先輩に会えるし‥‥‥」
「ん? 何か言った?」
「いえ、何も。そうですか、桜東かぁ。僕もそこに行きますね!」
「あら、じゃあまた私の後輩になっちゃうわよ?」
「ええ、喜んで!」
うーん、なんかずいぶんと素直な子ねぇ。
弟ってこんな感じなのかな?
作業も終わって後の事は生徒会長様にお願いして私たちは下校する。
お兄ちゃん、私が学校に現れたらどんな顔するかな?
この事は当日まで内緒にしよう。
私はひそかな楽しみを秘めて帰宅するのであった。
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