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第二章絶対にお兄ちゃんの高校じゃ無きゃ…
2-1それでも変わりません
しおりを挟む「なあ、長澤。考え直さないか?」
私は職員室に呼び出されて担任の新島先生にそう言われる。
新島先生の手元には中間テストの結果が有った。
「進路希望アンケートの通りです。私は桜川東高校一択です」
新島先生は私にはっきりと言われてため息をつく。
「しかしなぁ、お前自分の中間テストの成績知っているのか? 学年一位だぞ?」
「たまたまです。とにかく私は一刻も早く桜川東に行かなければならないのです!」
新島先生にそうはっきりと言って呆れられながらも職員室を後にする。
私にしてみればこんな事している暇は無いというのに!
なんとしてもあの高橋静恵をお兄ちゃんから遠ざけなければいけない。
だって先日お兄ちゃんの部屋を掃除していたら巨乳グラビアアイドルの写真集が出てきたのだもの!
ゆ、許せない!
あんな脂肪の塊の何処が良いのよ!?
胸なんて控えめくらいの方が可愛いのよ!!
私はいらいらしながら自分の教室に戻る。
「ああ、由紀恵ちゃんお帰りぃ~」
紫乃がゆるく私を出迎える。
そう言えばこの子は中間テスト苦手科目をあれだけ教えてやったのに今回もまた良い点取れなかったっけ?
「紫乃、後で勉強会よ! こないだの中間試験、苦手科目全然良くなっていなかったじゃない!」
「ええぇ~!? いきなりどうしたの由紀恵ちゃん?」
紫乃は小動物の様に私に威嚇されてプルプル震えている。
しかしこの子にも桜川東受かってもらってお兄ちゃんに余計な虫が着くのを阻止するコマとして手伝ってもらわなければならない!
せめて桜川東が余裕で受かるくらいに学力高める特訓よ!!
私がそう頑なに誓っていると授業開始のベルが鳴ったのだった。
* * *
「長澤ぁっ! 貴様中間テストで僕に勝ったからって良い気になるなよ!? 期末テストで一学期の勝負に決着をつけてやる!」
「はいはい、何でも良いですから早い所生徒会の仕事終わらせましょう、新田会長」
相変わらずつっか掛かってくる会長を適当にあしらい運動部の三年生最後の応援会の予定表を作る。
三年生の運動部はこの夏休み前の大会で引退となる。
部活自体は在籍するけどほとんどの子が受験の準備で部活には顔を出さなくなる。
だから最後の試合の応援の為毎年この時期に生徒会が主催で応援会を開く。
「長澤先輩って部活に入っていないのでしたっけ?」
一つ下の書記の吉野君が聞いてくる。
「うん、いろいろと誘われたのだけど自分の時間が取れなくなるからね。一応読書部には所在しているのだけどね」
三年生になってからは生徒会が忙しくてなかなか読書部には顔を出していない。
幽霊部員になってしまっているけどあの部活自体がほとんど活動していないしなぁ。
そう言えばお兄ちゃんは高校に入ってからバスケ部に入っているんだっけ?
確か運動不足とか言って弱小でそれほど部活に力の入っていない雰囲気も緩やかな部活だって言ってたけど。
「先輩の志望する桜東って部活で何か有名なの有りましたっけ?」
「そう言えば聞かないわね、なにかあったかしら?」
吉野君のその言葉に私は首をかしげる。
お兄ちゃんの事しか考えていなかったから部活動であの高校が何が有名なのか気にもしなった。
「あそこは卓球が強いって言ってましたね?」
書記の陽子ちゃんが思い出したようにそう言う。
卓球ねえ。
なんか地味ね。
そんな事を思いながら仕事を終える。
後は会長に頼んで私たちは下校した。
* * * * *
「由紀恵ちゃん、じゃあまた明日ね~」
「うん、それじゃぁまた」
紫乃と別れ家に着く。
時間を見ればまだ早い。
ふと先ほどの部活の話を思い出す。
お兄ちゃんがバスケで汗を流す姿を想像するとなんとなくドキッとしてしまう。
そう思うとお兄ちゃんの運動している姿がどうしても見たくなってきちゃう。
‥‥‥どうしよう?
お兄ちゃんの高校は自転車で行けばすぐだし。
私はそんな事を思いながらふらふらと自転車を引っ張り出していたのだった。
* * * * *
きいぃっ。
自転車のブレーキが音を鳴らせて車体を止める。
桜川東高校は午後の部活時間になっていて校庭や体育館では運動部の人たちがうごめいていた。
さて、お目当てのお兄ちゃんのバスケ部はっと。
道路から開けっ放しの体育館の扉を覗き見る。
体育館のバスケットコートでそれらしい人たちが動いていた。
きっとあそこにお兄ちゃんもいるのだろう。
本当は中まで入って行ってタオルや飲み物渡したいけど校内には勝手には入っちゃいけないのでここから覗いているわけだけど‥‥‥
いたっ!
お兄ちゃんだ!!
うわーっ、何あのドリブル!?
かなり様になっている。
ゆるいとか運動不足解消とか言いながら結構マジでやってるみたい?
あ、なんか汗がキラキラ輝いていて、今のシュートっとか結構かっこいいかも♡
こ、高校に入ったら時間は短いだろうけどお兄ちゃんの為にバスケ部のマネージャーとかになるのもアリかな?
むふふ、「おつかれさまぁ~」とか言ってお兄ちゃんにタオルを渡すとか。
そう、今まさにお兄ちゃんにタオルを渡しているあの子みたいに‥‥‥
え?
あの子みたいにって‥‥‥
私は思わず半妄想の世界から現実世界に超特急で引き戻されこの距離から猛禽類の鷹の様な目でその信じられない光景を見る。
「なななななっ!?」
お、お兄ちゃんだけにタオル渡している女の子がいるぅっ!?
だ、誰それ!?
高橋静恵じゃないし、知らない子!?
何それ!?
あ、ありえない!
わたしのお兄ちゃんにっ!!
私は自転車を手放してフェンスにしがみつく。
ガシャンと自転車が倒れる音がするけどそれ所じゃ無い!!
ああっ!?
何お兄ちゃん楽しそうにその子と話しているの!?
「あれ? もしかして長澤の妹さんの由紀恵ちゃん?」
いきなり声のかけられた方を見ると先日教室で会ったお兄ちゃんの親友と名乗る男が!?
「お兄ちゃんの親友その一! ちょうど良いです、あれはどう言う事ですか!?」
「親友その一って、太田剛志だよ。できれば名前覚えて欲しいな。んで、何?」
私は親友その一をとっ捕まえて体育館のお兄ちゃんといまだ楽しそうに話しているあの女を指さす。
「お兄ちゃんと話しているあの女です! 一体どう言う事です!?」
「ん? ああ、バスケ部のマネージャーの確か矢島紗江(やじまさえ)だっけっかな? そういや友也と仲良かったっけ?」
「なっ!?」
私は思わず親友その一の胸ぐらをつかんでゆすってしまう。
「お、お兄ちゃんに限ってそんな事あり得なぁーいぃっ!!」
「わわっ、落ち着けよ、俺に言われてもなぁ。 そうだ、おーい、友也ぁっ!!」
親友その一はそう言って大声でお兄ちゃんに声をかける。
お兄ちゃんもその声に気付いてこちらを見て手を振る。
そして私にも気付いたようだ。
手招きする格好をしているけど良いのだろうか?
「呼んでるみたいだな? 行ってみる?」
「良いんですか? 私まだ部外者で勝手に校内に入っちゃまずいんじゃないですか?」
「俺と同伴なら問題無いだろう? どうする?」
「行きます!」
私は親友その一と共に体育館のその入り口まで行く。
「由紀恵、どうしたんだい? こんな所まで??」
「お、お兄ちゃんにタオルと飲み物渡そうかと思って‥‥‥ こ、これどうぞ」
「ああ、ありがと」
お兄ちゃんはそう言って私が準備したタオルと飲み物が入ったビニール袋を受け取る。
「あれ、長澤先輩誰ですかその子?」
後ろからあの女がやって来る。
「ああ、俺の妹。それにしても剛志まで一緒ってどうしたんだよ?」
「ああ、たまたまそこで会ってな」
「へぇ、長澤先輩の妹さんですか。かわいい子ですね? こんにちわ、私矢島紗江っていいます」
一応社交条例で挨拶をしてくるあの女。
仕方なく私も挨拶する。
「‥‥‥こんにちわ、妹の由紀恵と言います」
私がそう挨拶しているとバスケ部の人がお兄ちゃんたちを呼ぶ。
「締め入るぞぉ。スリーオンスリーでワンセットやって終わりな!」
「はーい、今行きます」
矢島紗江はそう言って手を振ってお兄ちゃんに行きましょうという。
「じゃあ、由紀恵ちゃん、部活があるから長澤先輩連れてくね」
「あ、お兄ちゃん、終わったら一緒に帰ろ!」
「悪い、この後に矢島たちと約束があるんでな。先帰っててくれ。じゃなっ!」
そう言ってお兄ちゃんはあの女と行ってしまった。
私はふるふると震える。
「な、なあ、由紀恵ちゃん? お、俺もう帰っていい?」
「待ちなさい親友その一! ちょっと話があるから付き合いなさい!!」
私は親友その一を引き連れて自販機の前でジュースをおごりながらお兄ちゃんの高校での情報をこいつから引き出すのであった。
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