私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?

さいとう みさき

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第七章クリスマスは家族で一緒にいなきゃいけないよ?

7-4先手を打たれた

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 「ただいま、って高橋? あれ、矢島に泉までも?」


 玄関で靴を脱いでいたお兄ちゃんは階段から降りてくる私たちを見て驚く。
 
 「お兄ちゃん!」

 「ああ、そうだ由紀恵ごめん。クリスマスバイトのシフトが入っちゃったんだ」


 びきっ!


 私は石化してしまった。


 びきびきびきっ!


 そして後ろからも同じ音がする。
 そう、高橋静恵も矢島紗江も泉かなめも先ほどのお兄ちゃんの言葉を聞いたのだ。

 「いやあ、流石に彼氏彼女もちにシフト押し付けるのは可愛そうだし、手の空いてるのは俺と剛志くらいだもんなぁ。剛志が言わなかったら気付かなかったよ」

 お兄ちゃんは「はははっ」とか軽く笑っているけど、親友その一、貴様は後で死刑だ。


 何お兄ちゃんに余計な事言ってるのよ!!
 シングルベルはお前ひとりでしなさいってのよ!!


 「お、お兄ちゃん、クリスマス・イブの夜は家族で過すのは?」

 「ん? ああ、今年は二十四日は土曜日じゃん。だからフルなんだ。夜には帰ってくるよ、多分十時過ぎにはなっちゃうけど」

 
 ガーン!!


 私は二度目の石化をする。
 勿論後ろの連中も同じだ。


 すると紫乃が遅れてやって来た。

 「ほえ、友ちゃんお帰り~」

 「おお、紫乃ちゃんいらっしゃい」

 「友ちゃんお疲れさんだねぇ~、クリスマスもバイトなの?」

 「ああ、仕方ないんで引き受けた。まあ俺と剛志なら時間もあったからね」

 「ふ~ん、じゃあさぁ、日曜日に私の家でクリスマスパーティーしない? 由紀恵ちゃんたちも呼んで」


 え?
 し、紫乃ぉ??


 「なんかね、みんなクリスマスは友ちゃんと一緒にいたいんだって。でもバイトじゃ仕方ないよね? だからたまにはうちに来てみんなでパーティーするってのはどう?」

 「へぇ、いいじゃん。あ、そうだ。じゃあさ、お店のケーキがもし余ったら持ってくるか? 二十四日の夜まででうちの店のケーキは販売終わりだからな。多分余るだろう。毎年余ったらバイトがもらっていくらしいからね」

 紫乃は「おおぉ~」とか言って喜んでいる。
 そして私に向かって確認をする。 
 
 「ね、由紀恵ちゃん良いよね?」

 「し、紫乃にしてはずいぶんと機転が利くわね?」

 「う、うん、イブはダメでも長澤君とクリスマス出来るなら」

 「先輩と一緒なら」

 「‥‥‥ホテルはキャンセルっと」

 泉かなめ、貴様本当に予約入れてたの!?
 スマホをいじってるところを見るとどうやら本当に予約していたようだ。


 「んじゃ、剛志も呼んでいいかな紫乃ちゃん?」

 「いいよぉ~」

 と、お兄ちゃんもスマホを取り出しSNSで親友その一にメッセージを送る。


 「ちょ、紫乃あのバカも呼ぶ気?」

 「え? だってみんなでパーティーする方が楽しそうじゃない?」


 むう、元はと言えばあいつのせいでイブの夜にお兄ちゃんと過ごせないと言うのに。  

 
 「でも珍しいね、紫乃ちゃんが家に呼んでくれるなんて」

 「うん、実はクリスマスはお父さんとお母さんお出かけなんだ。田舎のおじいちゃんの調子が悪いって。でも私には遠い所に行くの大変だし学校もあるからって言われて一人でお留守番だったんだぁ」


 え?
 そうだったの?


 「ふーん、じゃあ寂しいんじゃないか?」

 「うん、だからパーティーしよう~」


 屈託ない笑みでにへらぁ~とする紫乃。
 お兄ちゃんはそんな紫乃の頭をなでている。

 うっ、なんかうらやましい!!


 
 こうしてクリスマスイブはダメでもクリスマスに紫乃の家でクリスマスパーティーをする事となったのだった。
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