私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?

さいとう みさき

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第十章絶対合格しなきゃいけないよ!!

10-2悪い時は悪い事が重なるのよね

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 問題が発生した。

 それまで回復傾向にあった私は夜半いきなり高熱を発し始めた。


 「ぜぇぜぇ、な、なんで?」


 「由紀恵、とにかくこの熱さまし飲みましょう」

 お母さんが熱さましの薬を飲ませてくれる。
 とにかく頭がぼぉっとして意識ももうろうとする。


 「三十九度三分だって? 母さん、医者に連れて行こう! 父さん呼んでくる!!」


 お兄ちゃんはそう言って慌てて部屋を出て行った。

 階下でドタバタとしている。
 きっとお父さんが車の準備をしてくれているんだ。

 「由紀恵、とにかく急患に行きましょう。動ける?」

 お母さんはそう言うけどうまく体が言う事聞いてくれない。
 私は起き上がろうにも体に力が入らないのだ。

 「母さん、準備できた! 由紀恵?」

 ベッドから起き上がろうとしているけどお母さんに助け起こされながらふらふらする。

 「母さんダメだ、俺が由紀恵を運ぶ!」
 
 そう言ってお兄ちゃんは私をお姫様抱っこしてくれる。
 本来ならもの凄くうれしいのだけど今はそんな余裕がない。

 もうろうとする頭で状況判断するにも耳がぼわぁ~っと鳴ってまるで他人事のように感じる。

 私はお兄ちゃんに抱えられたままお父さんの車に乗りお兄ちゃんに膝枕してもらったまま病院へと運ばれるのであった。



 * * * * * 


 「やっぱり桜川東高校の制服って地味だよね~」

 「そうか? 由紀恵にはよく似合っていると思うぞ? ものすごく清純派の感じがして」

 「本当? やったぁ! お兄ちゃんだ~い好きっ!」


 桜川東高校の制服はブレザーなんだけどビジネススーツのようにちょっとお堅い。
 もしこれが私立の女子高校ならふわふわの可愛らしい感じでスカートだってチェック柄の可愛らしいやつだ。

 でもそんな事はどうでもいい。
 私は念願のお兄ちゃんと一緒に春の日差しの中同じ高校に通うんだ。

 ああ、全てが新鮮に見える!


 「でもね、由紀恵ちゃんは受験が出来なかったんだよ?」


 「へっ?」

 お兄ちゃんと一緒に学校へ向っていると高橋静恵が現れてそう言う。


 「残念ですねぇ、せっかく先輩と一緒に登校できるはずだったのに」


 今度は矢島紗江が現れてため息交じりにそう言う。


 「‥‥‥長澤君の事は私に任せて」


 泉かなめもそう言ってお兄ちゃんの横に立つ。

 「え? ちょ、ちょっとぉ!!」


 「由紀恵ちゃん、残念だよぉ~ せっかく一緒に桜川東高校に行けると思ったのにぃ~」


 そして紫乃までもがお兄ちゃんの後に付く。

 お兄ちゃんは私を残してそのまま先へ歩いて行く。
 高橋静恵や矢島紗江、泉かなめに紫乃まで一緒になってお兄ちゃんと楽しそうに話しながら歩き去っていく。

 私は必死にお兄ちゃんを追いかけようとするけど動けない。
 それどころかいつの間にか制服が中学のセーラー服に戻っている!?

 「うそっ! やだっ! お兄ちゃぁあああぁんッ!!」

 私の叫び空しくお兄ちゃんたちはどんどん遠くへ行ってしまう。
 私は涙を流しながら只々叫んでいるだけだったのだ。



 ―― はっ!? ――

 目が覚めた。

 気付くとベッドの上で呼吸器をつけられ点滴をしていた。
 どうやら熱は下がったようだけど体中が痛い。

 私は周りの様子を見る。
 するとすぐ横にお兄ちゃんが椅子に座ったまま寝ている。


 「お、お兄ちゃん‥‥‥」

 「うん? んんっ、由紀恵? 由紀恵気が付いたか!?」


 お兄ちゃんは私の呼びかけに目を覚まし私を見る。
 疲れているのだろう、眼の下にクマがある。

 「お兄‥‥‥ちゃん。 私‥‥‥」

 「由紀恵、何も心配するな。今はその肺炎を治そうな‥‥‥」

 肺炎?
 じゃああの急に熱が出たのって私って肺炎だったの?

 「大丈夫、大丈夫だよ‥‥‥」

 いつも以上にお兄ちゃんが優しい‥‥‥
 私は何となく病室の天井を見上げふと思い出す。

 「ねぇ、お兄ちゃん‥‥‥ 今日って何日‥‥‥」

 私のか細い声が部屋に響く。

 「由紀恵‥‥‥」



 お兄ちゃんは私の名前を呼んでそのまま黙ってしまうのだった。


 
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