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第十二章:留学
12-41大魔導士杯第三戦目その4
しおりを挟むお子様ランチ。
一般的にはそのレストランの子供が喜びそうなものを詰め込んだまさしく宝箱。
チキンライスやピラフ、エビフライにハンバーグ、ケチャップの効いたスパゲティー、デザートにプリンやゼリーがつく所までまさしくお楽しみがいっぱい。
そんなお子様ランチは実はレストランでは利益がほとんど無いか場合によっては赤字になるとまで言われるほどの物だ。
確かに考えてみて欲しい。
あれだけの種類の料理を子供が食べるサイズで作るのは作り置きも出来ないから面倒で手間だ。
食材の確保だってそれだけの為にしているので効率が悪い。
エビフライなんか大きなのじゃなく小さいのを準備しなきゃだもんね。
でも子供たちがお子様ランチを食べる時のその笑顔にレストランのシェフたちは喜びを感じるとか。
なんかそれは分かる。
誰かの為に作ったご飯で笑顔になるのはうれしいもんね。
「さてと、それじゃぁルラお皿を準備しなきゃだよね!」
「どんなお皿を準備するの、お姉ちゃん?」
私はお子様ランチと言えば車や船のお皿を思い浮かべる。
しかし、今回の相手は大人。
流石に子供っぽいものはダメだろう。
だとすると、どうしたら?
「お皿ですの? それでしたらこう言うのはどうですの? 【創造魔法】」
きんっ!
ぐにゃぁ~
ぽんっ!
アニシス様はそう言って【創造魔法】を使ってそこにあった白いお皿をエルフの少女たちが掲げるお皿に作り直した。
左右にエルフの少女が裸でお皿を抱え、真ん中が少しくぼんだ細長いもの。
大きさ的には十分で、これだけで芸術性はかなり高い。
「凄いですね、アニシス様。こんな奇麗なお皿作っちゃうだなんて」
「これはリルさんとルラさんをモチーフにしていますわ。こんなお皿でリルさんとルラさんに毎日お料理を作ってもらえると思うと私は、私はぁっ!」
はぁはぁと悶えるアニシス様。
いや、お願いだから今は妄想止めて。
モチーフが私とルラだと言うのでもう一度それを見ると裸だけど髪の毛で胸元がしっかり隠れている感じになっている。
なっているのだが……
「腕で隠れている部分もあるけど何故そこを増して作ってくれないのです……」
「モチーフに忠実にが私のモットーですわ!」
いや、そんなポリシーは要らないから!!
しかしこれは助かった。
見た目がかなりいい真っ白なお皿。
これに見た目も楽しいワンプレートのお子様ランチを作る。
「よっし、始めましょう!!」
気分一転私はそう言ってまずはお米を炊く。
今回はチキンピラフにするつもりなのでやや硬めにご飯を炊く。
その間に下ごしらえで鶏肉を準備する。
玉ねぎもみじん切りにしてまずはそれを軽くバターで炒める。
焦げない様に炒めて色が変わる前に切っておいた鶏肉も入れる。
そしてそこへ塩コショウを入れて味を調えておく。
向こうではルラにお願いしてミンチ肉にさっき切っておいた玉ねぎを入れて混ぜてもらっている。
この後塩コショウを入れてから、卵、片栗粉、パン粉、そしてナツメグの粉末も入れてよく練ってもらう。
隠し味で人参も少しすっておこう。
ご飯が炊ける前にエビフライなどの準備に入る。
皮をむき、背ワタを抜いてから均等に包丁を入れる。
これは油で揚げた時に熱で収縮して丸まるのを防ぐ為だ。
後ホタテとかイカなんかも準備しておく。
トレーに乗せて軽く塩を振って水けを抜いておく。
小麦粉と溶き卵、そしてパン粉も準備をしておく。
後時間がかかりそうなプリンを作り始める。
まずは少量の水にお砂糖、ザラメを鍋にかけてカラメル色になるまで火にかける。
この時混ぜると固まっちゃうのでゆっくりと茶色になるくらいまでやる。
そしてちょっと薄いかなくらいで火からおろして余熱を使って少量のお湯で柔らかくなるくらいまでゆっくりと混ぜる。
これでプリンの上のカラメルが出来た。
次いで溶き卵にお砂糖を入れてよく泡立たない様に掻き回す。
そこへ温めた牛乳にバニラエッセンスを入れたものをゆっくりと混ぜる。
それが出来たら今度は容器に網目の細かい網でこしながら注ぐ。
軽くトントンと器をテーブルにたたきつけて気泡を浮かせ、ガーゼでふたを閉めたら蒸し器で蒸し上げる。
「っと、ここまではオーソドックスかな? あとはパスタを茹でて付け合わせにして……」
見た目が良いお皿なのでここへ更にサラダを盛り付ける事にした。
レタスを中心に水でよく洗って水分を拭き取る。
プチトマト、パプリカなんかも準備しておく。
「うーん、これにポテトサラダも付けちゃおっと!」
たまごの雑菌をチートスキル「消し去る」で消してから油とお酢を使ってマヨネーズを作る。
これはエビフライとかにも使えるから多めに。
そして卵、ジャガイモ、ニンジンを別々に茹でて、マッシャーでジャガイモを潰す。
ここで完全に潰しきらないで少しごつごつが残るくらいにしておくのがコツ。
潰したジャガイモに茹でた人参、細かく切ったゆで卵、水でさらして辛味を押さえた玉ねぎスライス、そして細かく切ったキュウリも入れてマヨネーズを加えながら混ぜる。
味を調えるのに塩コショウとお酢を少し入れる。
「うん、出来たポテトサラダ!」
これって何故かたまに無性に食べたくなるのよね~。
ちなみに私はハムではなく茹で卵を入れる派です。
大体仕込みが終わった時点で一時間が経過していた。
さて、それじゃぁ仕上げと行きましょうか!!
まずはお皿に準備しておいた野菜を配置する。そこへポテトサラダをスプーンで丸めてポンとおく。
プチトマトとかパプリカで色彩を飾るとそれだけでもう美味しそう。
ご飯が炊けたのでチキンライスを炒め始める。
先程準備していた玉ねぎと鶏肉を炒めた物を熱してワインを少々。
ふわっと香りが立ってきたら、トマトソース、鶏肉を茹でた時に残った鶏のスープを少量入れる。
ご飯を入れてよくからめる。
ご飯は少し硬めにしているので、ソースの水分を吸ってちょうどいい感じになって行く。
それをお椀によそってお皿にひっくり返す。
ハンバーグを形にして真ん中を押してからフライパンに入れて蓋を閉め弱火で焼いてもらう。
小さいハンバーグだけど、真ん中を押さえておかないと膨れてしまうので要注意。
ハンバーグを焼いている間に熱しておいた油にエビ、イカ、ホタテに衣をつけて順次投入!
カリッと揚がったら油切でよく油を落しておく。
その間、ピクルスと少量の玉ねぎをみじん切りにしてマヨネーズに混ぜてタルタルソースも作っておく。
ハンバーグを裏返しながら、その横で沸かしておいたお湯の中に塩とパスタを放り込む。
そして玉ねぎ、、乾燥バジル、ニンニク、トマトピューレでソースを作っておく。
ハンバーグが焼き上がる頃にパスタも茹で上がるので、作っておいたトマトソースに先程の鶏のスープを少量加えてからの中に入れてからめる。
色がまんべんなくついたらそれもお皿に乗せて、その横にハンバーグを載せる。
小さく切ったチーズをのせてからハンバーグを焼いた時に残った肉汁にワイン、ソース、トマトケチャップと少量のお砂糖を入れてハンバーグソースを作ってかける。
油がしっかりと切れたフライを盛り付け、蒸しあがって魔法で冷やしてもらったプリンを横に乗せ、カラメルをかければ……
「はい、特製お子様ランチの出来上がりです!!」
いやぁ、これホントにきついわ。
各料理を少量作るとは言え、手順は同じだから手間がかかるし、冷めない様にほぼ同時で進行しなきゃいけない。
確かにレストラン泣かせと言うだけの事はある。
お店によっては作り置きもあるらしいけど、やはりそれは子供でも分かってしまうらしくそう言ったお店はあまり繁盛していないみたい。
「おおぉ~、なんか豪華なお子様ランチだ!」
「ごくり、何このご馳走の詰め合わせ!!」
「あらあらあら~ほんとリルさんのお料理はおいしそうですわね~。リルさん、これ終わったら私たちにも作ってもらえませんかしら?」
みんなも出来あがったお子様ランチを見てよだれを垂らしそう。
確かに美味しいとこ全部取りだもの、テンション上がるよね!
「あ、そうだお姉ちゃんこれ!」
そう言ってルラは私に何時の間にやら作った旗を手渡してきた。
「これって、ボヘーミャの校章?」
「うん、やっぱりお子様ランチには旗必要でしょう? 作っておいた~」
確かに、お子様ランチに旗は必須。
私はルラにお礼を言いながらそれを受け取りチキンライスに突き刺す。
「よしっと、これで完璧です!」
これで特製お子様ランチの出来上がりである。
と、ここで試合終了の合図が入る。
『はい、そこまでです! 時間が来ましたので各チーム出来上がった【美しき料理】を審査員の前に出してください!』
各チームはそれに従い審査委員の前にその料理を提出するだった。
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