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第十二章:留学
12-43大魔導士杯第三戦目その6
しおりを挟む大魔導士杯第三戦目はとうとうその最後の結果を伝える。
『さあ、続きましてスィーフチームとエルフは私の嫁チームの勝敗だぁ!!』
司会のメリアさんがそう言って手元の資料を読み始める。
『勝者は……』
思わずみんな息をひそめる。
負けるつもりはない。
でも万が一負けてしまったら私は一晩ミリンディアさんの慰み者になってしまう。
冷静に考えると、とんでもない事だ。
前世だってそんな経験なかったのに、このエルフの身体でしかもまだ本当に十七年しか経っていないこの身を好きにされてしまう。
人間で言ったら三歳児扱いの私たちにいけない事をする?
お巡りさん、この人です案件だ。
「大丈夫ですわ、スィーフの皆さまは私がたっぷりと可愛がってあげますわ♡」
「いや、こっちの身の心配もしてくださいよ…… ああっ、なんで私はあんな勝負受けちゃったんだろう!!」
後悔先に立たず。
今は結果発表を待つばかり。
『発表します、勝者は……』
ごくり。
ど、どっちなの?
『勝者は魚の入ったパイ……」
えっ?
嘘、負けた!!!?
『も非常に個性的で素晴らしかったものの、豪華絢爛で見てても楽しめたエルフは私の嫁チームの勝ちです!!』
うぉおおおおおぉぉぉぉおおおぉぉぉっ~
「はっ? か、勝った?? やった、勝てた! 勝てましたよヤリス、アニシス様!! やった、これで操は守られたぁッ!!」
ほっっっんっとうに、驚かせてくれる。
あれ絶対演出だ。
酷いよメリアさん。
私なんか汚されちゃった後どうしたらいいか本気で考え始めちゃったって言うのに……
「うふふふふふふふっ♡ 勝ちましたわねぇ~♡」
「やったねお姉ちゃん! あ、でもあたしたちの分のお子様ランチ無くなっちゃったよ~」
「あ、そっか。せっかくリルの手料理食べれると思ったのに残念ね~」
みんなは、なんか勝つのが当たり前のように軽い。
こっちは最後の最後で本気で絶望のがけっぷちに落とされた気分だったのにぃ~。
『それではこれにて大魔導士杯第三戦目を終了します。この後勝利チームはゴーレムの受け取りに来てください。決勝戦は二日後に行います。それまでに規定以内でのゴーレムの改造及び増強をしてもらいます』
ん?
決勝戦でゴーレム??
思わず私はヤリスたちを見る。
今はただ勝ち上がった事を喜んでいるけど、なんで決勝戦でゴーレムが必要になるのだろうか?
みんなが喜んでいる中、首をかしげる私だったのだ。
* * * * *
「おいひぃ~!!」
「うんこりぇはいけりゅわね!」
「あらあらあら~ヤリスもルラさんもお行儀が悪いですわよ? 食べるか喋るかどちらにした方がいいですわ。あ~ん」
控室で追加で作ったお子様ランチをみんなで食べてる。
そしてなぜかスィーフチームのお姉さん方がアニシス様の給仕をしている。
「くっ、まさか我がスィーフの伝統料理で負けるとは……」
「エルフ族ってまず飯しか作らないんじゃなかったの?」
「あぁ~、上になんて報告したらいいんだろ、リーダー私たちまで巻き込むだなんて」
「はぁ、せっかくエルフのおこぼれ貰えると楽しみにしていたのに~」
スィーフチームのお姉さん方、ミリンディアさん、エレノアさん、ハーミリアさん、クロアさんが裸エプロンのままアニシス様に仕えている。
ミリンディアさんなんか四つん這いでアニシス様の椅子になっている。
それにエレノアさんがお子様ランチをアニシス様に食べさせ、ハーミリアさんが肩を揉んでクロアさんがナプキンで口を拭いている。
「しっかしアニシス様ずるいですよ、自分ばかり」
「あら、ヤリスも彼女たちが欲しかったのですの?」
「いや、私はリルとルラのような可愛い系が好みなんで要らないです。年上はなんか姉さまを思い出すので……」
ヤリスの歪んだ性癖はやっぱりあのアイシス様のせいだったか。
給仕されるアニシス様をヤリスは横目で見てそう言うも、好みじゃないから要らないとかって。
「それより、この後大魔導士杯実行委員会にゴーレム取りに行くってどう言う事なんです?」
私はエビフライにたっぷりとタルタルソースを付けてほうばる。
サクッと美味しいそれは切れ目を入れているのでピンと真っ直ぐに揚がっている。
「あ、そっかリルたちは知らないんだっけ。ここボヘーミャはミスリル合金の産地でそれを使って作ったゴーレムを操って決勝戦は戦うのよ。魔道のその力を駆使してゴーレムを操り、戦う。まさに魔法と技術の集大成の試合になるのよ!」
魔法でゴーレム操るって……
「ちょっと待ってください、それってまだ私たちは出来ないじゃないですか。授業でもゴーレムを操る魔法はまだ教えてもらってないし、確か契約者がどうとか無かったでしたっけ?」
「そこは私が手伝いますわ。同期して戦うのはヤリスが適任でしょうですわ、あらこのプリンとても美味しいですわね♪」
私たちはまだ授業でゴーレムを操る術を習っていない。
いや、これは高等魔術に入るはずで、出来る人の方が少ないはず。
「う~ん、じゃあ契約は私がするのか。魔力送信って私苦手なんだよなぁ~」
「そこは私が手伝いますわ。ヤリスの同期と魔力送信を私が間に入ってしますから、ヤリスは私にちゃんとドバドバとねっとりとした濃厚な魔力を私の中に入れてくださいですわ」
言い方ぁっ!
アニシス様、その顔でその声でそう言う事言わないで!!
思い切り赤面する私にルラが首をかしげる。
「う~ん、ゴーレムをヤリスが操ってそれをアニシス様が手助けするっての?」
「そうですわ、それにヤリスはガレント王国の王族、ガレント流は勿論使えるのでしょうですわ?」
「ま、まぁお姉さま方やお兄様に仕込まれてはいるけど…… 私、覚醒してからは必要ないからうまくできるかどうか……」
そう言ってプリンを口に運ぶヤリス。
「ガレント流?」
なんか連続で知らない言葉が出て来るので聞いてみる。
「ああ、ガレント流ってのはね、うちのガレント王国にの王家に伝わる剣術と体術なのよ。王家の者は小さい頃からこれを教え込まれて何か有っても自力で戦えるようにって教え込まれているの。もっとも、私は覚醒したから身体能力も魔力もガレント流が無くても問題無いんだけどね……」
「しかしゴーレムを操るのは勝手が違いますわよ? ガレント流はゴーレム同士の対決には有利になりますわ」
うーん、ヤリスが操縦者に指名される理由はそう言う事かぁ。
「相手には獣人族がいますわ。彼女たちが操作するとなればあちらが有利。ヤリスの覚醒した力やルラさんのチートスキルはゴーレム同士の戦いには使えませんものね」
アニシス様はそう言ってお子様ランチを食べ終わり、立ち上がる。
そしてスィーフのお姉さん方に言う。
「約束は約束ですのであなたたちは今日から私の犬として働いてもらいますわ。しかし体面もありますから皆さんティナの街の私の所へ仕える形にしますわね。そうですわね、最低でも三年は私に奉仕していただきますわ。その後は自由の身にしてもよろしいですわよ」
「ええとぉ、それホントに三年で良いのかしら?」
「勿論、その代わり三年間たっぷりとあなたたちを味わさせていただきますわ~♡」
ミリンディアさんの質問にそう言うアニシス様の目は既に♡になっている。
危険だ。
ミリンディアさんたちの身を案じる必要はないはずだけど、心配になって来る。
「もっとも、私と一緒にいて元の場所へ帰りたいとおっしゃる方は稀ですわ」
にんまりと笑うアニシス様が怖い。
「ご馳走様~。ねえ、お姉ちゃんそのゴーレムってのはもう引き取りに行けるの?」
「どうなんだろうね? ヤリス??」
「うん、もう行ってもすぐに契約できると思うけど、アニシス様ちゃんとフォローしてくださいよ?」
「分かっていますわ。それではスィーフの皆さんは今後私の部屋に住むと言う事で手続きをよろしくお願い致しますわ♪」
とりあえずご飯も食べたし、決勝戦で使うって言うそのゴーレムを引き取りに私たちは大魔導士杯実行委員会の所へと向かうのだった。
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