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第一章:転生
1-22:アルムの受講
しおりを挟む「な、何と言う天才!!」
只今私はエマニエルさんの受講を受けている。
エマニエルさんは魔法学園ボヘーミャと言う、世界的にも有名な魔法学園を首席で卒業した才女と言う事らしいのだが……
いや、この世界の数学って足し算引き算のほかに掛け算や割り算まで出来ると大学クラスって……
色々聞いてみると、魔法が発展しているので数学、物理学、天文学等々はそれ程研究されていないらしい。
数学も、日常的に使われる足し算と引き算が出来れば生活するうえで困る事は無い。
だからか、やれ関数やら何やらと言った面倒な計算とかは全くと言っていいほど発達していない。
だから掛け算や割り算、分数等と言う事が出来ただけで数字に対する認識と理解が大学生レベルと言う事だ。
もちろん、商人などはこの辺の計算が出来ないと仕事にならないから、真っ当な商人を目指すなら大学まで行って数字の勉強をするか、大商人の下で丁稚奉公をしながら学ぶかの二つらしい。
「あの、エマニエル先生、ここをこう言う風に計算すると比率とかすぐ出ますけど……」
対比計算をして見ると、エマニエルさんは暫し横で何か長々と計算をして驚きに私を見る。
「合って……います……」
何故か悔しそうでもあるけど、私の計算ですぐに答えが出たので渋々認める。
うーん、首席のプライドを傷つけてしまったかな?
「お、おほん。算式の授業はアルムエイド様には不要のようですね。それでは語学も……古代魔法王国の上位言語が習得されているとなれば必要がなくなってしまいすね……」
うーん、算数と国語はもういいって事かな?
となると、後は社会と歴史と化学あたりかな??
「座学はアルミエイド様にはほとんど不要となりそうですが、帝王学は如何でしょうか?」
「帝王学? えっと、それって父上の言う『王道』ってやつですよね?」
「そうです。そもそも我がイザンカ王国は~」
まぁ、この辺は情報が無いから教えてもらうのは助かる。
正直アプリリア姉さんから教えてもらったものはどちらかというとお話しレベルの物が多かった。
もちろん、この国の成り立ちとかこの大陸がどう言うのかってのは大まかな話は出ていたけどあくまでお話しレベル。
エマニエルさんが教えてくれるものはちゃんとした歴史の史実からなるモノで、確かに重要な情報が満載だった。
特にこのイザンカ王国が何故首都が二つあるかとか、昔は王族同士でもしょっちゅう王位継承でもめてたとかという話は、今の兄や姉たちを見ているとちょっと信じられない程だった。
もちろんいとこであるエイジたちも。
長い歴史の中で、どうやら新たな女神様に代替わりしたあたりから更にこの世界は安定をしたとか。
でも新たな女神様って「破壊と創造の女神」様って物騒なののはずなんだけどなぁ。
「ですから、今の女神様のお陰で世界は安定をしていると言っても過言ではありません。それに今の女神様は女性の味方。『育乳の女神』とか『子宝の女神』などとも呼ばれ、女神様の恩恵を受けた女性は数知れずなのです! 伝説では一度滅んだジマの国の再建王も女神様に巨乳にされたと言い伝えがありまして~」
「いやちょっと待って下さい。その再建王とか言うのは男ですよね?」
「そうですね、しかし『育乳の女神』と呼ばれる女神様の手にかかれば男性だろうと関係ないのです!!」
なんなのその女神さまって!?
いやいやいや、男性の胸大きくしてどうする?
例えばアマディアス兄さんが胸大きくなったら……
……いや。
それはそれでアリか?
あのアマディアス兄さんは攻めっぽいのが、胸が大きくなったら受けとか?
……イイぃ。
それとっても良いぃ////////♡
「男が胸大きく成ったら邪魔ニャよ?」
「アルム様のお勉強中です。猫、静かになさい。しかし、万が一アルム様の胸が大きくなるようでしたら私めがしっかりとそれに見合う乳あてをご用意いたします!!」
「くっくっくっくっくっ、我が主は男も女も関係なく凌駕するお方! 女神など不要ですよ!!」
私が素晴らしい妄想をしていると、外野がうるさい。
まったく、そのジマの国の再建王が胸大きくなったてのも何かの誤報だろうに。
もしくは女神様の偉業を誇張する何かだろう。
「と言う事で、女神様の教えはいつしか各国の王たちにも広まり、王道の一つとして取り込まれていったのです」
エマニエルさんはそう言って本から顔を上げる。
そして私に向かって聞いてくる。
「アルムエイド様、ここまでで何かわからない所などありますか?」
「えっと、色々と聞きたいですが一番聞きたいのは、その女神様の教えって何ですか?」
「はい、それはとても単純でありながら全ての者の心に沁み込むような慈愛のお言葉です。曰く、『平穏で静かで温和な世界であらんことを』だったのです。事実女神様はこの世界で何か問題が有るとそのお力を振るうと言われています」
うーん、この世界って聞く限りその女神様にかなり左右されているのか?
まぁ、確かに「平穏で静かで温和」であればそれは人々にとって一番好い事だろう。
戦争なんて大体が人間どうしの欲から始まるものだし、普通の人は戦争なんか好んでやらない。
このイージム大陸は特に魔物が多くて住みにくい過酷な土地だけど、それでも人々は頑張って生きている。
戦争なんて無駄な事は出来る限りやりたくはないだろう。
「なるほど、『平穏で静かで温和な世界』ですか」
「はい、その通りです。そしてその世界を維持する事が王道として必要とされるのです」
エマニエルさんは何となく誇らしげにそう言う。
確かに、それを実現するのは国民にとっていい事だろう。
そしてそれを目標に王族が働くと言うのも好い事だと思う。
私は静かにその言葉を胸に刻み、納得をするのだった。
* * *
「さて、座学が終わりましたのでいよいよアルムエイド様の魔力量のお力を確認しつつ少し試させていただきます」
只今お城の中庭に来ている。
座学はとりあえず終わって、今度は魔法の受講となるのだけど一体どんなことをするのだろう?
「如何にアルムエイド様の魔力が膨大で無詠唱魔法の使い手でもその魔力が無限と言う事は無いでしょう。まずは上空に向かって連続で魔力がなくなるまで【炎の矢】を放ってください。もう魔法扱えなくなるまでです」
「はい? 上空に【炎の矢】をですか?」
「そうです、力尽きるまでやって下さい」
エマニエルさんはそう言って目をすっと細め口元に笑みを浮かべるのだった。
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