50 / 150
第二章:ジマの国
2-13:手合わせ
しおりを挟むジマの国で、騎士団の稽古を見学のつもりで見ていたのが、手合わせになってしまった。
稽古場の広間でカルミナさんと女性の騎士が対峙している。
そして開始の合図で双方ともに動き出す。
女性の騎士は確かエルバさんとか呼ばれていた人。
彼女は踏み込み二歩目でマリーと同じくありえない跳躍をする。
「はぁっ!」
「踏み込みは、まぁまぁニャ、でも動きが単調すぎるニャ!」
エルバさんとやらは木刀を真横に一閃するも、すでに飛びあがったカルミナさんに完全にそれを避けられる。
しかし、振りぬいたその木刀をありえない速さで返して空中のカルミナさんを捕らえようとする。
「それもお見通しニャ!」
しかしカルミナさんは器用に空中で体をひねってその返す一撃を紙一重でかわす。
そして着地と同時に低い姿勢のまま廻し蹴りでエルバさんの足をすくう。
たんっ!
くるっ!!
ばしっ!
「あっ!?」
そう来るとは思ていなかったエルバさんはあっさりと足元をすくわれ、宙に浮く。
「足場のにゃい『操魔剣』の弱点ニャ!」
そう言ってカルミナさんはエルバさんの足をすくったその足をそのまま大きく振り回し、空中で身動きの出来ないエルバさんのお腹に踵落しをする。
ぶんっ!
どがっ!!
「ぐふっ!」
エルバさんはもろにカルミナさんの踵落しをお腹に喰らって地面にたたきつけられる。
カルミナさんはエルバさんを踵落しで地面にたたきつけた反動でバク転をして体制を整え、構える。
「マリーなら足元をすくわれた瞬間にまた『操魔剣』で防御かあたしの足を木刀で薙ぎ払うニャ。連続で三手先までは『操魔剣』を使う準備が出来てるニャ! お前は二手目すら準備してにゃいニャ!」
すちゃっと爪を立てて構えるも、エルバさんがお腹を押さえてゴホゴホと咳込んでいる。
この時点で勝負は決まってしまった。
「そ、そこまでだ!」
副団長はすぐにそう言ってこの手合わせを終わらせる。
カルミナさんはすっと構えを解いてこちらを見る。
「次、来るニャ。戦い方を教えてやるニャ」
そう言いながら人差し指をちょいちょいと動かし次の対戦者を呼ぶ。
副団長はそれを見てすぐに怒鳴るように言う。
「次、ラシュタ行けっ!!」
「はいっ!!」
ラシュタと呼ばれた男の子が慌てて木刀を握りしめ、カルミナさんの前に行く。
あら~、結構イケメンじゃないの?
真面目そうな表情で緊張してカルミナさんの前に立つラシュタ君。
茶色い短髪で、青い瞳、あと数年もすればもっとたくましくなりそう♡
こう言うのが良いのよね~。
お姉さん色に染めたい♡
思わずニヤニヤしながらラシュタ君を見ていると、開始の声が上がる。
「はじめ!」
開始の声と同時に、ラシュタ君は先ほどのエルバさん同様、二歩目でありえない飛込をしながら木刀を振る。
先ほどのエルバさんより早い?
「なかなかの踏み込みニャ! でも剣筋がバレバレニャ!!」
カルミナさんはそう言ってその一撃をまたまた紙一重で避ける。
が、ラシュタ君はそのまま木刀を振り抜きながらカルミナさんに空いた側の手でひじ打ちを入れようとする。
木刀を振りぬく勢いをそのままに、半身をくるりと回しながらのひじ打ち。
まるで拳法家のような動きだ。
「悪くにゃいニャ! しかしニャ!」
カルミナさんはそのひじ打ちをのけぞるかのように上体を後ろに倒し、バク転しながらラシュタ君の顎を狙って蹴り上げる。
「くっ!」
がら空きの顎に真下からカルミナさんの蹴りが迫る!
それをラシュタ君は慌ててのけぞり躱すが、完全に上体が崩れる。
そこへバク転を済ませたカルミナさんが飛び込む!
「すぐにそこで防御するニャ!!」
言いながらカルミナさんはラシュタ君のお腹にストレートパンチを繰り出す。
がら空きのお腹は面積も広く、まず外す事は無いだろう。
しかし、ラシュタ君は膝を上げながらカルミナさんのその一撃を何とか弾く。
ガッ!
何とか防御してカルミナさんの一撃を防いだまでは良いが、その反動で完全にバランスを崩して後ろに倒れる。
とそこへストレートパンチを弾かれたカルミナさんがしゃがみながら廻し蹴りをする。
倒れるラシュタ君はエルバさん同様、何もできないでカルミナさんのその廻し蹴りを喰らう。
ばきっ!!
「ぐぁっ!」
しゃがみながら低い位置で廻し蹴りを喰らったラシュタ君は地面に背がつく前にカルミナさんの蹴りにより低い高さで向こうの方まで蹴り飛ばされる。
そしてゴロゴロと何度も地面を転がる。
とそこへカルミナさんの追撃が容赦なく襲ってくる。
「いつまでも寝転がっているんじゃにゃいニャっ!」
廻し蹴りを決めたと同時に、蹴り飛ばした方向へと飛び上がったカルミナさんは体重の乗った飛び蹴りをラシュタ君に繰り出す。
「まてっ! そこまでだ!!」
だけどここで副団長の声がかかる。
どがっ!
だが繰り出されたカルミナさんの蹴りがラシュタ君が転げて倒れたその頭を襲う!?
「ひっ!?」
「戦場なら今の一撃で頭を潰されてたニャ。転がりながらでも『操魔剣』でも何でも使ってすぐに反撃をしにゃいとそこで終わりニャよ?」
仰向けに倒れているラシュタ君の頭の横にカルミナさんの蹴りが地面にひびを入れてめり込んでいた。
カルミナさんはその足を引き抜き、くるりとラシュタ君に背を向け両の手を上に伸ばしながら「う~んニャ~」とか言いながらこちらに戻って来る。
「まぁまぁだったニャ。でもまだまだ未熟ニャ。せっかくの『操魔剣』も使いどころがまだまだニャ。せめてマリーのように二手、三手先まで『操魔剣』の準備をしにゃきゃ宝の持ち腐れニャ」
「私は常に五手先まで準備してます。三手など当たりまえです」
「ニャッ!?」
マリーをチラチラと見ながら自慢そうにそう言うカルミナさん。
しかしマリーがしれっとそう言うと、カルミナさんは驚きの声を上げる。
「くっ、次だ! カミュ―! お前の番だ!!」
それを見ていた副団長さんは次の人の名前を呼んで来させる。
すると、今度は女性の騎士が前に出るが、他の騎士たちに比べかなり小柄な人だった。
「くっくっくっくっくっ、それでは次は私がお相手してあげましょう」
マリーとにらみ合っているカルミナさんを置いて、今度はアビスが名乗りを上げる。
私は再度カミュ―さんとやらを見る。
身の丈百五十センチあるかどうかの小柄な彼女。
私と同じような青い長い髪の毛をお団子状に左右に頭の後ろにまとめている。
まだあどけなさが残るその顔には、それでもその身体に似つかわしくないような鋭い眼光があった。
そして彼女の持つ木刀はショートソードのようなものを両手に持っていた。
「カミュ―、全力で行け!」
「はいっ!」
そう言って今度はカミュ―さんとアビスが広間に向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる