アルム~アラ40女子がいきなり異世界の第三王子に転生して無意識に無双してプチハーレム状態なんだけど、私はBL要素が見たいの!!~

さいとう みさき

文字の大きさ
96 / 150
第三章:イザンカ王国

3-27:戦況

しおりを挟む

「そうか始まったか」


 アマディアス兄さんは作戦会議室でそう言って地図の上の駒を動かした。
 今回は父王も参加した状態で、会議室は緊張に飲まれていた。


「想定通りですな。国境の砦にはすでに中距離支援型と長距離支援型、それと傭兵部隊の『鋼鉄の鎧騎士』五体が到着済み。あとは新型が一体ですか……総勢十一体と支援が二体、持ちますかな?」

「そのためにレッドゲイルも増援を出しているのではないか。もうじきレッドゲイルの増援も着く」

 戦況はどうやら国境の砦で開戦し始めたようだけど、たぶんドドスは一般兵に大きな被害が出ているだろう。
 何せタンクタイプとキャノンタイプによる長、中距離攻撃がなされるわけだから。
 魔法以外でそんな飛び道具と言ったら弓矢がメインだけど、こちらは放つのは城壁破壊兵器並みの威力になる魔光弾。
 ファイアーボールが降り注ぐような状況下じゃまともに砦にもたどり着けないだろう。


「それで、状況はどうなのだ?」

「はっ、こちらに先ほど第一報が届きました!」

 父王のその質問に風のメッセンジャーが用いられ、目の前に置かれる。
 それを父王は広げて水晶に手をかざし起動させる。


『報告します! ドドス軍【鋼鉄の鎧騎士】視認二十七体、正規軍およそ一万二千!! 開戦直後に相手側に新型兵器による魔光弾攻撃を行いドドス軍の進軍がいったん停滞しています!!』


 おおおおぉぉぉ!


 メッセンジャーの報告に感嘆の声が上がる。
 まぁ、一般兵相手には脅威だろうね。
 問題は「鋼鉄の鎧騎士」が出てきてからだ。


「予想通りうまくいきましたわね」

「うん、まさか遠方から連続で魔光弾が飛んでくるとはだれも思わないだろうからね。油断して近づけばファイアーボールの雨に出くわすわけだもんね」

 ミリアリア姉さんはぐっとこぶしを握って喜んでいる。
 まぁ、使い道がなくなりそうな旧型の再利用がうまくいっているのだから当然か。


「しかしそうなると次は『鋼鉄の鎧騎士』が出てくることとなるな」

 父王はそう言ってアマディアス兄さんを見る。
 するとアマディアス兄さんは私とミリアリア姉さんを見て言う。

「こちらもただ迎え撃つわけではございません。ミリアリア、説明を」

「はい。それでは説明させていただきますわ。今回開発した新型の『鋼鉄の鎧騎士』はすでに皆さんもご覧になられた通りのものですわ。しかしやはり多勢に無勢、数的にはドドスが上回っていますわ。なので戦略的に超強力な魔光弾を放てる武器を四号機と五号機に装備し、うち一体を国境の砦に向かわせましたわ」

 ミリアリア姉さんの説明に会議に参加した人たちはざわめく。


「よろしいかなミリアリア嬢、いくら強力な魔光弾でも対魔処理されている『鋼鉄の鎧騎士』には効果がないのではないかな?」

「確かに普通の魔術は通用しませんわ。しかし【絶対防壁】もその許容量を超える攻撃に対しては防御しきれないという記録もありますわ。つまり、相手の防御力を超える威力があればたとえ対魔処理された『鋼鉄の鎧騎士』でも対応できるという事ですわ。対魔処理に近い性質を持っている古竜ですら伝説の超上級魔術【竜切断破】が通用する様にですわ!」

 ミリアリア姉さんの説明にここいるみんながどよめく。
 確かに【竜切断破】の魔術は伝説級ではあるものの、実在する魔術。
 竜ですら一撃で切断するといわれるその威力は確かに対魔性に強い竜族にも通用する。

「四号機は魔光弾ランチャーという武器を装備していますわ。連発は確かにできませんが、魔晶石を一度に数十個使用してその威力を増したものを発射できますわ。遠距離からたとえ致命傷にならなくともその威力による被害は甚大なものになるはずですわ」

 最後にミリアリア姉さんがそう言うと個々の雰囲気は期待のそれに変わってゆく。


「ではその吉報を待とうとするか。アマディアス、レッドゲイルの増援はどうなっている?」

「はっ、すでにレッドゲイルにも新型と中距離防衛のためのキャノンタイプが配備されています。今回相手の出方が想定通りでしたので、防衛線である国境の砦に予定通り増援を向かわせております。もうじき到着かと」


 アマディアス兄さんのそれを聞いて父王はいったん目をつぶり大きく息を吐く。


「ドドスの本命が来るぞ! 皆の者このブルーゲイルも戦の準備を怠るでないぞ!! 全軍の指揮はアマディアスに。情報は遂次儂の所へ持ってくるように!!」


 父王のそれを聞いてこの場に知る将兵たちも一斉に立ち上がり、右手のこぶしを左胸の前に持ってくる。


「イザンカのために心臓をささげよ!」

『はっ!!』


 こうしてブルーゲイルも戦闘態勢へと入るのだった。


 * * * * *


「アルム、正直魔光弾ランチャーの威力は未知数ですわ。ブルーゲイルでもドドスの潜伏部隊が攻めてきたら長距離支援型のタンクと同時に試したいですわ」


 南方の城壁に目立たないようにタンクタイプとキャノンタイプ、そして新型の五号機を配置している。
 ミリアリア姉さんはその様子を見ながら少し心配そうにしていた。


「何弱気になってるのよ? あなたが設計してが私が魔晶石に魔術付加をしているのよ? 魔光弾ランチャーはきっとうまくいくわよ?」

 そんなミリアリア姉さんに珍しくエシュリナーゼ姉さんはそう言って励ます。
 それを聞いたミリアリア姉さんは苦笑して言う。


「そうですわね。この戦い、何が何でも勝ち残りそしてアルムの妻として更なる『鋼鉄の鎧騎士』の開発を進めたいですわね」

「しれっとなに言ってんのよ! アルムは私が先に結婚するの!」


 そう言い合うもそのあとにいつもの喧嘩はせず二人とも手を差し出し握手をする。


「私はアルムと新型の『鋼鉄の鎧騎士』をですわ」

「私も防壁魔法の展開に協力してくるわ」


 お互いにそう言って笑って私を見る。


「アルム、必ず勝つわよ!」

「そうですわ、アルム、勝ちますわよ!!」



 二人はそう言いながら私の両のほほにキスをして自分の持ち場へと行くのだった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...