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第三章:イザンカ王国
3-29:魔光弾ランチャー
しおりを挟む「来ました! ドドスの『鋼鉄の鎧騎士』が出ました!!」
見張り兵のその叫び声に皆一斉に緊張の度合いが上がる。
それもそのはず、今までの魔獣とは違い「鋼鉄の鎧騎士」には魔法が通じない。
つまり、キャノンタイプやタンクタイプの放つ魔光弾が対魔処理されたそれに通用しないのだ。
「五号機準備できましたわ!!」
しかしこちらも何もしていないわけではない。
すぐさま虎の子である五号機が魔光弾ランチャーを引っ張り出し、それを遠くの森から出てきたドドスの「鋼鉄の鎧騎士」に向けて狙いを合わせる。
「よし、新型のその威力を見せてやれ! 目標ドドスの『鋼鉄の鎧騎士』!! 撃てぇっ!!」
将校が準備ができたのを確認して攻撃命令を下す。
五号機はその先端を相手の「鋼鉄の鎧騎士」めがけて狙いを定める。
じじじじじぃ……
きゅうぅううううぅぅぅぅ~
かっ!
どがあぁああああああぁあぁぁぁぁぁんんっっっ!!!!
ランチャーの銃口に光が集まり、集束した瞬間真っ赤な光の塊になりそれは放たれた。
まるでドラゴンブレスが放たれたかのように周りの空気を焼きながら、しかし確実に遠くにいる相手の「鋼鉄の鎧騎士」を仕留めるために赤い軌跡を残して飛んで行く。
次の瞬間相手の「鋼鉄の鎧騎士」一体が上半身をまるで飴を溶かすかの様にぐにゃりと形をゆがめて崩れたと思ったらその場で四散した!
ボシュっ!
どばぁああああぁぁぁんっ!!
さらに後ろにいた一体も下半身を貫かれ、破裂する。
ぶしゅっ!
どっぱぁああっぁぁぁぁぁんっ!!
周りにいた数体の「鋼鉄の鎧騎士」も余波を受けてその爆風に押され倒れる。
何が起こったかわからないドドスの「鋼鉄の鎧騎士」たちはさすがに進軍をいったん止めた。
破壊された自軍の「鋼鉄の鎧騎士」を見て動きを止める。
そしてさらにその後ろの自軍の兵たちにも甚大な被害が出ていることにやっと気が付く。
がごんっ!
バシュ!
ごとんっ!
こちらの城壁の上で魔光弾ランチャーを放った五号機は、魔光弾ランチャーから使い終わった魔晶石のカートリッジをリロードして吐き出す。
一度に数十個の魔晶石を一瞬で使い終わったそのカートリッジはあまりの急激な消費で熱を持ったようで湯気が出ている。
「や、やりましたわ!! 次弾、次のカートリッジを急ぎ五号機の魔光弾ランチャーにですわ!!」
こちらの兵士たちもそのあまりの威力に皆一瞬動きを止めていたが、ミリアリア姉さんのその声で我へと帰り、その場で歓声を上げる。
うぉおおおおおぉぉぉぉぉっ!!
「すごいぞ! あの『鋼鉄の鎧騎士』が一発ではじけ飛んだぞ!!」
「すげぇっ! 『鋼鉄の鎧騎士』が!!」
「これでドドスの『鋼鉄の鎧騎士』なぞ怖くないぞ!!」
兵士たちが口々にそう言っている中、ミリアリア姉さんは次弾を装填させるためにカートリッジの装着を急がせる。
「だめだ! いくら魔光弾を浴びせてもヒドラの回復の方が早い!! もうすぐ城壁にまで来るぞ!!」
が、ここで魔獣相手に攻撃を加えていたキャノンの近くにいた兵士が叫ぶ。
「五号機、次の標的を魔獣ヒドラへ! 急げっ!!」
その声に将校が反応してすぐに次の標的をヒドラに変えることを指示する。
それにカートリッジの交換が終わった五号機が魔光弾ランチャーを構えなおしてこちらの城壁に迫りくるヒドラたちに向ける。
じじじじじぃ……
きゅうぅううううぅぅぅぅ~
かっ!
どがあぁああああああぁあぁぁぁぁぁんんっっっ!!!!
またしても放たれた赤い光は向かってくるヒドラに吸い込まれ、その赤い線のような光を隣のヒドラにもずらしながら動かす。
すると、二体いたヒドラは赤い光が過ぎた後に地面ごと大爆発を起こし、宙に舞いながらその体を四散させる。
それはまさしく地獄絵図だった。
大地はあまりの熱量に岩ですら溶け、真っ赤に地面を焼き飛び散ったヒドラの死体は炎に包まれて地面に転がる。
一瞬で二体とも葬り去ったその赤い閃光は見るものを圧倒し、その動きを止めさせる。
誰もが目の前で起こっている現象に理解が追い付かず、その惨劇を目の当たりにして固まる。
が、やはり我に返ったイザンカの兵士たちが歓声を上げ始める。
「ずげぇ! ヒドラも簡単に吹っ飛ばしたぞ!!」
「一瞬で二体も!!」
「イザンカばんざーいぃっ!!」
本来ヒドラのような大型の魔獣は数体の「鋼鉄の鎧騎士」で対処してやっと討伐ができるほどだ。
それを一瞬で二体も葬り去ったのだ。
まるで勝利を確信したかのように一斉に雄たけびが上がり、まるで勝ち鬨のような声が上がる。
がごんっ!
バシュ!
ごとんっ!
五号機はそんな中、魔光弾ランチャーをリロードさせるためにまたカートリッジを吐き出す。
それを見た兵士たちが慌てて次のカートリッジを装填させようとするが、魔光弾ランチャーがかなりの熱を持ってしまってなかなか次のカートリッジを装填するのに手間取ってしまっていた。
「想定以上に砲身が熱を持っていますわね?」
「クールダウンが必要なんじゃない?」
ミリアリア姉さんは兵士たちの作業を見ながら五号機と魔光弾ランチャーの様子を気にする。
確かにたった二発を放っただけでここまで魔光弾ランチャーが熱を持つとは想定外だった。
しかし兵士たちは次弾のためにやけどもいとわずカートリッジを装填する。
「ドドス『鋼鉄の鎧騎士』が動き出しました! 一直線にこちらに一斉に走ってきます!!」
だがここでまた見張りの兵士が大声で叫ぶ。
見れば森の中で体制を整えた数十体のドドスの「鋼鉄の鎧騎士」が盾を構えながらこちらに走ってくる。
その盾を見てミリアリア姉さんは叫ぶ。
「あれは『対魔の盾』!! 物理的な攻撃には弱いのに魔術に対してだけは絶対的に効果を発揮する盾ですわ!!」
よくよく見れはその盾はきらびやかな装飾がされた大盾だった。
どうやら魔晶石やら何やらが表面に埋め込まれたものらしい。
それを五体の「鋼鉄の鎧騎士」が構えてこちらに走ってくる。
よくもまぁ、そんなものまで引っ張り出してくる。
「でも理論上ではそんな盾も凌駕する出力だよね?」
「ええ、理論上はですわ。しかし万が一がありますわ、威力を収束させて魔光弾ランチャーを放つ必要がありますわ! 五号機聞こえますの? 標準モードから照準モードに切り替えですわ! そして照準モードで相手が標準の真ん中に入ったら引き金を引くのですわ!!」
「聞こえたか五号機! ミリアリア嬢の指示通り急ぎ照準モードへ! 標的が照準の中に入ったら魔光弾を放てっ!!」
この状況下、ミリアリア姉さんの指示で五号機は「対魔の盾」を構えたドドスの「鋼鉄の鎧騎士」に照準を定め、威力を絞って魔光弾ランチャーの砲身を向ける。
『逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、照準の真ん中に入ったら引き金を引く……』
五号機に搭乗した操縦者はそう呟きながら砲身を相手の「鋼鉄の鎧騎士」に向ける。
そしてゆらゆらと揺らめいていたその砲身がぴたりと止まった瞬間、それは魔光弾を放つ。
じじじじじぃ……
きゅうぅううううぅぅぅぅ~
かっ!
どしゅぅうううううううぅぅぅっ!!!!
先ほどの魔光弾の発射と違い完全に赤い細い光となって放たれるそれは五号機自体もその威力に足場を揺らしよろめくほどだった。
赤い閃光は瞬時に「対魔の盾」を構えたドドスの「鋼鉄の鎧騎士」を捕らえる。
そして次の瞬間、まるでその赤い光に切断されるかのように「対魔の盾」後ごとろにいた「鋼鉄の鎧騎士」も貫く。
が、五号機がよろめいたため赤い光はその横にずれ隣の「対魔の盾」を構えた「鋼鉄の鎧騎士に移る。
じじじじぃ……
ずぱんっ!
どっがぁあああああぁぁああぁぁんんッっ!!!!
その赤い光は二体の「対魔の盾」を構えた「鋼鉄の鎧騎士」を貫き焼き切り上半身をずらしてから爆発を起こす。
その余波は周りにいた「鋼鉄の鎧騎士」をも一緒に吹き飛ばす。
「やったぁっ!!」
思わず私もそれを見てそう叫んだ時だった。
じじじじじぃ……
ぐぐぐぐぅ……
どっが――――ぁあああぁんッ!!
「何っ!?」
「なんですのっ!?」
その爆発は間近で起こった。
私は反射的に私たちに【絶対防壁】を展開する。
そして爆発音がした方を見ると、そこには魔光弾ランチャーごと爆発に包まれる五号機の姿があったのだった。
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