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第四章:転移先で
4-8:ギザの町
しおりを挟む「冒険者ギルド?」
「はい、とりあえずは自分たちでも情報が欲しいところですので。それと旅に必要な道具などもそろえませんと」
朝になって下の階で朝食をとっている。
パンにシチューというオーソドックスなものだけど、具がやたらと多い。
それにパンも小麦粉がいいのだろうか?
知っているパンよりずっとおいしかった。
「にゃ? にゃんか入り用だったっけニャ?」
「険しい山道を超えるらしいですから、防寒着や安全のためのロープ、暖を取るために最低限必要な物は欲しいところです」
「くーっくっくっくっくっ、さすがに人間はもろいですね。まぁ、いざとなればこの私めが主様をお守りしますが」
ほかのみんなも合流して一緒にアビス以外は食事をしている。
アビスも食べて食べられないことはないらしいが、あまり効率がいいものではないし私と契約でつながっている間は私から魔力供給されているらしいので全く問題がないらしい。
「そういえばエルさんは?」
「まだ……寝ているようです」
エルさんの姿が見当たらないのでマリーに聞いてみると、どうやらまだ上で寝ているらしい。
出発は明日か明後日だから別にいいんだけどね。
「でもなんで冒険者ギルドなの?」
「冒険者ギルドでは比較的低価格で冒険者が必要とする信頼性の高い道具も手に入ります。それに情報も。ここは支部しかなく風のメッセンジャーもないらしいので、最低限のモノしか手に入らなさそうですが、下手に町を歩き回るよりは手っ取り早いので」
そう言えば、確か冒険者ギルドってそういった道具なんかも販売してるんだっけ。
よく覚えてないけど知識だけはある。
なので私は頷いて食事を済ませるのだった。
* * *
「なんだって? 山越えでベイベイの町に行くだって??」
冒険者ギルドの支部は宿屋のすぐ近くにあった。
マリーが胸元からペンダントを取り出し冒険者ギルドのおばちゃんに見せると驚いていたようだけど、金のプレートに星が二つ。
たしか冒険者では最上級の部類のはずだった。
冒険者はギルドで登録するとその功績によってランク分けされる。
一番下が銅のプレート。
次が銀で、最後が金のプレート。
各プレートには星無し、星一つから三つがあり、星がいっぱいになると上の色のプレートになる仕組み。
プレートには他にその人を証明する刻印がされて、これは魔道で書き込まれるものなので偽造はできない。
大まかに十二段階にランク分けされたこのプレートはどこの国に行っても身分の証明として使える。
隣でカルミナさんがそっと銅の星三つのプレートを出していたけど、確かカルミナさんって「鋼鉄の鎧騎士」と渡り合えるほど強かったはずじゃ……
ん?
なんで私ってカルミナさんが「鋼鉄の鎧騎士」なんかと対等に戦えるの知ってるんだろう??
どうも、何となく知っていることは少なくないけど、その理由やら何やらが思い出せない。
そんなことを考えていると、マリーとギルドのおばちゃんが何やら話している。
「ここじゃ珍しいけど、今ミハイン王国へ向かう山道に魔物が出たって話でね、もともと交易としてはガレント王国に向かってからミハイン王国へ行くルートが一般だから山道の方は近いけどほとんど人の往来がないんだよ」
「魔物ですか?」
マリーは魔物と聞いて首をかしげる。
イージム大陸なんかは街道を歩いていれば人とすれ違うより魔物と遭遇する方が多いというので、魔物が出たくらいで騒ぐのは意外だった。
「まぁ、無理して山道行かずガレント王国経由で行った方が無難だよ。確かに時間はかかるけど安全性は確実だしね」
そうギルドのおばちゃんは私を見ながら言う。
確かに子供が一緒なら無理はしない方が良いに決まっている。
「しかし一刻も早くベイベイの町に向かいたいのです」
「そうかい? まぁ、あんたの冒険者レベルなら大丈夫だろうけどね。何せこの辺で魔物なんてここ数十年出たことがないからね」
そう言ってギルドのおばちゃんは笑う。
マリーは地図や必要な道具もギルドで購入して今度は私を引き連れて近くの服屋へ行く。
「アルム様には大変申し訳ございませんが、此度の旅には今のお召し物は不向きとなります。山越えになりそうですので、それに見合ったお召し物を買いましょう」
「これだとだめなの?」
「流石に寒さにはその服装では。大丈夫です、アルム様にふさわしい服装をチョイスいたしますので!」
なぜか目を輝かせながらそう言うマリーさん。
私はなんとな~く嫌な予感がするのだった。
* * *
「ああっ! こっちもいいです! いや、これも捨てがたい!!」
「あ、あの、適当でいいのでは??」
服屋に来てすでに二時間。
私はマリーに着せ替え人形のようにあれやこれやと着替えをさせられている。
生前は私も女性だったからそういうのは分からなくはないけど、さすがにこれだけファッションショーさせられるときつい。
すでに試着で二十着はしている。
ただ、さすがに冒険者の経験があるマリー。
持ってくる服はどれもこれも動きやすくて要所要所がしっかりしているものばかりだった。
これでデザインとか色合いに目移りが無ければすぐにでも決まりそうなのだけど……
こう言う所はマリーもやっぱり女性なのだろう。
半ばあきらめてマリーのファッションショーに付き合う羽目になっていた。
「なんニャ? まだ決まらニャいか?」
「くーっくっくっくっくっ、流石我が主様、どの服も似合っていますよ」
外野はすでに必要最低限のものを購入済みだった。
というか、アビスなんか外観を自在に変えられるの服など必要ないし、カルミンさんもローブがあれば十分だとか。
忍者というか、セクシーなくノ一みたいな姿格好のカルミナさんは猫の獣人なのだら寒さに弱いのじゃないかと勝手に思っていたけど。
「それではこれとこれをお願いします」
それでもなんだかんだ言って何とか新しい服装が決まる。
私たちは新しい服装に身を包み、いよいよベイベイの町に向けて出発となるのだった。
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