122 / 150
第四章:転移先で
4-18:支店長集合
しおりを挟む「のっひゃぁーっ!!」
どっごーん!!
私の叫びと同時に目の前の地面が爆発する。
それと同時に勝手に【絶対防壁】が展開されながら体を意識した方向へ【念動魔法】で移動させている。
もっともすべてがそう意識した時点で魔法として発動しているので、自分でもどうやっているのかが全く分かっていない。
今のところ危険を感じると魔法が発動することは分かったけど、他の魔法は全くと言っていいほど使う事すらできない。
ただ、生活魔法と言う「明かり」、「水生成」、「点火」、「念動」はマリーから呪文を唱えれば誰でもできると言われて試してみたけど、私がそれをやると「光」魔法は熱を持ったなぞレーザーになり、「水生成」は水のでっかい壁になり、点火はファイアーボールになって、「念動」はうまくいかず、さっきみたいな逃げる時に勝手に発動するという状態だった。
「ほら、気を抜かない!」
エルさんはそう言って竜巻を発生させる。
しかもその風はすべて刃のようになっている。
下手にそんな風に触れれば途端にずたずたに切り裂かれてしまう。
「うひゃぁっ!」
そう私が叫ぶと同時に体の周りに見えない壁が出現してその風を防御する。
しかし追い打ちとばかり今度は大地が隆起して土の槍が出現する。
「うわぁッ!!」
危ないと思った瞬間、しかしその槍は横から入ったマリーのなぎなたで切断される。
斬っ!
「エル殿、やりすぎです! いくらアルム様が優秀でも直接狙うのは危なすぎます!!」
「あー、せっかくもう少しでアルム君が別の魔法使えそうだったのにぃ~」
エルさんはいつの間にか瞳を金色に輝かせてそう言いながら口をとがらせる。
「とはいえ、これはやりすぎです」
「はいはい、わかったわかった。でもちょっと過保護過ぎない? 大けがしても私なら治せるから腕の一本や二本ちぎれても大丈夫なのに」
「いや、ちぎらないでくださいってッ!!」
かなり物騒なことを言うエルさん。
しかしエルさんは腕を組んでこちらまで歩いてきながら言う。
「でもこのままじゃいつまでたっても今のままよ? 君さっき伸び出る土の槍に対して【炎の矢】をぶつけようとしたでしょ?」
「え? あ、いや、前にエルさんが見せくれた火の玉か何かぶつければ崩れるかなとは思いましたけど……」
「それよそれ。その感覚に魔力を載せれば魔法が発動すると思うんだけどね。もうちょっとだったと思うんだよね」
エルさんはそう言って瞳の色も元の深い青と緑の混ざったような色に戻す。
その色はとてもきれいな色で、吸い込まれそうな色だった。
「エル様、よろしいでしょうか? 各支店の支店長たちが集まりました」
「あら、思ったより早かったわね。わかった、すぐ行くわ」
私たちが話し込んでいるとアルフェさんがやってきて各支店の支店長が集結したことを知らせてきた。
エルさんはすぐに踵を返してアルフェさんと一緒にそちらに向かうのだった。
* * *
「ねぇマリー、前の僕ってそんなに魔法の扱いが上手だったの?」
「はい、アルム様はあの魔法王ガーベルの再来とまで言われたお方でした」
エルさんが行ってしまったので休憩をしている。
汗をタオルで拭いながら飲み物を飲む。
「くーっくっくっくっくっ、我が主のその魔法はそれは素晴らしいものでした。異界より別世界の神を呼び出すほどに」
「はぁ? 異界の神様を僕が呼び出したの!?」
「はい、こちらの世界より数段上の異界の神。私も初めて見ましたがあの力、あの迫力、まさしく異界の神。しかしそれすら呼び出すとは我が主のその魔力の素晴らしさよ!!」
「あれは怖かったニャ。でっかい怪獣だったニャ。あれに食われた時は本当に終わったかと思ったニャ。でも気づいたらウェージム大陸に飛ばさえていたニャ。アルム、何したんニャ?」
「そうですね、アルム様が私たちをあの時お守りいただき、その後気づけばこちらの大陸に飛ばされていましたね。いったい何があったのですか?」
どうやらマリーたちはその辺ことを知らないらしいけど、私も全部覚えているわけじゃなかった。
と言うか、あの駄女神になんか会ったような……
どうもその辺がよく思いだせないけど、なんやかんやでまたこっちの世界に戻されて……
『……あの駄女神ぃ~。思い出そうとすると靄が頭にかかったようになるのよね。絶対あの駄女神にに何かされたのよ!!』
思わず日本語でそう言ってしまうも、この体では発音がちゃんとできない。
少しくぐもった私の言葉はマリーたちには全く分からなかったようでみんな首をかしげている。
「あの、アルム様今のは?」
「あ、何でもない。気にしないで」
不安そうに私をのぞき込むマリー。
私はあわててそう言う。
と、私たちを呼びにメイドさんがやってきた。
「アルムエイド様、お客人たち、エル様がお呼びです。どうぞこちらへ」
彼女はそう言って私たちをエルさんのもとへと連れて行くのだった。
* * * * *
「来たわね。正直状況は最悪ね」
連れられて行った部屋は執務室か何かの様だった。
大きな机にエルさんは座っていて、肘を机について手を組んで口元を隠しながらこちらを見ている。
まるでどこかの司令官が補佐官に「始まったな」と言われ「ああ」と答えるかのように。
「エルさん、どうだったの?」
「状況はさっき言った通り最悪よ。世界中が予想通り風のメッセンジャーとゲートが使えなくなり、混乱が始まったわ。魔法学園ボヘーミャでも一斉に風のメッセンジャーが使えなくなり、事態究明に動いてはいるわ」
エルさんはそう言って立ち上がり壁際にまで行く。
そこには世界地図が掲げられていて各国の首都などが記載されている。
そしてエルさんはそれを指さしながら説明を始める。
「いま世界は通信手段を失って大混乱が始まっている。各国はあらゆる手段を使ってまずは近隣諸国との連絡を取り出しているけど、いきなり風のメッセンジャーが使えなくなったことにより友好国同士の間ですら軋みが出始めている。我がシーナ商会と女神信教、そして各ギルドがいち早く連絡手段を構築し始め各国に働きかけているのでとりあえずは何とかなっているけど……」
エルさんはそう言いながらイージム大陸を指さす。
「イザンカ王国は戦争には勝ったわ。でも君がいなくなったことにより国自体も揺らぎ始めているそうよ。とりあえず支店長会議でブルーゲイル支店とレッドゲイル支店の店長から君の無事を伝えるように指示はしたけどね。ただ……」
エルさんはそこまで言って言葉を切る。
「何者かが動いている可能性が出てきたわ…… 強力な何者かが……」
そう言ってエルさんは私たちを見るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる