アルム~アラ40女子がいきなり異世界の第三王子に転生して無意識に無双してプチハーレム状態なんだけど、私はBL要素が見たいの!!~

さいとう みさき

文字の大きさ
130 / 150
第四章:転移先で

4-26:ルミナ司祭

しおりを挟む

「ルミナぁッ!!」

 ぴこっ!!


 ルミナ司祭はエルピートゥエルブの作った水の刃に胸を貫かれて吐血をする。
 しかしルミナ司祭はそれでもエルピートゥエルブに向かって数歩歩み寄る。

「ごめんなさいね、あなたは私にとって…… ぐふっ!」

 そこまで言ってその場で倒れる。
 エルさんはあわててルミナ司祭に駆け寄り、精霊魔法で回復をするも傷口は背中まで達しておりどう見ても助かりそうにはなかった。


「ルミナ、しっかりなさい!」

「エ……ルさ……ま、エル……ピーをおねがい……しま(がくっ)」


 ルミナ司祭は最後にそう言って力尽きる。
 エルさんはそんなルミナ司祭をぐっと抱きしめている。

 その向こうでは、いまだにエルピーとエルピートゥエルブが風と水の精霊魔法で対峙していて、双方かなりのダメージを負っていた。


「エルピートゥエルブ、あなたはやってはいけないことをしたわ…… ルミナはあなたを心配して!」


 ぶわっ!!


 そう叫んだエルさんの体が金色にうっすらと輝いている。
 そしてその瞳も。


「許さない! エルピートゥエルブ!!」


 が、私はとっさにエルピートゥエルブに手を向ける。
 それと同時にエルさんが呼び出した四つの輝く球が先ほどのプラズマを伴った竜巻を放つ。


「だめだぁッ! エルさん憎しみに飲み込まれちゃ!! このマシンドールは、あれはぁっ!!」

 私も理解してるわけじゃない。
 でも勝手に体が動いた。
 そしてあのマシンドール、エルピートゥエルブに何重にも【絶対防壁】をかけている。
 その防壁はエルさんの放つ怒りの竜巻に何枚かガラスを割ったかのような音を鳴り響かせながら破壊されるも、エルピートゥエルブには届かない。


「アルム君!」

「エルさんダメだッ! あのマシンドールの顔を見て!!」


 私がそう叫ぶとエルさんは、ハッとなりエルピートゥエルブの顔を見る。
 マシンドールの集合体の顔の額の部分に涙を流している個体がいた。
 他の瞳の色を失ったマシンドールたちと違い、その個体だけは瞳に色を宿していた。

「あれはエルピートゥエルブの本体?」

 少し落ち着きを取り戻したエルさんはそう言う。
 そして私はすかさずみんなに言う。


「みんな!」


「御意!」

「仕方ないニャ!」

「我が主のお心のままに!!」

 
 私の意図を理解し、マリーが、カルミナさんが、そしてアビスが飛びだす。


「くーっくっくっく、さぁ我が眷属よあの者の動きを封じなさい!」

「はぁッ! 操魔剣なぎなた奥義、疾風!」

「これでも食らうニャ!!」


 アビスが呼び出したアークデーモンたちが巨体のマシンドールの体にしがみつきその動きを封じる。
 そこへマリーのなぎなたの一撃が決まって、あのエルピートゥエルブの周りのマシンドールたちを弾き飛ばす。
 そしてカルミナさんが最後にそのマシンドールの周りを鋭い爪で切り裂くと、エルピートゥエルブはとうとうその巨体のマシンドールから切り離される。


 ぴこぴこッ!!


 そこへエルピーが風の刃を打ち込んでエルピートゥエルブの手足を切り刻む。


 斬っ!
 ガシャン!


 四肢を失ったエルピートゥエルブは地面に顔から落ちて、うごめくもそこへエルさんが胸に手を差し込む。

「もう終わりにしましょう。止まりなさいエルピートゥエルブ」


 ズシャ!


 その瞬間、エルピートゥエルブは頭をエルさんに向けたかと思うと何故か安らかな表情に見えた。
 そして瞳の色を無くしその場で動かなくなった。


「エルさん!」

「うん、終わったわ……」


 そう言ってエルさんはエルピートゥエルブの胸から光り輝く二つの魔晶石がうごめく機関を引っ張り出す。

「水の精霊よ、その怒りから解放するわ」

 エルさんはそう言って二つの魔晶石を握りつぶすと、緑の光の粒子になってはじけて消えた。
 エルさんはそのあと、エルピートゥエルブの頭に手をかけ、その首をもぎ取る。


「そうなのね……あなたの記憶はルミナを分かっていたのね…… でも怒りの感情が全てを包んでいてどうしようもなかったのね……」

 ぴこぴこぉ~

 瞳から涙を流すエルピートゥエルブの頭を抱えていたエルさんに向かってエルピーが耳をぴこぴこさせてから倒れた。


 ガシャン!


「えッ?」

「エルピー!!」

 それに驚くエルさん。
 私はすぐにエルピーに駆け寄るのだった。


 * * * * *


「無茶をし過ぎたのね……エルピーの双備型魔晶石核の精霊力がすごく弱まっている。このままではエルピーはその動力源を失って活動を停止してしまうわ……」

 
 あの後ルミナ司祭の遺体を丁重に回収して弔った。
 事件は最後にシーナ商会のエルさんが終止を着けたとして、四十年前からの狂ったマシンドールを退治したことになった。
 しかし代償が女神神殿の司祭が命を落とすと言う大きな問題となり、ユーベルトの街を上げての葬儀が行われた。

 領主であるハミルトン家もシーナ商会に対して深く感謝をするとともに、今後のマシンドールに対しての管理を更に厳しくするよう街中の工房に指示をしていた。


「アルム君には感謝しなきゃね。この子の本当の本当に気持ちに気づいていたのね。私はルミナがやられて我を忘れてしまったわ……」

 エルさんはエルピートゥエルブの頭から取り出した記憶媒体の魔晶石をなでていた。
 理論上ではこの記憶媒体を新しい体に入れればエルピートゥエルブは復活をする。
 しかしエルさんは複雑な顔をしていた。


「エルピートゥエルブの記憶媒体の魔晶石は回収できたわ。でも、この子にまたマシンドールの体を与えていいものやら……」

 そう言いながらエルピーを見る。


 ぴこぴこ……


 するとエルピーは耳をぴこぴこする。
 それを見たエルさんは驚きの表情になる。

「でも、そんなことしたらあなたの記憶が……」

 ぴこぴこぉ~

 いったいエルピーと何を話しているのだろうか?
 マシンドールの意図なんて私には分からない。

 しかし、エルさんは頷き言う。

「わかったわ、あなたたちに新しい体をあげる。だから……」

 そう言ってエルさんは涙目なって言う。

「ルミナの事、お願いね」

 それが一体どういうことか聞いたら、不安定のエルピートゥエルブの記憶媒体にエルピーの記憶媒体が補助としてサポートをして、風の精霊が入った新しい双備型魔晶石核の体に一つになると言うものだった。

 そしてエルピーとエルピートゥエルブは新たなマシンドールの体でルミナ司祭の墓守をしたいと言い出したのだ。
  
 エルさんは強く頷きエルピーたちに新たな体を与えることにした。


「もう二度と同じ悲劇が起こらないようにしなければね……」


 エルさんはそう言いながらシーナ商会の人たちに指示を飛ばし、新生エルピーを作らせるのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...