132 / 150
第四章:転移先で
4-28:ガルザイル
しおりを挟むガレント王国首都ガルザイル。
この世界にある四代大陸の中で一番大きな大陸であるウェージム大陸。
その中でも国土も何も最大の国がガレント王国だ。
世界の穀物庫と呼ばれるほど作物の出来が多く、世界中にその穀物を輸出している。
人の世界を作ったと言われる魔法王ガーベルが最後に作った王国で、初代国王を務めていたという国でもある。
そして今のガレント王国は魔法ガーベルの血を引く王家であると共に魔法王国時代からの責務を果たすために「落ちてきた都市」の監視もしている。
どういうことかと言うと、古代魔法王国時代にガレント王国の城は空に浮かぶ島の上にあった。
しかし魔力暴走により一夜にして魔法王国時代は終焉を迎え、その結果空に浮いていた王城も今のガレント王国の首都ガルザイルに落ちてきた。
そしてその城から魔法生物や強力なゴーレムが出てくるので、街のど真ん中に塀を作りその「落ちてきた都市」を取り囲み、その塀の上に監視のために城を立てたという。
ユーベルトの街とかも王家の血筋にゆかりがあり、ガレント王国には七つの衛星都市がある。
すべての領主が王家の血筋であり、万が一にも王都でその「落ちてきた都市」で何かあってガルザイルが壊滅する羽目になっても、その血筋を絶やさないようにしているとか。
そして、王都がマヒした時にはそれら衛星都市が代役を担い国を治めることになっているらしい。
それらを聞いていると歴史的に古いけど盤石なシステムにはなっているようだ。
「で、うちのお母さんもその魔法王ガーベルの子孫らしいのよね~。だから私も今のガレント王とは遠い親戚であり幼馴染なのよね~」
「いや、エルさんの幼馴染とか年齢は置いといてお母さんって女性ですよね? エルさんはその、『女神の伴侶』って言われるエルフの女性から生まれたんですよね? そうするとガレント王国とか魔法王ガーベルは関係ないんじゃ?」
エルさんのお父さんが誰かは分からないけど、女性どうしで子供は出来ない。
だとすると、血縁関係はないんじゃないのだろうか?
「え? 生まれたのはママからだけどお母さんの血もちゃんと継いでるわよ?」
「いや、だって女性どうしで子供は出来ないじゃないですか」
「できるわよ?」
「へっ!?」
今私はとんでもない事を聞いたような気がした。
いやだって、おしべとめしべがあってそれで受粉すると実がなって……
ぎぎぎぃっと首をマリーに向けると、マリーはしばし考えこんだような顔になってうなずく。
「できますね、女神信教の極意は同性同士で子供を授かる術があるとありましたから」
「はいっ!?」
い、いやあるのそう言うの!?
「まぁ、基本的には女性どうしだけなんだけどね。あ、そういえばお母さんがまれに男性どうしで子供をもうけたってのがあったらしいけど、体の中では育成できないから特殊な方法で子供作ったって言ってたっけ」
な、何ですってぇ!?
お、男どうしではぁはぁして子供作れるデスってぇっ!?
「エ、エルさん! そこのとこもう少し詳しく、プリーズ!!」
「え、えっと確か……」
私はエルさんのことなんかすっかり忘れて男性同士でどうやって子供を作るかについて詳しく聞き込むのだった。
* * * * *
「見えてきたわね、ガルザイルの街よ」
エルさんはそう言って馬車の外を見る。
そこには大きな街並みが見えてきた。
私はエルさんの、とぉ~っても参考になる男性どうしで子供を作る方法について堪能させてもらったのでお肌てかてかになっている。
いやぁ、まさかそんな方法だとは。
確かに体内育成は難しいけど、そういう方法があるとはねぇ~。
でも、男性でも女神信教の信者になれば授乳がある一定期間出来るとは!!
パパ二人で子育てイクメン♡
思わずそんなことを思っていると顔が緩んできてしまう。
「なんかアルム気持ち悪いニャ……」
「エル殿から変な話を聞いてからずっとこうですからね…… はっ!? アルム様もしや母乳にご興味が!? くっ、残念ながらこのマリー、胸の大きさにはそれなりに自信はありますが母乳までは…… あと数年でアルム様が男性になれば可能です、もちろんアルム様のお子をこの私が身ごもることで!!」
にやにやしていたらカルミナさんがドン引きしてた。
そしてマリーが顔を赤くして私にそんなことを言って詰め寄る。
「だぁああああぁぁぁ! しません、そんなこと!!」
「ですがアルム様は母乳にご興味がおありなのでは!?」
「そうだけどそうじゃなーいぃいいぃっ!」
思わずそう叫んでしまう私。
今日もいつもと変わらない。
「はいはい、じゃれていないでガルザイルに着いたわよ。検問はシーナ商会のエルで顔パスだからいいとして、とりあえずガルザイルのシーナ商会に向かうわよ」
馬車の中で騒いでいる私たちにエルさんはそう言うのだった。
* * *
「ユーベルトの街もすごかったけど、ガルザイルの街はもっとすごい!!」
街に入ってまず驚いたのが、街の中央当たりの向こうに大きな壁があってその上にお城らしきものが高々と建っていることだった。
あれが有名な「落ちてきた都市」を囲む壁で、それを監視するお城。
多分街のどこからでも見えるだろうそのお城は本当に壁の上に立っていた。
そして街なのだけど、石畳はもちろん路上に線路らしきものがあってそこを路線電車のようなものが行きかっていた。
大通りは整然としていてガラスウィンドーの展示がされているお店もいっぱいある。
街行く人はみんなこぎれいな格好をしていて、乞食らしき者は一切見当たらない。
「流石はガレント王国の首都ですね。冒険者らしき人も相当な腕前なのでしょう」
隣に座っていたマリーは外の様子を見ながらそう言う。
「確かにすごい気配のも何人もいるニャ」
「くーっくっくっくっくっ、ここは昔から凄腕も集まる場所ですからね、全くやっかいなところです」
カルミナさんもアビスもそう言って窓の外を見る。
と、馬車が大きな建物の前で止まった。
「さぁ、着いたわよここがシーナ商会のガルザイル支店よ!」
エルさんに言われて外を見ると、ユーベルトよりさらに立派な建物が建っているのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる