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「声が出なくなったのは、なんでなの?」
碧が急に聞いてきたとしたら、私はこう答えるかもしれない。
「さぁ?神様のいたずらだよ」
それは兄のため。そうわかっているけれど、自分のためと私はあえて思い込んできた。
声の出ない今の状況を悔やもうにも、悔やんだところでどうにもならない。でも、自分のためと思い込んでる自分が情けなくなる気がして、本当は無性に嫌だった。
なのに、なぜか兄のために、そうしている自分がいた。
思い出す。
目を覚ました時には、私は病院のベッドの上にいて、泣き腫らした目をした兄が扉の側にいて、母が手を握ってくれていた。
でも、母の掛けてくれる声かけに答えようにも、声が出なくて、私は虚しくなった。
けれど、そんなのはすぐに消えた。
私の目が覚めた途端、兄が大泣きしながら、土下座をしてきた。私に何度も謝っていた。側にいた母は冷たい目でそれを止めることなく、ただ見ていた。その様子の方が、見ていて虚しくなった。
それからしばらくした頃、兄にも不幸が訪れた。
受験に落ちてしまい、全てを失ったかのような兄を見た。
だから、絶望にいるのは自分だけではないのだと。
受験に落ちたことで父にどんなに強く当たられようと、母に私の件でどれだけ冷たい言葉を掛けられようとも、兄は一切言い返すことなどなかった。
その様を見るだけで、私は兄のせいで声が出ないんだなんて言えやしなかった。
だから、これからも兄のせいだなんて、知らない他の誰にも言わないと決心した。
それが兄へのせめてもの慰めだと、未熟ながら感じて。信じて。
碧が急に聞いてきたとしたら、私はこう答えるかもしれない。
「さぁ?神様のいたずらだよ」
それは兄のため。そうわかっているけれど、自分のためと私はあえて思い込んできた。
声の出ない今の状況を悔やもうにも、悔やんだところでどうにもならない。でも、自分のためと思い込んでる自分が情けなくなる気がして、本当は無性に嫌だった。
なのに、なぜか兄のために、そうしている自分がいた。
思い出す。
目を覚ました時には、私は病院のベッドの上にいて、泣き腫らした目をした兄が扉の側にいて、母が手を握ってくれていた。
でも、母の掛けてくれる声かけに答えようにも、声が出なくて、私は虚しくなった。
けれど、そんなのはすぐに消えた。
私の目が覚めた途端、兄が大泣きしながら、土下座をしてきた。私に何度も謝っていた。側にいた母は冷たい目でそれを止めることなく、ただ見ていた。その様子の方が、見ていて虚しくなった。
それからしばらくした頃、兄にも不幸が訪れた。
受験に落ちてしまい、全てを失ったかのような兄を見た。
だから、絶望にいるのは自分だけではないのだと。
受験に落ちたことで父にどんなに強く当たられようと、母に私の件でどれだけ冷たい言葉を掛けられようとも、兄は一切言い返すことなどなかった。
その様を見るだけで、私は兄のせいで声が出ないんだなんて言えやしなかった。
だから、これからも兄のせいだなんて、知らない他の誰にも言わないと決心した。
それが兄へのせめてもの慰めだと、未熟ながら感じて。信じて。
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