29 / 37
6話
4
しおりを挟む
次の日、兄は朝からお腹が痛いと言って、先に行くよう言われた私は、そのまま学校へ1人で向かった。
学校へと着くと、下駄箱で待っていたのか、碧が元気よく声を掛けてきた。
「おはよう!カルホっ」
碧は相変わらずすごい人だなと思ったけれど、私は昨日の兄に言われた通り、自分の気持ちに素直になることにした。
だから、ぺこっと頭を下げて挨拶を返した。
すると、碧は見るからに安心した顔になって、ははっと笑った。
「てっきりカルホまた避けるのかと思ったよ~」
碧はそう言って、私を見ている。私も碧を見ている。でも、あんまり碧を見ていると、周りにいる人がどう思うか怖いので、あまり目を合わさないように意識した。何せ碧は人気者だから。
避ける?あぁ、昨日いきなり屋上から去ったからかな。
「そうそう、いきなりいなくなるから、どうしたのかと思ったよ(笑)」
ごめんなさい。あれは……。
と思ったところで、私は前の記憶が蘇る。それは碧が間宮さんと放課後に教室で2人でいた時のことだ。あれはどう見ても仲が良いように見えたし、碧の表情を見るからには間宮さんのことを友達以上に思っているのではないかと思った。
私は俯いた。何を言えばいいのかわからなくなった。
というか、私は何も気持ちが片付いてないのに、碧に気安く話しかけられてそれに応じて何しているのだろう。これだと私の気持ちはずっと気づかれないまま、終わるかもしれない。そう思った。
「カルホ??」
俯いた私を、顔を下に屈め覗いてくる碧。どんどん顔を屈めてくる。
え!やめて!
今、自分の顔を見られたくないと思った。
そう思った瞬間、ある考えが浮かんだ。
そして、私は急に頭を上げて、覗いてくる碧の顔に思い切り頭突きをし、バッグを碧の体にバシッと当て、距離をあけた。頭突きなんて普段からしないので、少し不恰好だったかもしれないけれど、そんなの今は関係ないからいいやと思った。
「いった……ってカルホいきなり何!?」
碧が困惑ぎみにそう言ったのと同時に、その場から急いで立ち去った。
相変わらず情緒不安定で身勝手だろう。こんな私を今度こそ碧は嫌いになるだろう。でも、それでも良いとその時は思った。
自分の気持ちのままに動いて、すっきりした私はトイレに駆け込んだ。トイレに用事があるわけではないが、自分の心臓がどうにかなりそうで、そのまま教室には行けそうになかった。呼吸を整えるため、少しの間トイレにいた。
すごく勇気がいった。碧に対してあんな失礼なことしたことなかったから。でも、ああでもしなければ、自分の気持ちに気づいてくれることなんてないだろうと思った。
トイレの中で、呼吸を整えながら考える。
少しの罪悪感を含んだ達成感を初めは感じていた。でも、次第にそれは罪悪感の方を濃くしていって、私は後悔するはめになった。
急に思い立ったへんてこな変化球作戦は失敗に終わり、兄もいない、慰めてくれる人もいない、そんな時を過ごした。
学校へと着くと、下駄箱で待っていたのか、碧が元気よく声を掛けてきた。
「おはよう!カルホっ」
碧は相変わらずすごい人だなと思ったけれど、私は昨日の兄に言われた通り、自分の気持ちに素直になることにした。
だから、ぺこっと頭を下げて挨拶を返した。
すると、碧は見るからに安心した顔になって、ははっと笑った。
「てっきりカルホまた避けるのかと思ったよ~」
碧はそう言って、私を見ている。私も碧を見ている。でも、あんまり碧を見ていると、周りにいる人がどう思うか怖いので、あまり目を合わさないように意識した。何せ碧は人気者だから。
避ける?あぁ、昨日いきなり屋上から去ったからかな。
「そうそう、いきなりいなくなるから、どうしたのかと思ったよ(笑)」
ごめんなさい。あれは……。
と思ったところで、私は前の記憶が蘇る。それは碧が間宮さんと放課後に教室で2人でいた時のことだ。あれはどう見ても仲が良いように見えたし、碧の表情を見るからには間宮さんのことを友達以上に思っているのではないかと思った。
私は俯いた。何を言えばいいのかわからなくなった。
というか、私は何も気持ちが片付いてないのに、碧に気安く話しかけられてそれに応じて何しているのだろう。これだと私の気持ちはずっと気づかれないまま、終わるかもしれない。そう思った。
「カルホ??」
俯いた私を、顔を下に屈め覗いてくる碧。どんどん顔を屈めてくる。
え!やめて!
今、自分の顔を見られたくないと思った。
そう思った瞬間、ある考えが浮かんだ。
そして、私は急に頭を上げて、覗いてくる碧の顔に思い切り頭突きをし、バッグを碧の体にバシッと当て、距離をあけた。頭突きなんて普段からしないので、少し不恰好だったかもしれないけれど、そんなの今は関係ないからいいやと思った。
「いった……ってカルホいきなり何!?」
碧が困惑ぎみにそう言ったのと同時に、その場から急いで立ち去った。
相変わらず情緒不安定で身勝手だろう。こんな私を今度こそ碧は嫌いになるだろう。でも、それでも良いとその時は思った。
自分の気持ちのままに動いて、すっきりした私はトイレに駆け込んだ。トイレに用事があるわけではないが、自分の心臓がどうにかなりそうで、そのまま教室には行けそうになかった。呼吸を整えるため、少しの間トイレにいた。
すごく勇気がいった。碧に対してあんな失礼なことしたことなかったから。でも、ああでもしなければ、自分の気持ちに気づいてくれることなんてないだろうと思った。
トイレの中で、呼吸を整えながら考える。
少しの罪悪感を含んだ達成感を初めは感じていた。でも、次第にそれは罪悪感の方を濃くしていって、私は後悔するはめになった。
急に思い立ったへんてこな変化球作戦は失敗に終わり、兄もいない、慰めてくれる人もいない、そんな時を過ごした。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる