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7話
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泣きたいけれど、泣くのは私の柄じゃない。
学校では1人でいて、クールを装っているのだから。
残りの授業を受けながら、この気づいてしまった気持ちはどこへ向かえばいいのだろう。なんてことを考えていた。
頬杖をつきながら、授業を受けていると、先生がゴホンとわかるように咳払いをした。
あ、やばい。気をつけなくちゃ。
そう思い、姿勢を元へと戻すと同時に先生を見た。しかし、先生は誰か他の人の方を見ていて、私に対して咳払いをしたのではないということに気づいた。
「蕪木さん!」
先生がいきなり強めの声で彼女の名前を言ったので、私は驚いた。クラスにいた他の生徒達もきっと驚いたに違いない。
「授業中に寝ないで下さい!」
続けて先生がそう言うと、蕪木さんはうつ伏せになって寝ていた顔をむくっと起こし、先生の方をぼーっと見ている。蕪木さんはどうやら眠っていたようだ。
蕪木さん寝てたんだ……大丈夫かな。
「先生の授業がつまんなくて、ついうとうとしちゃって寝てましたー」
蕪木さんがそう言った瞬間、クラスの半分くらいの生徒が控えめにクスクスと笑う声が聞こえた。
他の生徒の笑う声を聞いた先生はどうやら怒っているようだ。子供相手にだが、苛立ちを隠せていない。元々教卓から生徒を上から見下ろしているのに、顎を上に上げ、蕪木さんの方を睨んでいる。
蕪木さんも悪いけれど、先生も大人気ないな。
私はこっそりそう心の中で思った。
「蕪木さん……じゃあ、そんなに先生の授業がつまらないなら、出てってくれてもいいですよ?」
先生がそう言った途端、クラスの笑い声は消え、シーンとなった。
他の生徒達はきっと、自分もそうなるかもしれないと怖くなったのであろう。
でも、先生から名指しで注意され、挙句の果てに喧嘩を売られそうになっている蕪木さんは、頬杖をついてあくびをしている。
私はそんな蕪木さんを見ているだけしかできないのだけれども、カッコいいなと思った。自分の軸みたいなものがぶれない人だと思った。
「あ、はーい」
蕪木さんのその返事を聞いたクラスの者はみんな驚いた。もちろん、私もだ。先生もそのまま、はいと返事するとは思ってなかったのだろう。目を大きくして驚いている。
蕪木さんが普通に席を立ち、廊下へと向かうため、教室の扉に手を掛けたところで、先生がいきなり叫んだ。
「ちょっと何してるの!蕪木さんっ!」
「先生も暇だよね。こんな私みたいな生徒に時間割くより、やることやったがいいと思いますよ」
トンッ
そう扉が閉まる音が聞こえた後、教室の中は先ほどより、よりどんよりと静まり返った。
蕪木さんは結局教室から出て行ってしまったのだ。
それから、蕪木さんは授業中に戻ってくることなどなかった。そして、先生は焦りながら、半分ヤケになりながら、授業を無理矢理進ませていった。終わりのチャイムが鳴ると、先生は当てつけかのように、クラス中の生徒へ、次にある時までの宿題をたんまり与えて、そそくさと教室から去って行った。
学校では1人でいて、クールを装っているのだから。
残りの授業を受けながら、この気づいてしまった気持ちはどこへ向かえばいいのだろう。なんてことを考えていた。
頬杖をつきながら、授業を受けていると、先生がゴホンとわかるように咳払いをした。
あ、やばい。気をつけなくちゃ。
そう思い、姿勢を元へと戻すと同時に先生を見た。しかし、先生は誰か他の人の方を見ていて、私に対して咳払いをしたのではないということに気づいた。
「蕪木さん!」
先生がいきなり強めの声で彼女の名前を言ったので、私は驚いた。クラスにいた他の生徒達もきっと驚いたに違いない。
「授業中に寝ないで下さい!」
続けて先生がそう言うと、蕪木さんはうつ伏せになって寝ていた顔をむくっと起こし、先生の方をぼーっと見ている。蕪木さんはどうやら眠っていたようだ。
蕪木さん寝てたんだ……大丈夫かな。
「先生の授業がつまんなくて、ついうとうとしちゃって寝てましたー」
蕪木さんがそう言った瞬間、クラスの半分くらいの生徒が控えめにクスクスと笑う声が聞こえた。
他の生徒の笑う声を聞いた先生はどうやら怒っているようだ。子供相手にだが、苛立ちを隠せていない。元々教卓から生徒を上から見下ろしているのに、顎を上に上げ、蕪木さんの方を睨んでいる。
蕪木さんも悪いけれど、先生も大人気ないな。
私はこっそりそう心の中で思った。
「蕪木さん……じゃあ、そんなに先生の授業がつまらないなら、出てってくれてもいいですよ?」
先生がそう言った途端、クラスの笑い声は消え、シーンとなった。
他の生徒達はきっと、自分もそうなるかもしれないと怖くなったのであろう。
でも、先生から名指しで注意され、挙句の果てに喧嘩を売られそうになっている蕪木さんは、頬杖をついてあくびをしている。
私はそんな蕪木さんを見ているだけしかできないのだけれども、カッコいいなと思った。自分の軸みたいなものがぶれない人だと思った。
「あ、はーい」
蕪木さんのその返事を聞いたクラスの者はみんな驚いた。もちろん、私もだ。先生もそのまま、はいと返事するとは思ってなかったのだろう。目を大きくして驚いている。
蕪木さんが普通に席を立ち、廊下へと向かうため、教室の扉に手を掛けたところで、先生がいきなり叫んだ。
「ちょっと何してるの!蕪木さんっ!」
「先生も暇だよね。こんな私みたいな生徒に時間割くより、やることやったがいいと思いますよ」
トンッ
そう扉が閉まる音が聞こえた後、教室の中は先ほどより、よりどんよりと静まり返った。
蕪木さんは結局教室から出て行ってしまったのだ。
それから、蕪木さんは授業中に戻ってくることなどなかった。そして、先生は焦りながら、半分ヤケになりながら、授業を無理矢理進ませていった。終わりのチャイムが鳴ると、先生は当てつけかのように、クラス中の生徒へ、次にある時までの宿題をたんまり与えて、そそくさと教室から去って行った。
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