メンヘラが書く恋愛

ぼらへ

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外は水の滴る音しか聞こえない。

あぁ、今日は雨なのね。
何時だろう。
よく寝た気がする。


雨の日は外を見ても時間がわからない。
今日が日曜日でよかった。


昨日の夜は独りで枕を濡らした。
じんわり生温かい涙が枕に染み込んでいくのが
さらに自分の心の痛い部分に優しく触れられているような気がした。

まぶたが重い。
鼻が詰まってる。

ひどい顔。

鏡を見ると顔が涙と深夜に食べたポテチとラーメンで浮腫んで
まぶたがパンパンに腫れてる。

なんであんなに泣いたんだろう。
もうあんな出来事忘れてたのに。
秋だからかな。
昨日は秋の匂いがしたからな。

昨日の天気は快晴。
穏やかな秋晴れというべきだろうか。
雲ひとつない空の青さが肌寒い秋風と共に寂しさを誇張させる。

ふとその肌寒い秋風を鼻から肺いっぱいに吸い込んだ時、
秋の匂いを微かに感じとった。
寂しい、誰かが恋しくなってしまうその匂いを。
木とか葉っぱとかの匂いじゃない。
切ない胸が締め付けられる匂い。

そっか、もう11月か。

4月からめくられてないカレンダー。
スマホのロック画面に表示された日付を見て気が付いた。
慌ただしい毎日が過ぎていったけど、
私は1人だけ世の中の時間に置いていかれてたみたい。

カレンダーすらめくられない日々。

あるときから私の時間は止まってしまった。
そこから進むことができない。

いつからかな?
秋が寂しい季節だと感じ始めたのは。
幼い頃はハロウィンとクリスマス、お正月で胸がおどった。
パパとママに後何日?なんて聞いて指折り数えてたなあ。


成長するにつれて
「季節」を感覚で感じるようになった。
匂いだけじゃなくて
空や風からも身体で。
そしてその「季節」の一部の秋が来ると
誰といても私に孤独感を感じさせた。

大人になるって孤独を感じること?
名前をつけられない気持ちが胸に込み上げてくる。


ベットの上に座ってぼーっとしてる私を携帯のアラームが呼んだ。

11:30


薄暗い一人暮らしのワンルームには哀愁が漂ってる。

そうだ。檸檬を買いに行こう。

ふと梶井基次郎の「檸檬」を思い出した。
もしかしたらこの時私には
檸檬のような存在が必要だったのかもしれない。
そして、これからの時期に華やぐイルミネーションに添えよう。


あんなに愛しかった彼はもうここにはいない。
毎日幸せだった時ももう来ない。
2人で過ごした日々はガムシロップの原液より甘い。
むしろ甘過ぎて苦い。

長い間一緒にいすぎたみたい。




人生の主役は私よ。
恋愛は人生に色付けるための差し色。
唐揚げに添えられてる檸檬であればいいの。
そうすればちょっぴり酸っぱくて人生が豊かになるわ。









私はスウェットにダウンジャケットを羽織って
鼻唄を歌いながら初めてこの町の八百屋へ向かった。
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