地獄の続き

遠月 詩葉

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どうやって帰ったのかも覚えていない。意識に膜が張って、現実と自分が切り離されているようだった。

扉を開ければ、また暴力と罵声が始まる。
憎くてたまらないと、香奈を睨みつけ拳を振り下ろす母親。
それを見て見ぬふりする義父。
いつも通り、何の変哲もない日常。

しかし、決定的に変わってしまったことがある。

自分が殺人を犯してしまったこと。そして…弘人に悍ましい事実を知られてしまったということ。

一番大切なものが、香奈の手から滑り落ちてしまった。

(ああ、もう…全部終わりにしよう。)

もし、この時もう少し耐えていれば。
あるいは、勇気を出して弘人に打ち明けていれば。

もっと、違う未来があったのだろうかーー。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

目を開けると、そこは真っ暗な空間だった。
自分の体が立っているのか、浮いているのかもわからない。

「ここは…。」

何故自分はこんなところにいるのだろうか。必死に何があったのか思い出そうとする。

そうだ…全て終わらせようとした時、弘人が家に飛び込んできて…。

“一緒に、死んじゃおっか?”

「…っ!!?」

首元に手を伸ばす。最期に、彼が触れた場所。そこにはなんの感覚も残っていない。

彼が、自分と運命を共にすると誓ってくれたのだ。
地獄でまた逢おうねと、約束してくれのだ。

(なら…ここは、地獄なの?)

しかし、直感が告げる。ここはあの世ではないのだと。

「ああ、その通り。」
「…!?あなたは…?」

漆黒の髪を無造作に伸ばした、人相の悪い男が突如現れる。
彼はニイッと唇に弧を描き、香奈に囁いた。

「せいぜい、苦しみぬいてくれよ?」

そう言った途端、男は香奈を突き飛ばし…香奈の体は、どんどん下へと下降していったーー。


to be continued...?
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