地獄の続き

遠月 詩葉

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「ねえ、あんたってエグいビッチなんだね。」
「…え?」

それは、いつものように屋上に呼び出され蹴り続けられていた時のこと。

「自分の親父とヤってるんでしょ?キャハハッ!やっばぁ~!」

血の気が引いた。なんで。なんで知っているのだ。母親にバレてからというもの、一応そういう意味で手は出さなくなって久しいのに。

「あんたの母親がヒスって、ママ友に暴露したらしいよ?その人、私のママとも親しくてさあ。ぜぇんぶ、聞いちゃった♡」
「そ、そんな…。」
「家でもめっちゃ暴力振るわれてるらしいじゃん?…母親の相手を寝取った気分はどうだよ、この売女がっ!」

ガンッ!思いっきり蹴り飛ばされ、反射的に咳き込む。
そのまま髪を掴まれ、無理矢理顔をあげさせられた。

「あんたみたいな、きったない身体の女がさ、よく先輩と一緒にいられるよね?どうせ何も言ってないんでしょ?え~、それって詐欺じゃない?先輩が可哀想~。だ・か・ら。ここに呼び出す前に、親切心で教えてあげたんだあ!」
「え……?」

誰に?何を?
頭がぐるぐるする。理解したくない。してしまえばもう、自分を保てない。

「あんたのスマホ、今朝取り上げてやったっしょ?そこから先輩の連絡先を入手して、ぜぇんぶ送ってやったの!ざまぁ!さっきからずっと電話通知が来てるんだよ?…もう終わりだね?何もかも。」

嘲笑う彼女の声で脳が揺さぶられる。

(全部、知られてしまった…?)

嘘だ、嘘だ、なんで、嫌…。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだうそだウソだウソだウソダウソダ。

「嫌あああ!!!!」

自分のどこに、そんな力があったのだろう。彼女をめいいっぱい突き飛ばして、その身体はフェンスに叩きつけられた。

元々緩んでいたのだろう。フェンスがぐらりと傾く。

「え。」

スローモーションのように、彼女の姿が落ちていく。空に伸ばした右腕が完全に見えなくなって、心臓の鼓動がひとつ聞こえた後。

ぐしゃり。

何かが勢いよく潰れた音が、耳に届いた。
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