王国再興物語 〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜

中村幸男

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策謀

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 一日前。
「……お前、内通してるだろ?」
 セインは主であるアルフレッドに呼び出されていた。
「……はい。」
「やけに素直に認めるんだな。」
 俺は明日の戦に勝つために不安要素を取り除こうとしていた。
 開き直ったのかとも思ったがどうやら違うようだ。
「ですが我が忠義は若にのみあります。では、ご武運お祈りしています。」
 セインはナイフを取り出し自らの首に刺そうとする。
 俺はナイフを取り上げ、セインの行動を静止する。
 セインならこうするだろうと予測できていた。
「まぁ、落ち着け。お前がお前の父、セイルズに命令されてやったことぐらい想像はつく。」
「で、では一体何故?」
 ナイフを床に投げ落ち着かせる。
「俺の手先になれ。」

「なるほど、魔道具ですか。」
「そうだ。」
 この世には魔道具と言われる物が存在する。
 現在の技術では作ることは不可能と言われる道具である。
「使うのはこのドッペルマリオネットだ。」
「確かそれは使用者と意識を同期し、姿形全てが使用者のものになる物でしたか?」
 1つ手のひらサイズの大きさの人形を取り出す。
 一応執事なのでこの城にあるもののことは把握している。
「そうだ。斬られれば血も出る。」
「なるほどそれで私を死人とし、誰も存在を知らない手先を作り出すということですね。」
 流石に俺のことをよく理解している。
 長年一緒にいるだけのことはあるな。
「そのためのシチュエーションについてはここに詳しく書き出しておいた、そのとおりに動いてくれ。」
「畏まりました。」
 俺は懐から紙を取り出し、それを渡す。
「……大分細かいですね……。」
「別にいいだろ。それくらい。」
 そこにはセリフからどう動くかまで事細かく書かれていた。
「後、今日の内に領民が避難している場所まで行ってくれ。明日の戦のための仕込みについては現地の人間に達してある。詳しくはそいつらに聞いてくれ。」
「分かりました。では。」
 そう言うと踵を返し、部屋を出ていこうとする。
「あ、そうだ。これ。」
 俺は1つの魔道具を取り出す。
 手のひらサイズの水晶である。
「遠話水晶ですか?」
 遠くにいても話すことが出来る水晶である。
 この家は家柄が家柄なだけに様々な物がある。
 魔道具なんて要素は信○の野望にはなかったから謀略の幅が広がり楽しく感じてしまう。
 セインに水晶を手渡す。
「何かあったらこれで連絡を取る。では、後のことはよろしくな。」
「はい。」
 今度こそ部屋を出ていくセイン。
(……セイルズを斬ることは伝えなくて正解だったよな。)
 色々と考えるが、明日のために早く寝ることにする。
 気持ちの昂りを抑えつつ床に入るのであった。
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