王国再興物語 〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜

過去

「私は昔この孤児院で過ごしました。」
　俺達は今、セラの話を聞いていた。
　イリスと呼ばれた女性に招かれ孤児院の中でお茶をご馳走になっていた。
　もう既に孤児院の子供達は寝ているようで、静かに話をしていた。
「そしてこの孤児院はフレン様の母上が過ごした場所でもあるようで、その繋がりでフレン様がたくさんの寄付金をくれていたのです。」
　母方の祖母については早逝したということしか知らなかった。
「そして、たまにフレン様は顔をこちらにお出しになられて、私達に剣術や竜の乗り方等を教えてくれていました。」
　セラが言うには、母上が連れてきていた侍女は全てこの孤児院の出らしく、本当に母上が育てたと言っても過言ではなかった。
　その後セラや剣術に優れた者たちを自らの侍女にし、面倒を見ていたらしい。
「うんうん。あのときは楽しかったねー。」
「それで、イリスさんはセラとはどういったご関係で？」
　イリスさんは物腰が柔らかく、とても優しい女性だということが、これまでのやり取りでわかる。
　少し茶色がかった肩まで伸びる髪で、少しくせっ毛なのか真っ直ぐではない。
　これは美人に部類されるだろう。
　そして何がとは言わないがでかい。
「セラの幼馴染で、一緒にこの孤児院に来たんです。」
「なるほど。」
　一体どうやって二人が孤児院に来たのか気にはなるが、そのことは今はやめておこう。
　それに、なぜ同じ生活環境でここまで胸部装甲（胸）の大きさに差が出るのか。
　言っていることは変態地味ているが仕方ない。
　彼女いない歴＝年齢なのだから。
「あ、それでそれで？フレン様は？セラが居るってことは近くに来てるんでしょ？」
　急に空気が重くなる。
　帝国ではまだ、母上の死は広まって無いらしい。
　もしくは母上の死を隠しているか。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私はアルフレッド・シャム・エルドニア。エルドニア王国の王子になります。そして私はフレン・シャムスの息子になります。あ、こちらは執事のセインです。」
「え、王子様?」
　顔色が変わる。
　それはそうだ。
　これまで砕けた感じで話していた相手が一国の王子だったのだから。
「も、申し訳ありません！」
　ものすごい頭を下げている。
「いや、よしてくれ、それよりも母上のことで言わなくてはならないことがある。」
　本当なら言うべきではないのだろうがイリスさんになら良いだろう。
　俺は全てを話した。
　まず、俺が父上に命を狙われたこと。
　そして母上と共に城を逃げたこと。
　帝国の暗殺部隊によって母上が殺されたこと。
　そして俺達が母上を蘇らせる為に動いていること。
　全てを話した。
「そんなことが。」
「ごめんなさい。イリス。本当なら私がお守りするはずだったのに……。」
　セラの目から涙が溢れる。
　イリスの目にも涙が浮かんでいる。
「俺からも謝らせて貰う。あのときもっといい方法があったかもしれない。」
「いえ、アルフレッド様もセラも悪くはありません。」
　涙を拭うイリス。
　その顔は何か覚悟を決めた顔をしている。
「私も戦うことは出来ないけど協力します。必ずフレン様を生き返らせましょう！」