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帝都強襲作戦
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俺達はローゼンの、盗賊ギルドの協力を取り付けた。
実は近日中にローゼンの兄、ルーゼンの処刑があるらしく、盗賊ギルドはそれの救出作戦を計画していたようで、それを活用し神樹の雫と強奪とルーゼンの救出の二つを同時に行うこととした。
しかし、予期せぬ出来事がさらに起こってしまう。
「王国が内戦状態!?」
「はい。」
セインの報告によると帝国と領土を接している領土を持っている貴族たちが帝国に降伏するべきだと言い出し、同じ意見の者達で連合を組み、エルドニア貴族連合なるものを作り出したという。
実質的なエルドニア王国の指導者であるアラン叔父上は帝国軍と未だに籠城戦を続けており、この事態に対処できていない。
つまり、王国は北と帝国に接している南に二分割されてしまった。
そして叔父上の領土は比較的南側に位置しており、貴族連合の領土の中で孤立しており、状況は最悪であるという。
「そして貴族連合を纏め上げたのが若の異母兄弟であるアーロン殿とのことにございます。」
「父親の仇に下ったのか!?」
アーロンとは父上の元正室の庶民の子供であり、俺が父上に嫌われていたこともあり、実質的な世継ぎであった。
「セラ。アーロン兄上と父上はそんなに仲が悪かったのか?」
「いえ、そのようには見えませんでした。」
確かに王国国内は最悪の状況である。
王国国内の状況がよく分からず、不透明な状況が続いているが、今は目の前のことに集中しよう。
「まぁ、いい。明日のためにも今日は早く休もう。セラは作戦のこともあるからイリスさんのところで寝泊まりしてくれ。」
「畏まりました。」
翌日。
作戦決行当日。
シャムス広場にて。
「ここに!大罪人、盗賊ギルドが長!ルーゼンの処刑を始める!」
進行役のような男が大声で叫ぶ。
歓声があがる。
広場には無数の帝国国民がいる。
そしてその民衆に囲まれ、中心に見るからに弱体しているルーゼンがいるのがわかる。
一目でわかるほど、ローゼンとそっくりである。
野次を飛ばすものやルーゼンに石を投げるもの。
盗賊ギルドが嫌われている存在であることがよく分かる。
「そして本日は!フローゼル・シャムス皇帝陛下がお越しになられております!」
いかにも皇帝という風貌の豪華な衣装を纏った老人が立ち上がり民衆に手を振る。
皇帝は高台におり、多数の警護の兵に囲まれており、容易には近づけない。
(いや、皇帝いるとかきいてねぇ!)
「本来ならばここには来られなかったのですが、情勢の変化により、来ることが出来たとのことです!この大罪人の処刑を見たいと仰っていただけました!」
情勢の変化というのは恐らく王国の内戦のことだろう。
つまりは王国軍との戦闘は基本的には貴族連合軍に任せているということだろう。
というかこの盛り上がり方は最早祭りである。
「では、本日の断頭人の登場です!」
すると奥から筋骨隆々のマスクをかぶったド○クエにでも出てきそうな男が大きな斧を持って出てきた。
小さい頃はわけもわからず樽を投げて当てて楽しんでいたものだ。
男が持っている斧は見るからに切れ味が悪そうでそう簡単に死なせてくれないようなものだと見てわかる。
「おい!ルーゼンよ!この斧を見ろ!」
断頭人は斧をルーゼンに見えるように置く。
ルーゼンは弱々しく斧を見る。
「お前の仲間はどこにいる!?言えばもう少し切れ味の鋭い斧にしてやるぞ!」
男は高らかに笑う。
周りの民衆も笑っている。
「……も……か。」
「あ?」
耳を近づけた断頭人に対しルーゼンはツバを吐きかける。
「誰が言うものか!」
場が静まり返る。
「ふざけるのもいい加減にしろ!我が領地に有る事無い事言いがかりをつけ、所領を奪い!我が家族を!そして領民をも殺し!今度は我が仲間達まで奪おうと言うのか!」
突然のことに周りは何も言えずにいた。
「フローゼル!我は首だけになっても、貴様のその首!必ずや取ってみせるぞ!」
司会役の男が断頭人に合図をする。
断頭人は斧を振り上げる。
「よくぞ申された!」
大きく声を上げ、俺が姿を表す。
俺は広場の端にある時計塔の上にいた。
時計塔はそれほど高い訳ではなく、人の顔はよく見える。
民衆や断頭人まで全員がこちらをみる。
「その心意気やよし!我こそは!アルフレッド・シャム・エルドニア!我々は貴方に全力で持って協力してみせよう!志を同じくする者達よ!さぁ!今こそ!武器を取れ!」
俺は弓に鏑矢をつがえ断頭人めがけて放つ。
高い音を発しながら真っ直ぐ断頭人の心臓を貫き、断頭人は倒れる。
「さぁ!戦の始まりだ!」
民衆に紛れていたこちらの手勢達がフード付きの外套を脱ぎ剣を抜き放ち敵へ斬りかかる。
さぁ、フローゼル皇帝陛下がいるのは想定外だが、なんとかなるかな?
実は近日中にローゼンの兄、ルーゼンの処刑があるらしく、盗賊ギルドはそれの救出作戦を計画していたようで、それを活用し神樹の雫と強奪とルーゼンの救出の二つを同時に行うこととした。
しかし、予期せぬ出来事がさらに起こってしまう。
「王国が内戦状態!?」
「はい。」
セインの報告によると帝国と領土を接している領土を持っている貴族たちが帝国に降伏するべきだと言い出し、同じ意見の者達で連合を組み、エルドニア貴族連合なるものを作り出したという。
実質的なエルドニア王国の指導者であるアラン叔父上は帝国軍と未だに籠城戦を続けており、この事態に対処できていない。
つまり、王国は北と帝国に接している南に二分割されてしまった。
そして叔父上の領土は比較的南側に位置しており、貴族連合の領土の中で孤立しており、状況は最悪であるという。
「そして貴族連合を纏め上げたのが若の異母兄弟であるアーロン殿とのことにございます。」
「父親の仇に下ったのか!?」
アーロンとは父上の元正室の庶民の子供であり、俺が父上に嫌われていたこともあり、実質的な世継ぎであった。
「セラ。アーロン兄上と父上はそんなに仲が悪かったのか?」
「いえ、そのようには見えませんでした。」
確かに王国国内は最悪の状況である。
王国国内の状況がよく分からず、不透明な状況が続いているが、今は目の前のことに集中しよう。
「まぁ、いい。明日のためにも今日は早く休もう。セラは作戦のこともあるからイリスさんのところで寝泊まりしてくれ。」
「畏まりました。」
翌日。
作戦決行当日。
シャムス広場にて。
「ここに!大罪人、盗賊ギルドが長!ルーゼンの処刑を始める!」
進行役のような男が大声で叫ぶ。
歓声があがる。
広場には無数の帝国国民がいる。
そしてその民衆に囲まれ、中心に見るからに弱体しているルーゼンがいるのがわかる。
一目でわかるほど、ローゼンとそっくりである。
野次を飛ばすものやルーゼンに石を投げるもの。
盗賊ギルドが嫌われている存在であることがよく分かる。
「そして本日は!フローゼル・シャムス皇帝陛下がお越しになられております!」
いかにも皇帝という風貌の豪華な衣装を纏った老人が立ち上がり民衆に手を振る。
皇帝は高台におり、多数の警護の兵に囲まれており、容易には近づけない。
(いや、皇帝いるとかきいてねぇ!)
「本来ならばここには来られなかったのですが、情勢の変化により、来ることが出来たとのことです!この大罪人の処刑を見たいと仰っていただけました!」
情勢の変化というのは恐らく王国の内戦のことだろう。
つまりは王国軍との戦闘は基本的には貴族連合軍に任せているということだろう。
というかこの盛り上がり方は最早祭りである。
「では、本日の断頭人の登場です!」
すると奥から筋骨隆々のマスクをかぶったド○クエにでも出てきそうな男が大きな斧を持って出てきた。
小さい頃はわけもわからず樽を投げて当てて楽しんでいたものだ。
男が持っている斧は見るからに切れ味が悪そうでそう簡単に死なせてくれないようなものだと見てわかる。
「おい!ルーゼンよ!この斧を見ろ!」
断頭人は斧をルーゼンに見えるように置く。
ルーゼンは弱々しく斧を見る。
「お前の仲間はどこにいる!?言えばもう少し切れ味の鋭い斧にしてやるぞ!」
男は高らかに笑う。
周りの民衆も笑っている。
「……も……か。」
「あ?」
耳を近づけた断頭人に対しルーゼンはツバを吐きかける。
「誰が言うものか!」
場が静まり返る。
「ふざけるのもいい加減にしろ!我が領地に有る事無い事言いがかりをつけ、所領を奪い!我が家族を!そして領民をも殺し!今度は我が仲間達まで奪おうと言うのか!」
突然のことに周りは何も言えずにいた。
「フローゼル!我は首だけになっても、貴様のその首!必ずや取ってみせるぞ!」
司会役の男が断頭人に合図をする。
断頭人は斧を振り上げる。
「よくぞ申された!」
大きく声を上げ、俺が姿を表す。
俺は広場の端にある時計塔の上にいた。
時計塔はそれほど高い訳ではなく、人の顔はよく見える。
民衆や断頭人まで全員がこちらをみる。
「その心意気やよし!我こそは!アルフレッド・シャム・エルドニア!我々は貴方に全力で持って協力してみせよう!志を同じくする者達よ!さぁ!今こそ!武器を取れ!」
俺は弓に鏑矢をつがえ断頭人めがけて放つ。
高い音を発しながら真っ直ぐ断頭人の心臓を貫き、断頭人は倒れる。
「さぁ!戦の始まりだ!」
民衆に紛れていたこちらの手勢達がフード付きの外套を脱ぎ剣を抜き放ち敵へ斬りかかる。
さぁ、フローゼル皇帝陛下がいるのは想定外だが、なんとかなるかな?
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