王国再興物語 〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜

中村幸男

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アルフレッドの記録その2

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 素直に言おう。
 俺は漂流した。
 セラに突き落とされ、そのまま、波にのまれ、皆とはぐれてしまった。
 今はなんとか流されていた小舟に乗ることができている。
 恐らく帝国とアナテル国の海戦の名残だろう。
 幸いにも食料や水は積んであった。
 脱出用の小舟だったのだろうか?
 しかし、今ここがどこなのか、どちらに流されているのかもよくわからない。
 アナテルと帝国の間はかなりの距離があるので、辺りは水平線のみだ。
 下手に船を漕いで体力を消耗しないようにしなくてはならない。
 
 1日目。
 助けが来るのをひたすらに待つことにした。
 皆はどうしているだろうか?
 先にアナテル国へ向かったのか?
 それともその場で捜索を続けているのだろうか。
 どちらにせよ今俺にできることはなにもしないことである。

 2日目。
 幸いにも食料や木材等たくさん流れてくる。
 なんかゲームで、筏で漂流して流れてくる資源を頼りに生活していくってゲームがあった。
 あれは面白かった。
 そしてここで1つ問題が生じている。
 夜は寒く、日中は暑い。
 それもそうだ、屋根がないので日を遮ることができない。
 なんとか服を屋根代わりにしてはいるが、限界である。
 海水を浴びて体温を下げている。
 いい気分はしない。
 夜は日を焚くわけにも行かないのでひたすらに厚着している。
 服は流れてきた物をかき集めている。
 戦が原因だと思われる血塗れの服だが気にしている余裕はない。

 3日目。
 最悪だ。
 大雨が来た。
 波もすごい。
 日が昇る前から降っていたのでかなり寒い。
 あと食料が駄目になりそうだ。
 流れてきた木材を盾に雨よけにするしかない。
 いつになったら助けが来るのだろうか。
 
 4日目。
 やはり食料がいくつか駄目になっていた。
 雨は止んだが、気温は低いままだ。
 しかし、あたりを見回すと船の残骸なのか様々な物が浮いている。
 1番嬉しかったのは釣り竿があったことだ。
 これで食料には困らない……はずだ。
 あと流されていた木材と木材を繋いでいた釘を外し、分解し、小舟を改良し軽く雨よけや日陰になるところを作った。
 船の端から板を斜めにうち、三角屋根をつけたようなものだが、ないよりはマシだろう。

 5日目。
 釣れない。
 いくら糸を垂らしても全く釣れない。
 ゲームで沢山釣ってきたはずなのに。
 それもそうだ餌がないのだから。
 針も針金を曲げただけである。
 そろそろ助けがほしい。
 一人がそろそろ辛くなってきた。
 
 6日目。
 遠くに船が見えた。
 大声で叫んだり旗を振ったりアピールするが気付かれていないようだ。
 一か八かで船が燃えないように火を付ける。
 火を絶やさないようにそして煙が上がるように頑張るが、船は見えなくなっていった。
 取り敢えず今日は火を焚いておこう。
 船が燃えそうになったら消せばいい。
 あぁ暖かい。

 7日目。
 こちらの安否を問う声で目が覚める。
 声の方を見ると大航海時代の船のような巨大な船があり、声の主は小舟でここまで来ていた。
 逆光でよく顔は見えないが女のようである。
 かなり昔小さい頃に聞いたような気がする声だが、うまく思い出せない。
 取り敢えず俺は助かったようである。
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