王国再興物語 〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜

中村幸男

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故郷にて

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 アルフレッドがアナテル国にて新たな事実を知っていた頃。
 セラ達は1度フレクの元へと戻っていた。
 そしてセラ達一行はフレクの部屋へと案内されていた。
「セラ、よくぞ戻ってきた。」
「はい。そ、それでアルフレッド様は見つかりましたか?」
 あの後オルフェンにアルフレッドが海に落ちた事を伝えるとオルフェンはまず、フレクに報告。
 フレクも帝国に反旗を翻していたので、まともな捜索部隊を編成することができずにいた。
 なのでセラ達に1度戻るように伝えさせたのであった。
「確定では無いが生きている可能性がある。」
「ほ、本当ですか!?」
 フレクの話によるとオルフェンがセラ達に神聖帝国へと戻るように伝えに行く最中、遥か遠くで豪雨のなか漂流している小舟らしきものを見かけたという。
 その中に遠目でよく見えなかったが人がいたらしい。
 雨が酷く波も荒れていたので、そちらは後回しにしたとのことらしい。
「それがアルフレッドだという証拠もないが、オルフェンがいうには似ていたという。今も少数ながら捜索は続けている。アナテル国にも使いを出した。内容は同盟の締結とアルフレッドの捜索の要請だ。必ず見つけて見せよう。」
 フレクはやるといったことはやる男である。
 その事を理解しているセラ心底安心した様子である。
「一つよろしいでしょうか?」
 セラの隣にいたセインが質問する。
「沿岸部の領地を治めているこの神聖帝国ですが、帝国の全海岸部ではありません。制海権をすべて握れていない以上捜索にも限界があるのでは?」
「あぁ、それについてはアルフレッドの捜索の為も兼ねてになるが、先ずは帝国とアナテル国間の制海権を奪取することから始めなければならない。」
 フレクがいうにはアナテル国の橋頭堡については神聖帝国が担うので陸路と海路の2面作戦によって帝国の南沿岸部を奪うとの事だ。
「まぁ、これについては帝国とアナテル国だけではすこし兵力が心もとないからな。少し策を練る必要がある。」
「なるほど。ではこれならば……。」
 急に2人だけで話し始めた軍略についてとなるとセラはついていけないのだ。
「ま、お前さんは大将が帰ってきたときのための謝罪文でも考えとくんだな。」
 セラの肩を叩くローゼン。
「そいつは名案だな!ローゼン!手伝ってやればいいだろ。お前得意だしな。」
「やめてくれよ兄貴!」
 ガハハと笑いあう兄弟。
 何だかんだで落ち着いて兄弟2人で話せていなかったので、楽しんでいるのだろう。
「ま、大丈夫だ。俺達は盗賊ギルドの海賊派の棟梁だったからな。あの流れ方なら帝国方面へは流されてないだろう。多分アナテル国だな。」
「あぁ、そうだな。それに、最近の海戦で漂流物がたくさんあったからな数日ならしのげるだろ。」
 盗賊ギルドは元々は山賊、盗賊、海賊の3つからなる3賊同盟だったらしい。
 しかし、結局は族なので、内輪揉めで争い、決闘によってリーダーを決めるということになったらしい。
 で、今の状態になったということだ。
 そしてフレンによって今の状態に陥ったとの事だ。
「セラ、大丈夫?思い詰めてない?」
「えっ!?ちょっとイリスお酒臭いよ!?」
 後ろから抱きつかれるセラ。
 抱きついた犯人であるイリスは何故か泥酔状態である。
「だぁってぇ、みんななんか難しい話してるんだもん。もっと私にも構ってよぉー。」
「もぉ、イリス酔いすぎ。そもそも今はそういう場では無いでしょう!」
 フレクもこちらの様子に気づいたようである。
「あ、すまないね。私はいつもこの水を入れるボトルに酒を入れているんだ。こんな形で置かれれば勘違いしてしまうだろうね。すまない配慮にかけていた。」
 軽く頭を下げるフレク。
「少し水を飲ませたら今日は寝室で休むといいよ。昔君が使っていた部屋がまだ残ってるからそこで休むといい。」
「あ、ありがとうございます。」
 フレクの城は竜騎兵団の本拠地でもあるので、元竜騎兵団の副長であったセラには専用の部屋が用意されていた。
 セラはイリスに水を飲ませフレクの部屋を後にする。
(今思ったけど、アルフレッド様、よくこんな個性の強いメンバーを引き連れて行けてたな……。)
 イリスを背負いながら考え込むセラ。
 その個性の強いメンバーの一人であるという自覚はセラにはまだ無いようである。
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