36 / 93
戦の前に
しおりを挟む
『若!ご無事で何よりです!』
「あぁ、皆も元気そうで何よりだ。」
今俺はレノン王に頼み、フレク叔父上と話をするために遠話水晶を借り、話していた。
同盟締結の為、連絡を取り合っていたら俺が生きてこちらで保護されていることを知ったらしい。
因みにこちらの水晶は高性能で、向こうの様子も見る事が出来る。
そしてそこにはまさかのセラ達がいたのだ。
経緯について、一通り聞いたあとは久しぶりの再会を遠話水晶越しにだが楽しんでいた。
しかし、セラの表情は暗いままである。
「なぁセイン。セラは一体どうしたんだ?」
『あぁ、それは……。いえ、ここは自分の口からいった方がよいのでしょうね。』
するとセインは後ろに下がりセラの背中を押す。
セラは水晶の前に立つ。
「え、えっと久しぶり?」
『……アルフレッド様。』
セラの顔を見ると先程まで泣いていたのが分かり、目の回りが真っ赤になっている。
そしてその事について何か言ってくるのかとも思ったが、少し違った。
『この度は私のせいでこのような事態になってしまったことを大変深くお詫び申し上げます。原因につきましては私の経験の少なさと精神面の未熟さがこのような事態を招いてしまいました。今後の対処につきましては書物や自らの経験を積むことでこういったことへの耐性を向上させること、あのような現場ではアルフレッド様に近づかないこと。以上の2点を徹底致します。この度は大変申し訳ありませんでした。』
深々と頭を下げるセラ。
というか謝罪の文面が現代日本人のそれである。
「セラ。」
『は、はい。』
セラを見るからに怯えている。
少しいじわるしてみたくもなるがやめておこう。
「俺はこうして無事だったし、そのお陰でアナテル国の協力を取り付けることに成功した。その他にも色んなことがわかったしな。別に気にしてないから、今後も普通に接してほしい。」
セラの顔を見ると涙が浮かんでいる。
『ア、アルフレッド様!ありがとうございます!』
結局泣いている。
まぁ、仕方ない。
「何?この女がアルを海に突き落とした張本人?」
「あ、おいレイン。」
レインが水晶を覗き込む。
『あ、あなたは?』
「私はレイン・アナテル。アルの許嫁よ!」
ドンと胸を叩く。
『い、許嫁……。』
「ふふん。あなたの付け入る隙は無いわよ。」
セラの表情が一気に暗くなる。
『なるほど、私達が必死になってアルフレッド様を探している最中にそのお方とよろしくやっていたのですか。そうですか。では失礼します。』
「あ、セラ!」
セラはそのまま部屋をあとにする。
代わりにセインが水晶に顔を出してくる。
『申し訳ありません、若。すぐに連れ戻してきます。』
「あ、いや待ってくれ。」
誰かに呼び戻すように言わないということは恐らくそこにはセイン一人なのだろう。
フレク叔父上はいるが、叔父上にも聞いておいて欲しい。
「伝えておきたいことがある。」
『伝えておきたいこと?』
セインは呼び戻そうと席を立っていたが席に座る。
「お前達の中に内通者がいる。」
「あぁ、皆も元気そうで何よりだ。」
今俺はレノン王に頼み、フレク叔父上と話をするために遠話水晶を借り、話していた。
同盟締結の為、連絡を取り合っていたら俺が生きてこちらで保護されていることを知ったらしい。
因みにこちらの水晶は高性能で、向こうの様子も見る事が出来る。
そしてそこにはまさかのセラ達がいたのだ。
経緯について、一通り聞いたあとは久しぶりの再会を遠話水晶越しにだが楽しんでいた。
しかし、セラの表情は暗いままである。
「なぁセイン。セラは一体どうしたんだ?」
『あぁ、それは……。いえ、ここは自分の口からいった方がよいのでしょうね。』
するとセインは後ろに下がりセラの背中を押す。
セラは水晶の前に立つ。
「え、えっと久しぶり?」
『……アルフレッド様。』
セラの顔を見ると先程まで泣いていたのが分かり、目の回りが真っ赤になっている。
そしてその事について何か言ってくるのかとも思ったが、少し違った。
『この度は私のせいでこのような事態になってしまったことを大変深くお詫び申し上げます。原因につきましては私の経験の少なさと精神面の未熟さがこのような事態を招いてしまいました。今後の対処につきましては書物や自らの経験を積むことでこういったことへの耐性を向上させること、あのような現場ではアルフレッド様に近づかないこと。以上の2点を徹底致します。この度は大変申し訳ありませんでした。』
深々と頭を下げるセラ。
というか謝罪の文面が現代日本人のそれである。
「セラ。」
『は、はい。』
セラを見るからに怯えている。
少しいじわるしてみたくもなるがやめておこう。
「俺はこうして無事だったし、そのお陰でアナテル国の協力を取り付けることに成功した。その他にも色んなことがわかったしな。別に気にしてないから、今後も普通に接してほしい。」
セラの顔を見ると涙が浮かんでいる。
『ア、アルフレッド様!ありがとうございます!』
結局泣いている。
まぁ、仕方ない。
「何?この女がアルを海に突き落とした張本人?」
「あ、おいレイン。」
レインが水晶を覗き込む。
『あ、あなたは?』
「私はレイン・アナテル。アルの許嫁よ!」
ドンと胸を叩く。
『い、許嫁……。』
「ふふん。あなたの付け入る隙は無いわよ。」
セラの表情が一気に暗くなる。
『なるほど、私達が必死になってアルフレッド様を探している最中にそのお方とよろしくやっていたのですか。そうですか。では失礼します。』
「あ、セラ!」
セラはそのまま部屋をあとにする。
代わりにセインが水晶に顔を出してくる。
『申し訳ありません、若。すぐに連れ戻してきます。』
「あ、いや待ってくれ。」
誰かに呼び戻すように言わないということは恐らくそこにはセイン一人なのだろう。
フレク叔父上はいるが、叔父上にも聞いておいて欲しい。
「伝えておきたいことがある。」
『伝えておきたいこと?』
セインは呼び戻そうと席を立っていたが席に座る。
「お前達の中に内通者がいる。」
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。
大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。
そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。
しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。
戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。
「面白いじゃん?」
アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる