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セインの推理
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内通者がいる。
若から向こうで何があったのか細かく聞いた。
まさかスロールが出てくるとは思わなかったが、そのスロールが口を滑らしていたのだ。
若が言うには海に落ちた事を既にスロールが知っていたというのだ。
つまりは何者かが、スロールへ情報を流したということになる。
「セイン殿!」
「これはルーゼン殿。どうかしましたか?」
考え事を、しながら廊下を歩いていると後ろから声をかけられる。
「いや、この城は広くて迷う。トイレがどこかわかりますかな?」
「あぁ、それでしたらこの先にありますよ。」
指で指し示し教える。
「おぉ、ありがたい。では。」
そのまま指し示した方向へと駆けていく。
ルーゼン。
私達の一党の中では最も新しい人物である。
正直疑う要素はたくさんあるが一旦保留しておこう。
情報を整理しよう。
まず、セラ殿。
セラ殿はあり得ないだろう。
まぁ、落とした張本人ではあるのだが、あの様子は本気で後悔している様子である。
演技の可能性も捨て切れはしないが、低いだろう。
何より旅の目的がしっかりしているからな。
では、イリス殿は?
セラ殿の幼馴染みで親友。
同じくフレン様の娘のような存在で、甦らせるという目的がある以上、寝返る可能性は低いと思う。
しかし、孤児院を人質にとられるか大金を餌にされれば寝返る可能性もある。
その辺りの調査をしてみよう。
次はローゼン殿。
盗賊ギルドの長、ルーゼンの弟であり、ルーゼンが捕まっていた際は実質的な指導者であった。
部下を率いる能力は高いらしく、皆が信じきっていたようだ。
彼は部下を大事にするところがある。
それは彼の過去にも起因するのだろう。
ルーゼン、ローゼンの家は元々は貴族で、領主であったらしい。
そして家系をたどれば元々は海賊だったとのこともわかっているらしい。
そのよしみで盗賊ギルドへの資金提供等も行っていたとのことだ。
そして帝国のせいで領土を全て失った彼らは復讐を誓い、盗賊ギルドに加入したらしい。
帝国に対する恨みはあるだろう。
だが、帝国から領地を与えると言われれば?
いや、ローゼンならその話は蹴るだろう。
フレン様への忠義も確かなものだと見られる。
怪しくもあるが、恐らくは大丈夫だ。
そして問題のルーゼン。
ローゼンの兄で盗賊ギルドのリーダー。
我々が盗賊ギルドと接触したときには既に獄中におり、メンバーの中では最も新参者だ。
そして獄中で弱った所で、セイルズやスロールに領地を戻してやるからと言われればなびく可能性は十分にある。
やはり疑うならルーゼンだろう。
あれからルーゼンの後を追跡してみた。
するとトイレには行っておらず城の中をただただ練り歩いている様子である。
そして何かをメモしている。
やはり疑わしい。
更に後をつけると城の外へ出て近くの林の中へと入って行った。
するといきなりしゃがむと地面についていたと思われる扉を開き地下へと入っていった。
「何故こんなところに?」
更に追跡する。
危険ではあるとわかってはいたが一体ここが何なのか調べる必要もある。
扉を開けると地下へと続く階段があり、暗くて先はよく見えない。
そのまま明かりを持たずに入る。
一体何処から光が入っているのかは分からないが薄っすらと明るく視界は良くはないが見えはする。
「で、首尾はどうだったの?」
「しっかり調べてきたんでしょ?」
聞き覚えのない声が曲がり角の先から聞こえてくる。
どうやら子供の声である。
「バッチリだ!」
ルーゼンの声も聞こえてくる。
(一体どういうことだ?)
裏切っていることは最早確実だが、その相手が子供とはどういうことだろうか。
何か嫌な予感がする。
若から向こうで何があったのか細かく聞いた。
まさかスロールが出てくるとは思わなかったが、そのスロールが口を滑らしていたのだ。
若が言うには海に落ちた事を既にスロールが知っていたというのだ。
つまりは何者かが、スロールへ情報を流したということになる。
「セイン殿!」
「これはルーゼン殿。どうかしましたか?」
考え事を、しながら廊下を歩いていると後ろから声をかけられる。
「いや、この城は広くて迷う。トイレがどこかわかりますかな?」
「あぁ、それでしたらこの先にありますよ。」
指で指し示し教える。
「おぉ、ありがたい。では。」
そのまま指し示した方向へと駆けていく。
ルーゼン。
私達の一党の中では最も新しい人物である。
正直疑う要素はたくさんあるが一旦保留しておこう。
情報を整理しよう。
まず、セラ殿。
セラ殿はあり得ないだろう。
まぁ、落とした張本人ではあるのだが、あの様子は本気で後悔している様子である。
演技の可能性も捨て切れはしないが、低いだろう。
何より旅の目的がしっかりしているからな。
では、イリス殿は?
セラ殿の幼馴染みで親友。
同じくフレン様の娘のような存在で、甦らせるという目的がある以上、寝返る可能性は低いと思う。
しかし、孤児院を人質にとられるか大金を餌にされれば寝返る可能性もある。
その辺りの調査をしてみよう。
次はローゼン殿。
盗賊ギルドの長、ルーゼンの弟であり、ルーゼンが捕まっていた際は実質的な指導者であった。
部下を率いる能力は高いらしく、皆が信じきっていたようだ。
彼は部下を大事にするところがある。
それは彼の過去にも起因するのだろう。
ルーゼン、ローゼンの家は元々は貴族で、領主であったらしい。
そして家系をたどれば元々は海賊だったとのこともわかっているらしい。
そのよしみで盗賊ギルドへの資金提供等も行っていたとのことだ。
そして帝国のせいで領土を全て失った彼らは復讐を誓い、盗賊ギルドに加入したらしい。
帝国に対する恨みはあるだろう。
だが、帝国から領地を与えると言われれば?
いや、ローゼンならその話は蹴るだろう。
フレン様への忠義も確かなものだと見られる。
怪しくもあるが、恐らくは大丈夫だ。
そして問題のルーゼン。
ローゼンの兄で盗賊ギルドのリーダー。
我々が盗賊ギルドと接触したときには既に獄中におり、メンバーの中では最も新参者だ。
そして獄中で弱った所で、セイルズやスロールに領地を戻してやるからと言われればなびく可能性は十分にある。
やはり疑うならルーゼンだろう。
あれからルーゼンの後を追跡してみた。
するとトイレには行っておらず城の中をただただ練り歩いている様子である。
そして何かをメモしている。
やはり疑わしい。
更に後をつけると城の外へ出て近くの林の中へと入って行った。
するといきなりしゃがむと地面についていたと思われる扉を開き地下へと入っていった。
「何故こんなところに?」
更に追跡する。
危険ではあるとわかってはいたが一体ここが何なのか調べる必要もある。
扉を開けると地下へと続く階段があり、暗くて先はよく見えない。
そのまま明かりを持たずに入る。
一体何処から光が入っているのかは分からないが薄っすらと明るく視界は良くはないが見えはする。
「で、首尾はどうだったの?」
「しっかり調べてきたんでしょ?」
聞き覚えのない声が曲がり角の先から聞こえてくる。
どうやら子供の声である。
「バッチリだ!」
ルーゼンの声も聞こえてくる。
(一体どういうことだ?)
裏切っていることは最早確実だが、その相手が子供とはどういうことだろうか。
何か嫌な予感がする。
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