王国再興物語 〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜

中村幸男

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作戦会議

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「まず、正直な事を言ってくれ。」
 今後の作戦をたてる前に確認しておかなければならない事がある。
「レノン王の容態はどうなんだ?」
 正直すこししか見ていないがあの傷はひどい。
 この世界の医療技術でどうにかなりそうには思えないのだ。
「……正直なところ、芳しくはありません。命に別状はないと思われますが、それは絶対安静でのこと。あのお方は動けるようになれば、直ぐに城へ向かうでしょう。」
 話を聞いたところによると救助に入ったとき、片腕がなく、出血もひどい状況だったにも関わらず、敵を追撃しようとしたらしい。
 レインの前では強がっていたが、助けに入ったときは生きているのが不思議なくらいの傷だったらしい。
「では、ギルドはレノン王の治療と民の救助、護衛を。俺達がつれてきた兵も少しは貸す。上手く使ってくれ。」
「あ、ありがたい!正直人手が足りなかったところだったんだ!」
 ぱっと見ただけでも人がいないのは見て分かる。
 この人数で戦い続けていたのだから、さすがは冒険者と言ったところだろうか。
「そういえば、国家間の争いには加わらないというのはよろしいのですか?」
 セラが疑問を口にする。
 確かにそれは気になっていたところだ。
「本来ならばダメなのだろうが、民が危険にさらされている以上、動かない訳にはいかない。」
「まぁ、そうか。」
 確かに、それならば動く口実にはなる。
「では、作戦だが正面から城に向かっても対策はされているだろう。だから、別の入り口から潜入する方法をとろうと思うんだが、何処か良いところはないだろうか?」
 アナテルにいたのはほんの数日だったから、こういうのは現地の人間に聞いた方が良い。
 あの数日はとても楽しかった。
 戦続きで、疲れきった体には良い休養となった。
 レインやレノン王、ネロ王妃やこの国の民と過ごした日々は忘れられない。
 やはり、逆に皆殺しにするくらいでなければならないな。
「そういえば、囚人は地下牢から逃げ出した時、大きな爆発で空いた横穴から逃げたらしいです。それが使えるのでは?」
「それだな。ならば、城の正面から向かう部隊とそこの横穴から侵入する部隊の2つに分けて行くとしよう。」
「編成は?」
 ゼイルが聞いてくる。
「裏手から侵入する部隊は敵に気づかれたくないから、少数精鋭でいく。俺とセラ、それにゼイル殿、レインは……。」
 そこまで言って考える。
 今、レノン王に何があってもおかしくない状況だ。
 ジェラルドの姿も見えない今、レノン王の身に危険が及ぶかもしれない。
 まぁ、多分城にいるんだろうが、
 正直、レインには家族との時間を大切にしてほしいし、危険なところへは向かわせたくはない。
 レインにはここに残ってもらうことにしよう。
「レインはここに残ってもらおう。」
「いいえ、行くわ。」
 振り替えるとそこには、レインがいた。
「レイン?レノン王は?」
「眠りについたわ。ぐっすりとね。疲れてたんでしょう。」
 レインの顔を見ると、先程まで泣いていた事が伺える。
 ごまかしてきたようだが、わかってしまった。
「それよりもアル。私を1人で安全な場所へ置こうとしたでしょ。」
「あー、いや、あれだ。ジェラルドが何処にいるかわからない今、レノン王の身に何かあったら大変だろ?だから……。」
 するとレインは俺の胸倉をつかんで、揺さぶってくる。
「街中に姿がないんなら城にいるとしか考えられないでしょう!?私も戦えるから!私も連れていきなさい!」
 どうやら作戦会議は聞いていたようだ。
「わ、分かった!分かったから揺さぶらないでくれ!」
 レインは手を離してくれた。
 正直、死ぬかと思った。
 レインは少々力加減が下手らしい。
「分かったんなら良いわ。裏口から回るのは私とアル、セラにゼイルと少しの精鋭部隊ね。マインは正面から主力を率いて行って頂戴。」
「畏まりました。」
 レインは手際よく、指示をだす。
 流石は軍の最高責任者である。
「ギルドへの助力は兵2000で良いかしら?」
「そ、そんなに良いんですか!?」
 ギルドの代表は驚きを隠すつもりもないらしい
 どうやら1000貰えれば大満足レベルだったのだろうか。
「ええ。民を守らなければならないもの。その代わり逃げた囚人の捕縛も兼ねてお願いするわね。」
「はい!お任せください!」
「さて、レイン。すこし話しておきたいことがあるんだが。」
 頃合いを見てセラとのことについて話しておくつもりだったのだ。
 レインは待ってましたと言わんばかりに食いついてきた。
「ええ。作戦もあらかた決まったことだし、丁度良いわね。向こうの部屋で話しましょう。」
 するとレインはセラの方へと視線を向けた。
「あなたもよ。」
 鋭い眼光である。
 正直怖い。
「え!あ、はい!」
 セラも返事をして、ついてくる。

「まぁ、レインには話しておかなくてはと思ってな。」
「そこの女のことね。」
 レインはセラを睨む。
 正直可哀想に見えてくる。
「直接会うのははじめてね。改めて、私はレイン・アナテル。アナテル国の王女よ。」
「あ、私はセラと申します。アルフレッド様の母上である、フレン様の従者で、遺言によりアルフレッド様に付き従っております。」
 セラも自己紹介を終える。
 しかし、レインの視線は怖いままだ。
「本当に、それだけ?」
「……正直に申し上げます。」
 あ、正直に言っちゃうんだ。
 こういうのは男の俺から言うべきだと思ったんだが、手遅れだった。
「アルフレッド様とは互いに愛し合っております!」
 なんかすこし、先に行きすぎてないかな? 
 互いに想いを打ち明けはしたけど、愛し合うって言うとなんか誤解が生まれそうな気がする。
「あ、愛し合う!?それってつまり……。そういうことなの!?アル!?」
「お、落ち着け!まだ、何もしてないから!」
 レインは顔を赤らめて、混乱しているようである。
「そ、それにこれって浮気?浮気で良いのかしら……。いえ、そんなわけないわ。やっぱり私の元から離すんじゃなかったわ。きっと脅されてとかよね。うん。そうに違いないわ。」
「……レイン。」
 レインの肩に手を置き、レインの顔を正面から見つめる。
 そういう誤解は早めにといておかなければ。
 レインは恥ずかしがり、顔を背けているが。
「俺は純粋にセラのことが好きになったんだ。セラも俺の事を純粋に好いてくれている。脅されたとか、そういうんじゃ無い。」
「で、でも!」
 レインはまだ、まだ少しパニックなようだ。
「俺は、お前の事も愛しているぞ。」
「え?」
 レインの顔が真っ赤に染まる。
「あ、ずるい!私まだ、愛してるって言われてないです!」
 なのにさっきは愛し合ってるとか言ってたな。
「まぁ、確かにな。でも、今は勘弁してくれ、レインが混乱してるから。」
 セラはレインの様子を見る。
「まぁ、そうですね。私は後から出てきたみたいな人ですし、それは今は我慢します。」
「ありがとうセラ。」
 するとレインはすこし、正気に戻ったようだ。
「ね、ねぇ。アル?」
「どうした?」
 レインは立ち上がった。
「正妻は?」
 痛い所を突かれる。
 そこの問題については追々考えようと思っていたのだ。
「正妻は私で良いわよね!?元々許嫁なんだし!」
「あ、待ってください!互いに好きあって、結婚の約束までしたのは私です!そこはしっかり話し合って決めましょうよ!」
 やいのやいのと言い合いをする二人。
「そこについては今後しっかり考えよう。後継ぎとか、国際的なことにも絡んでくる重要な話だから。それに……。」
 2人は俺の言葉に耳を傾けている。
「正妻は1人では無くても良いんじゃないか?」 
 取り敢えずこれでおさまってほしい。
 本来はダメだろうが、纏めるにはこれでいいだろう。
 正直、心労が絶えない。
「なるほど。流石はアルフレッド様ですね。」
「うーん。まぁ、アルがそういうならそれでも構わないわ。」
 2人も納得したようだ。
「まぁ、そういうのは後でしっかりと話し合おうか。」
 もう疲れた。
 正直心労か絶えないので、全部セイン辺りに丸投げしたいくらいだ。
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