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悲劇の終わり
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「取り敢えず、遅れてすまない。」
「あ?あぁ。」
自分が遅れたせいで本来の作戦の挟み撃ちが上手く行かなかった。
S級冒険者の名折れだ。
まぁ、結局は勝てたのだが。
「まぁ、あとはレノン王次第だが、みんな無事で本当に良かった。よくあのジェラルドを倒せたな?」
本来ならば敬語を使うべきなのだろうが、元々使いなれていないので、やはりこちらの方がしゃべりやすい。
ジェラルドは既に補縛されている。
「あのデカブツか?弱かったぞ。」
先程からアルフレッドのしゃべり方が気になる。
いや、これは……。
「……あんた。本来のアルフレッドの方だな?」
「お。よくわかったな。」
やはり、当たりだったようだ。
というかよくわかったなと言うが本来の彼とは全然違う。
「あのデカブツと戦ってて、勝てないと思ったのか、奴に軽く傷を浴びせたら俺に丸投げしやがった。あの野郎いつかぶん殴ってやる。」
ぶん殴ると言っても結局は自分の体なのだが、気付いて無いのだろうか。
「まぁ、そういうことならしばらくその状態を楽しんでおくがいいさ。いつ戻るかわからんからな。じゃ。」
なんとなく話してみてわかったが彼は年相応に中々やんちゃな子である。
変なことに巻き込まれる前にとっとと退散するとしよう。
「……レイン殿?」
「……。」
アルフレッドの元を離れレインの元へ向かう。
が、レインは延々と既に息絶えているバイゼルを刺し続ける。
「あ、あのー?」
「……。あ、ゼイルさん。どうかしましたか?」
レインはやっとこちらに気づいたようだ。
「もう既に死んでるぞ?そいつ。」
「ええ。でも気が済まないので。」
まだ刺し続けている。
「いや、向こうへ行ったほうが良いと思うぞ。」
「向こう?」
指を指した方をレインは見る。
そこにはレノン王とセラを治療するマインとその部下達がいた。
「ま、まさか!」
レインは刺していた短剣を離し、レノン王の元へと駆けていく。
「はぁ、やっとか。」
バイゼルの遺体の元へと行き、状態を見る。
苦痛の表情のまま死んでいる。
「……まぁ、相応の報いだな。」
だが、一応弔いはしておく。
「お父様!」
「落ち着いてください!レイン様!」
治療を受けているレノン王の元へ駆け寄るレイン。
レノン王の出血は酷く、もはや生きているのが不思議な位だ。
「ねぇ!マイン!助かるの!?どうなの!?」
「落ち着いて下さい!幸いにも新たな傷は殆どありません。傷口が開いただけですので、なんとかなります。いえ、なんとかします!」
レノン王はというと意識は無いようだ。
するとセラが近寄ってくる。
「申し訳ありません。私が不甲斐ないばかりに。」
セラの傷は致命傷ではなかったので、動くことはできるようだ。
だが、決して浅いものではない。
「ま、あんたは悪くないだろう。あいつらを相手に良くやったと思うぞ?」
取り敢えず励ましておく。
「……気を付けろ。」
レノン王の声が聞こえた。
「お父様!?」
「陛下!?」
レノン王は指をさす。
意識を取り戻したようだ。
その方向には誰も居ないはずなのだが、振り返るとそこには既に倒した筈の双子が立っていた。
「何!?先程までは確かに倒れていた筈!」
しかし、確かに生きてる。
ランは首を鳴らしている。
剣に手をかけ、警戒する。
「はぁ。やっぱりこの感覚好きじゃないな。」
リンは体を伸ばしたりストレッチをしたりしている。
「いや、もう少し死んだふりしといた方が良いと思ったんだけど……。ま、良いか。」
二人は武器を取り、こちらを向く。
アナテルの兵も急ぎ、構える。
「双蛇のゼイルに海軍大将マイン。そして他にも手練ばかりだな。これは……無理だな。」
「じゃ、楽しかったよ。バイバイ。」
二人はそのまま包囲を突破し、大聖堂を後にする。
ゼイルとマインは追撃するが、もう既に追いつけない所まで行っていた。
「くそ!逃したか!」
「でも、今はレノン王に話を聞きましょう。何か知っているようでしたし。」
大聖堂へと戻り、レノン王の元に戻る。
そこには先程の双子を追おうとしているレノン王の姿があった。
「お願いですから、動かないでください!お父様!」
「いや……。後は、奴らだけだ。」
レインが必死に止めようとする。
「陛下。駄目です。」
「……う、うむ。わかった。」
マインが止めに入ると素直に従った。
若干マインの顔が怖かった。
あの二人の間には何かあるのだろうか。
「それで、あの二人は何故生きているのか、分かるんですか?」
「あ、ああ。と言っても良くは分からん。前に戦った時の傷が無かっただけだ。」
確かにトラウマを植えつけるだけの戦いをしたらしい。
今回も彼が万全なら特になんの問題もなく勝てただろう。
「分かりました。とにかく安静にしていてください。安静にしてれば死にません。」
包帯を強く縛るマイン。
「痛ぁ!」
「うるさいです。」
そんな悲鳴を気にせず治療を続けるマイン。
「レノン王ご無事で何よりです。」
すると、アルフレッドが近づいてきた。
「おお、アルフレッドか。」
アルフレッドはどうやら元に戻ったようだ。
それにどうやら先程までの記憶は無いらしい。
いつも通りよ様子だ。
するとアルフレッドは懐から小瓶を取り出した。
「こちらをお飲みください。痛みが引く薬です。」
レノン王はそれを一気に飲み干す。
医療に詳しい人物に持たされたのか。
「セラ。君も飲んでくれ。これが最後の1つだから味わって飲んでくれよ。」
セラにも笑いながら小瓶を渡す。
「はい。分かりました。」
セラもそれを受け取り飲み干す。
「傷が治るわけでは無いですが、痛みが少しは引くはずなので、少しは楽になるでしょう。と、俺の仲間が言ってました。」
やはり、彼の仲間のものだったようだ。
「それと、セラ。後で話しがある。」
「は、はい。」
そんなやり取りをレインが少し怖い目で見ている。
「アルフレッド様。少し報告が。」
「おお、ゼイル殿。来てくれてありがとう。聞かせてくれ。」
やはり先程の記憶はないようだ。
念のため、それも後で伝えることにしよう。
「ええ、まずは帝国の増援が接近中です。」
海より大量の艦隊が迫ってきていることを伝えた。
まだ、到着するまでには時間があるだろうが、先程単眼鏡を覗くと、艦影が見えた。
あの形からして帝国のものであることは明らかである。
「なるほどな……。つまりは。」
「はい。」
つまりは次の戦場は。
「次は艦隊決戦。海戦か。」
「あ?あぁ。」
自分が遅れたせいで本来の作戦の挟み撃ちが上手く行かなかった。
S級冒険者の名折れだ。
まぁ、結局は勝てたのだが。
「まぁ、あとはレノン王次第だが、みんな無事で本当に良かった。よくあのジェラルドを倒せたな?」
本来ならば敬語を使うべきなのだろうが、元々使いなれていないので、やはりこちらの方がしゃべりやすい。
ジェラルドは既に補縛されている。
「あのデカブツか?弱かったぞ。」
先程からアルフレッドのしゃべり方が気になる。
いや、これは……。
「……あんた。本来のアルフレッドの方だな?」
「お。よくわかったな。」
やはり、当たりだったようだ。
というかよくわかったなと言うが本来の彼とは全然違う。
「あのデカブツと戦ってて、勝てないと思ったのか、奴に軽く傷を浴びせたら俺に丸投げしやがった。あの野郎いつかぶん殴ってやる。」
ぶん殴ると言っても結局は自分の体なのだが、気付いて無いのだろうか。
「まぁ、そういうことならしばらくその状態を楽しんでおくがいいさ。いつ戻るかわからんからな。じゃ。」
なんとなく話してみてわかったが彼は年相応に中々やんちゃな子である。
変なことに巻き込まれる前にとっとと退散するとしよう。
「……レイン殿?」
「……。」
アルフレッドの元を離れレインの元へ向かう。
が、レインは延々と既に息絶えているバイゼルを刺し続ける。
「あ、あのー?」
「……。あ、ゼイルさん。どうかしましたか?」
レインはやっとこちらに気づいたようだ。
「もう既に死んでるぞ?そいつ。」
「ええ。でも気が済まないので。」
まだ刺し続けている。
「いや、向こうへ行ったほうが良いと思うぞ。」
「向こう?」
指を指した方をレインは見る。
そこにはレノン王とセラを治療するマインとその部下達がいた。
「ま、まさか!」
レインは刺していた短剣を離し、レノン王の元へと駆けていく。
「はぁ、やっとか。」
バイゼルの遺体の元へと行き、状態を見る。
苦痛の表情のまま死んでいる。
「……まぁ、相応の報いだな。」
だが、一応弔いはしておく。
「お父様!」
「落ち着いてください!レイン様!」
治療を受けているレノン王の元へ駆け寄るレイン。
レノン王の出血は酷く、もはや生きているのが不思議な位だ。
「ねぇ!マイン!助かるの!?どうなの!?」
「落ち着いて下さい!幸いにも新たな傷は殆どありません。傷口が開いただけですので、なんとかなります。いえ、なんとかします!」
レノン王はというと意識は無いようだ。
するとセラが近寄ってくる。
「申し訳ありません。私が不甲斐ないばかりに。」
セラの傷は致命傷ではなかったので、動くことはできるようだ。
だが、決して浅いものではない。
「ま、あんたは悪くないだろう。あいつらを相手に良くやったと思うぞ?」
取り敢えず励ましておく。
「……気を付けろ。」
レノン王の声が聞こえた。
「お父様!?」
「陛下!?」
レノン王は指をさす。
意識を取り戻したようだ。
その方向には誰も居ないはずなのだが、振り返るとそこには既に倒した筈の双子が立っていた。
「何!?先程までは確かに倒れていた筈!」
しかし、確かに生きてる。
ランは首を鳴らしている。
剣に手をかけ、警戒する。
「はぁ。やっぱりこの感覚好きじゃないな。」
リンは体を伸ばしたりストレッチをしたりしている。
「いや、もう少し死んだふりしといた方が良いと思ったんだけど……。ま、良いか。」
二人は武器を取り、こちらを向く。
アナテルの兵も急ぎ、構える。
「双蛇のゼイルに海軍大将マイン。そして他にも手練ばかりだな。これは……無理だな。」
「じゃ、楽しかったよ。バイバイ。」
二人はそのまま包囲を突破し、大聖堂を後にする。
ゼイルとマインは追撃するが、もう既に追いつけない所まで行っていた。
「くそ!逃したか!」
「でも、今はレノン王に話を聞きましょう。何か知っているようでしたし。」
大聖堂へと戻り、レノン王の元に戻る。
そこには先程の双子を追おうとしているレノン王の姿があった。
「お願いですから、動かないでください!お父様!」
「いや……。後は、奴らだけだ。」
レインが必死に止めようとする。
「陛下。駄目です。」
「……う、うむ。わかった。」
マインが止めに入ると素直に従った。
若干マインの顔が怖かった。
あの二人の間には何かあるのだろうか。
「それで、あの二人は何故生きているのか、分かるんですか?」
「あ、ああ。と言っても良くは分からん。前に戦った時の傷が無かっただけだ。」
確かにトラウマを植えつけるだけの戦いをしたらしい。
今回も彼が万全なら特になんの問題もなく勝てただろう。
「分かりました。とにかく安静にしていてください。安静にしてれば死にません。」
包帯を強く縛るマイン。
「痛ぁ!」
「うるさいです。」
そんな悲鳴を気にせず治療を続けるマイン。
「レノン王ご無事で何よりです。」
すると、アルフレッドが近づいてきた。
「おお、アルフレッドか。」
アルフレッドはどうやら元に戻ったようだ。
それにどうやら先程までの記憶は無いらしい。
いつも通りよ様子だ。
するとアルフレッドは懐から小瓶を取り出した。
「こちらをお飲みください。痛みが引く薬です。」
レノン王はそれを一気に飲み干す。
医療に詳しい人物に持たされたのか。
「セラ。君も飲んでくれ。これが最後の1つだから味わって飲んでくれよ。」
セラにも笑いながら小瓶を渡す。
「はい。分かりました。」
セラもそれを受け取り飲み干す。
「傷が治るわけでは無いですが、痛みが少しは引くはずなので、少しは楽になるでしょう。と、俺の仲間が言ってました。」
やはり、彼の仲間のものだったようだ。
「それと、セラ。後で話しがある。」
「は、はい。」
そんなやり取りをレインが少し怖い目で見ている。
「アルフレッド様。少し報告が。」
「おお、ゼイル殿。来てくれてありがとう。聞かせてくれ。」
やはり先程の記憶はないようだ。
念のため、それも後で伝えることにしよう。
「ええ、まずは帝国の増援が接近中です。」
海より大量の艦隊が迫ってきていることを伝えた。
まだ、到着するまでには時間があるだろうが、先程単眼鏡を覗くと、艦影が見えた。
あの形からして帝国のものであることは明らかである。
「なるほどな……。つまりは。」
「はい。」
つまりは次の戦場は。
「次は艦隊決戦。海戦か。」
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