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軍師代理最後の策
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「何とか持ちましたね。佐切様の言う通り、敵の動きが非常に悪くなりました。日が暮れるまで散発的に攻撃を仕掛けてきてましたが、既に敵は引いています」
「これで、一日持たせられたわね。佐切達が来るまでの時間稼ぎになったわ」
「陛下! フィアナ殿! 今戻りましたぞ!」
「各門、指示通りに旗だけ立てて軍は全員退いた。今は全軍地下の隠し通路に向かっている。この先の策はまだ聞いてないが……まさかこのまま逃げるつもりではあるまい?」
ザイルとジョバンニが入ってきて、状況を報告する。
そして、ジョバンニはフィアナの指示が、撤退する為の指示ではない事を既に見抜いていた。
「はい。ジョバンニさんは隠し通路見ましたか?」
「いや、だが話には聞いている。元々は隠し通路では無く、王家の隠し財産の貯蔵の為の地下だと聞いている。途中から情勢の変化で脱出通路にしたとかなんとか……結局完成前に王家が拠点を移したから使われることはなかったと聞いたな」
「その通りです。ではその規模も……」
「すまん遅れた! 今戻った! 魔王派のリーダーが帰ったぞ!」
「魔族は隠し通路を通るのに難がある者も居ましたが……様々な手を尽くしたので何とか通れそうです」
すると、キサラとサナンが帰って来る。
話の腰を折られたが、フィアナはもう入って来る者は居ないことを理解していたので策の説明を続けた。
「皆さん。こちらをご覧下さい。隠し通路の図とファレスの地図を重ねた物です」
フィアナは地図を広げた。
それに、ザイルとカレンは驚く。
「こ、これは……ファレスに長い事いるが、こんなに広いとは思わなかったな……」
「そうね。私も図ですら見たことは無かったわ……」
隠し通路はまず円形に第二壁まで広がっていた。
所々から街の中に出られように設計されていた。
そしてそこから、まっすぐ南に通路が街の外までつながっている。
「王家は財の限りを尽くして、ここを作り上げました。そして、その大きさをそのまま脱出路に仕立て上げたのです。地下には柱がいくつも等間隔に置かれており、安全に作られています」
「柱……つまりそれが無いと崩落する可能性があるということですか?」
「はい。キサラさんのおっしゃる通りです」
そこまで言うと、ジョバンニは策を理解した。
そして、キサラも理解していたようであった。
「ふむ……成る程。読めたぞ。とんでもない事を考えたな」
「はい。上手くいくとは限りませんが、この策で敵の総大将を討ちます。それしか勝つ術はありません」
「……策の概要は知らんが、こちらの損害は五千程度で、向こうは五万近く削れたな。最後のスキルを使った敵の総攻撃のおかげでかなり削れた。もし当初のまま攻められ続けたら、俺達も疲弊して損害が大きくなって向こうは損害が少なかった。偶然かどうかは知らんが、俺達の最後の策、うまく行きそうだな。……残り二回のうち一回、ここで使うべきか……」
「サナンさん? 最後なんて……」
「いいや、何でもないさ」
サナンが何かしら隠している事は、それなりに付き合いの長いフィアナは分かっていた。
しかし、サナンが隠したい事を無理に聞き出すのも悪いと思い、聞き出せずにいた。
(……大丈夫。病み上がりっていうのは心配だけど、サナンさんなら大丈夫なはず)
フィアナは意を決し、号令をかける。
「これより最後の策を実施の為の準備をします!これがファレス攻防戦最後の戦です! 各々、最善を尽くして下さい!」
「これで、一日持たせられたわね。佐切達が来るまでの時間稼ぎになったわ」
「陛下! フィアナ殿! 今戻りましたぞ!」
「各門、指示通りに旗だけ立てて軍は全員退いた。今は全軍地下の隠し通路に向かっている。この先の策はまだ聞いてないが……まさかこのまま逃げるつもりではあるまい?」
ザイルとジョバンニが入ってきて、状況を報告する。
そして、ジョバンニはフィアナの指示が、撤退する為の指示ではない事を既に見抜いていた。
「はい。ジョバンニさんは隠し通路見ましたか?」
「いや、だが話には聞いている。元々は隠し通路では無く、王家の隠し財産の貯蔵の為の地下だと聞いている。途中から情勢の変化で脱出通路にしたとかなんとか……結局完成前に王家が拠点を移したから使われることはなかったと聞いたな」
「その通りです。ではその規模も……」
「すまん遅れた! 今戻った! 魔王派のリーダーが帰ったぞ!」
「魔族は隠し通路を通るのに難がある者も居ましたが……様々な手を尽くしたので何とか通れそうです」
すると、キサラとサナンが帰って来る。
話の腰を折られたが、フィアナはもう入って来る者は居ないことを理解していたので策の説明を続けた。
「皆さん。こちらをご覧下さい。隠し通路の図とファレスの地図を重ねた物です」
フィアナは地図を広げた。
それに、ザイルとカレンは驚く。
「こ、これは……ファレスに長い事いるが、こんなに広いとは思わなかったな……」
「そうね。私も図ですら見たことは無かったわ……」
隠し通路はまず円形に第二壁まで広がっていた。
所々から街の中に出られように設計されていた。
そしてそこから、まっすぐ南に通路が街の外までつながっている。
「王家は財の限りを尽くして、ここを作り上げました。そして、その大きさをそのまま脱出路に仕立て上げたのです。地下には柱がいくつも等間隔に置かれており、安全に作られています」
「柱……つまりそれが無いと崩落する可能性があるということですか?」
「はい。キサラさんのおっしゃる通りです」
そこまで言うと、ジョバンニは策を理解した。
そして、キサラも理解していたようであった。
「ふむ……成る程。読めたぞ。とんでもない事を考えたな」
「はい。上手くいくとは限りませんが、この策で敵の総大将を討ちます。それしか勝つ術はありません」
「……策の概要は知らんが、こちらの損害は五千程度で、向こうは五万近く削れたな。最後のスキルを使った敵の総攻撃のおかげでかなり削れた。もし当初のまま攻められ続けたら、俺達も疲弊して損害が大きくなって向こうは損害が少なかった。偶然かどうかは知らんが、俺達の最後の策、うまく行きそうだな。……残り二回のうち一回、ここで使うべきか……」
「サナンさん? 最後なんて……」
「いいや、何でもないさ」
サナンが何かしら隠している事は、それなりに付き合いの長いフィアナは分かっていた。
しかし、サナンが隠したい事を無理に聞き出すのも悪いと思い、聞き出せずにいた。
(……大丈夫。病み上がりっていうのは心配だけど、サナンさんなら大丈夫なはず)
フィアナは意を決し、号令をかける。
「これより最後の策を実施の為の準備をします!これがファレス攻防戦最後の戦です! 各々、最善を尽くして下さい!」
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