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陣頭指揮
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「敵は浮足立っているぞ! 今こそ好機! このノージリア国女王、カレンについてきなさい!」
「くっ……陣形を立て直せ! 敵が疲弊しきっているのは変わらない! 細長い道を通って来たことで敵の陣形は蛇のように長くなっている! 時間を稼げ! 周囲の味方が包囲するまで耐えるのだ!」
両軍、総大将同士が指揮を執る。
ガイアは自らの野望に動かされ、その才能が曇り、この状況を生み出していたとは言え、その指揮能力は優れている。
ドルーガや佐切、フィアナ程ではないが、その家格ゆえにそれ相応の教育は施されてきた。
最も、基本的な考え方はスキルに物を言わせた物量作戦が主ではあるが。
対するカレンも国王になるべき存在として、ありとあらゆる教育を受けてきていた。
カレンはスキルに頼らず戦うすべを見出していた。
この二人の指揮能力の差は殆ど無い。
が、カレンには優れた軍師がついていた。
(今だ。第二策を)
「今よ!」
カレンは佐切の指示で合図を出す。
すると、諸王国連合軍の上から空を飛ぶ影が現れる。
「投下!」
カレンの指示で、その影が石を落とす。
「な……あれはハーピーか!」
「ハーピー隊による空爆……空爆が何かよく分からないけど、効果は抜群ね! 敵陣は乱れたわ! 突っ込め!」
ハーピー隊による空爆。
佐切から受け取った言葉をそのまま使用していたカレンにはその意味は分からなかった。
実際、爆発しているわけではないのでこの言葉は間違っているが、効果はあった。
「ハ、ハーピーだ!」
「くそ! 空にも注意しなければ……」
ハーピーは鳥のような姿で、人間の顔を持ち、鋭い爪と嘴で攻撃してくる。
魔王軍との戦争でもその脅威は知らしめられており、人間は非常に苦戦を強いられていた。
魔族ではなく、自我を失った魔物との戦闘であれば、弓矢で対応が出来る。
が、戦となれば話は別である。
正面から攻めてくる敵と空から攻めてくる敵。
二つに対処しなければならない。
「くそ……奴等降りて来ねぇ!」
通常、ハーピーの対処は弓と降りてきた時に斬りつけるというものがある。
しかし、今回はハーピーは降りて来ず、上空から一方的に石を落としてくる。
弓も軍に阻まれてまともに放つことができない。
「怯むな! 落ちて来る石は然程大きくない! 兜をしっかりと被り直せ! 頭部さえ守れば致命傷にはなりえない!」
しかし、ガイアも落ちて来る石を見て気付いた。
ハーピーは大柄ではなく、小柄。
持つことの出来る石も大きくは無い。
小さい訳でもないが、そこまで大きい訳でも無かったのだ。
「く……構いません! ハーピー隊は攻撃を続けて!」
「親衛隊前へ! 敵を押し返し、その間に陣を立て直す!」
ガイアの下に残ったのは一万程。
諸王国連合軍は四万五千いるが、今敵とぶつかっているのは五千程である。
ガイアの親衛隊が前へ出て敵を押し返す。
「く……私に続け! 敵を突破します!」
「怯むな! 時間さえ稼げば仲間が来てくれる! 耐えるのだ!」
カレンが陣頭指揮を取り、士気をあげる。
ガイアもここが正念場だと、全力でその腕を振るう。
そして、その様子を遠くから眺める男がいる。
「よしよし……順調だな……前線にこそ出てないが、フィアナの指揮も確実な物だ」
「さて、佐切殿。そろそろかな?」
「ええ。ガルン王。ドワーフ軍、その真価を発揮するときです。そして……」
佐切はカルラを見た。
その後ろには、エルフの軍団があった。
「エルフ軍、故郷を守る戦いですよ。エルフ族首長殿」
「あぁ。やっと本領発揮だね。やってみせるさ」
「くっ……陣形を立て直せ! 敵が疲弊しきっているのは変わらない! 細長い道を通って来たことで敵の陣形は蛇のように長くなっている! 時間を稼げ! 周囲の味方が包囲するまで耐えるのだ!」
両軍、総大将同士が指揮を執る。
ガイアは自らの野望に動かされ、その才能が曇り、この状況を生み出していたとは言え、その指揮能力は優れている。
ドルーガや佐切、フィアナ程ではないが、その家格ゆえにそれ相応の教育は施されてきた。
最も、基本的な考え方はスキルに物を言わせた物量作戦が主ではあるが。
対するカレンも国王になるべき存在として、ありとあらゆる教育を受けてきていた。
カレンはスキルに頼らず戦うすべを見出していた。
この二人の指揮能力の差は殆ど無い。
が、カレンには優れた軍師がついていた。
(今だ。第二策を)
「今よ!」
カレンは佐切の指示で合図を出す。
すると、諸王国連合軍の上から空を飛ぶ影が現れる。
「投下!」
カレンの指示で、その影が石を落とす。
「な……あれはハーピーか!」
「ハーピー隊による空爆……空爆が何かよく分からないけど、効果は抜群ね! 敵陣は乱れたわ! 突っ込め!」
ハーピー隊による空爆。
佐切から受け取った言葉をそのまま使用していたカレンにはその意味は分からなかった。
実際、爆発しているわけではないのでこの言葉は間違っているが、効果はあった。
「ハ、ハーピーだ!」
「くそ! 空にも注意しなければ……」
ハーピーは鳥のような姿で、人間の顔を持ち、鋭い爪と嘴で攻撃してくる。
魔王軍との戦争でもその脅威は知らしめられており、人間は非常に苦戦を強いられていた。
魔族ではなく、自我を失った魔物との戦闘であれば、弓矢で対応が出来る。
が、戦となれば話は別である。
正面から攻めてくる敵と空から攻めてくる敵。
二つに対処しなければならない。
「くそ……奴等降りて来ねぇ!」
通常、ハーピーの対処は弓と降りてきた時に斬りつけるというものがある。
しかし、今回はハーピーは降りて来ず、上空から一方的に石を落としてくる。
弓も軍に阻まれてまともに放つことができない。
「怯むな! 落ちて来る石は然程大きくない! 兜をしっかりと被り直せ! 頭部さえ守れば致命傷にはなりえない!」
しかし、ガイアも落ちて来る石を見て気付いた。
ハーピーは大柄ではなく、小柄。
持つことの出来る石も大きくは無い。
小さい訳でもないが、そこまで大きい訳でも無かったのだ。
「く……構いません! ハーピー隊は攻撃を続けて!」
「親衛隊前へ! 敵を押し返し、その間に陣を立て直す!」
ガイアの下に残ったのは一万程。
諸王国連合軍は四万五千いるが、今敵とぶつかっているのは五千程である。
ガイアの親衛隊が前へ出て敵を押し返す。
「く……私に続け! 敵を突破します!」
「怯むな! 時間さえ稼げば仲間が来てくれる! 耐えるのだ!」
カレンが陣頭指揮を取り、士気をあげる。
ガイアもここが正念場だと、全力でその腕を振るう。
そして、その様子を遠くから眺める男がいる。
「よしよし……順調だな……前線にこそ出てないが、フィアナの指揮も確実な物だ」
「さて、佐切殿。そろそろかな?」
「ええ。ガルン王。ドワーフ軍、その真価を発揮するときです。そして……」
佐切はカルラを見た。
その後ろには、エルフの軍団があった。
「エルフ軍、故郷を守る戦いですよ。エルフ族首長殿」
「あぁ。やっと本領発揮だね。やってみせるさ」
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