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ガイアの最後
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「ドワーフ軍! 俺に続け! ここが正念場だ!」
「よし、エルフ軍、放て! エルフの弓の恐ろしさを味あわせてやりな!」
エルフの弓が放たれ、ドワーフ軍が突撃する。
ガルンが陣頭に立ち、カルラも自ら弓を引いてエルフを指揮する。
風切り音が轟き、一矢乱れぬ矢の絨毯が空を飛ぶ。
「あ、あぁ……あれこそがエルフの弓! 何人たりとも真似の出来ぬ、芸術とも言える弓の技!」
「くそ! 盾を掲げろ!」
ガイアの指示で、皆が盾を掲げる。
そして、カレンはその好機を見逃さない。
「今です! 矢を放て!」
山なりに飛んでくるエルフの矢を警戒していたガイア達に、直接まばらに矢を放つ。
「くそっ! 小癪な! 陣形を組め! 敵陣に向けて盾を構え、その者の上を守る者を……」
「だ、駄目です! もう来ます!」
「ガイア様!」
その声が響いた瞬間、矢の雨が降り注ぐ。
ガイアは何者かに覆いかぶされる。
「ぐっ……」
「腕が!」
「かはっ……」
盾を貫通し、腕まで矢が届く者。
盾を貫通し、そのまま体を貫かれる者。
もはや盾は意味をなしていなかった。
それは、ガイアも一緒であった。
「っ……当たっていない?」
「ガイア……様……」
すると、先程まで戦意を喪失していた老将が盾を背負い、ガイアに覆いかぶさり、自らの体を持ってガイアを守り抜いたのだ。
「お、おい!」
「ご、ご無事で……」
そして、老将はそのまま意識を失う。
矢は老将の体を貫き、ガイアの目の前に矢尻があった。
「く……」
エルフの矢によって死んだ老将を静かに寝かせ、ガイアは覚悟を決める。
これは、負け戦だと。
「動ける者は陣を整えよ! ドワーフの突撃が来るぞ! 我々は完全に包囲されている! 逃げ場は無い! 降伏した所で生き残る希望もない! 戦え! 戦って活路を見いだせ!」
ガイアは自ら剣を取り、落ちていた盾を構える。
「我に続け! 敵が最も薄い両翼が狙い目だ! 最も味方に近い西側へ抜けるぞ!」
「ガイア様! ドワーフ軍がすぐそこまで!」
「く……」
後方よりドワーフ軍の力強い足音が近付く。
(早すぎる! 陣を立てるのが間に合わん!)
しかし、ガイアの軍もただではやられない。
「盾を構えよ!」
僅かばかりの兵が、独自の判断で連携し陣形を組んで、ドワーフ軍に対して盾を構える。
「ガイア様! ここは我々が殿を務めます!」
「来るぞ!」
ドワーフ軍とガイアの殿の部隊がぶつかる。
しかし、わずかにその勢いを弱めるだけであり、簡単に陣形は崩れる。
「くっ……このぉ!」
「混戦に持ち込め!」
「ガイア様をお逃がしせよ!」
ガイア軍は混戦に持ち込むことで、ドワーフ軍の勢いを削ぐ。
陣形を整えての突撃を得意とするドワーフ軍は、ガイアまで手が届かなかった。
「く……行くぞ! 動ける者はついてこい!」
ガイアは自らを助けようと奮戦する仲間を信頼し、僅かな動ける者で戦い続ける。
「も、もう……無理だ……」
「来い! 諦めるな! 立て! 総員、西側へ向かえ! 仲間がすぐそこまで来ているぞ!」
道中、仲間を助けつつ、西へ向かえと叫ぶ。
混戦になっていた戦場で、その姿は注目を浴びることとなる。
「そこに総大将がいるぞ!」
「首を取れ!」
「ガイア様を守れ!」
「絶対に逃がすのだ!」
ガイアが注目を浴び、こちら側の軍がガイアへ殺到する。
そのおかげか、パラパラと逃げ出す敵兵が出てくる。
(そろそろ、かな)
ガイアへと狙いを定めて、矢をつがえる。
「俺はここだ! 総大将、ガイア・ドルグフォレストを討ち取ってみせよ!」
そして、城壁の上から狙いを定めて矢を放つ。
「ぐっ……」
「ガイア様!」
放たれた矢は、真っすぐにガイアの首に刺さる。
ガイアは喉を押さえ、その場に倒れた。
「……お前の奮戦、評価に値する。お前の家臣、捕虜の命は取らないでおいておこう」
俺は城壁の上から声を上げる。
「敵総大将は討ち取った! 我々の勝利だ! ザルノール軍の将兵よ! 大人しく武器を捨てれば命は取らん! 抵抗すれば、ドワーフの鋭い斧がお前達の体を切り裂き、たとえ逃げてもエルフの矢がどこまでもお前達を追うだろう! 降伏せよ! お前達に勝ち目はもうない! 全軍、抵抗しない者は丁重にもてなせ! ガイアの奮戦を称えて、その将兵、捕虜には最大限の待遇を約束する!」
そう言うと、武器を捨てる者が現れ始める。
遠くにいた敵はそのままファレスの外へ逃げる者もいた。
なんにせよ、敵に戦う力、意思はもうなかった。
「決着はついたな……さて……フィアナに会いに行こうかな」
「うん。ドヴェルグからのお土産もある」
「私も、ジョバンニにお土産あげよっと」
俺達はロームの『神速』で一番ガイアに近い城壁の上へ移動した。
ロームとレナを護衛として、総大将を討ち取るため、準備をしていたのだ。
なにはともあれ、勝った。
早くフィアナに……皆に会いに行こう。
「よし、エルフ軍、放て! エルフの弓の恐ろしさを味あわせてやりな!」
エルフの弓が放たれ、ドワーフ軍が突撃する。
ガルンが陣頭に立ち、カルラも自ら弓を引いてエルフを指揮する。
風切り音が轟き、一矢乱れぬ矢の絨毯が空を飛ぶ。
「あ、あぁ……あれこそがエルフの弓! 何人たりとも真似の出来ぬ、芸術とも言える弓の技!」
「くそ! 盾を掲げろ!」
ガイアの指示で、皆が盾を掲げる。
そして、カレンはその好機を見逃さない。
「今です! 矢を放て!」
山なりに飛んでくるエルフの矢を警戒していたガイア達に、直接まばらに矢を放つ。
「くそっ! 小癪な! 陣形を組め! 敵陣に向けて盾を構え、その者の上を守る者を……」
「だ、駄目です! もう来ます!」
「ガイア様!」
その声が響いた瞬間、矢の雨が降り注ぐ。
ガイアは何者かに覆いかぶされる。
「ぐっ……」
「腕が!」
「かはっ……」
盾を貫通し、腕まで矢が届く者。
盾を貫通し、そのまま体を貫かれる者。
もはや盾は意味をなしていなかった。
それは、ガイアも一緒であった。
「っ……当たっていない?」
「ガイア……様……」
すると、先程まで戦意を喪失していた老将が盾を背負い、ガイアに覆いかぶさり、自らの体を持ってガイアを守り抜いたのだ。
「お、おい!」
「ご、ご無事で……」
そして、老将はそのまま意識を失う。
矢は老将の体を貫き、ガイアの目の前に矢尻があった。
「く……」
エルフの矢によって死んだ老将を静かに寝かせ、ガイアは覚悟を決める。
これは、負け戦だと。
「動ける者は陣を整えよ! ドワーフの突撃が来るぞ! 我々は完全に包囲されている! 逃げ場は無い! 降伏した所で生き残る希望もない! 戦え! 戦って活路を見いだせ!」
ガイアは自ら剣を取り、落ちていた盾を構える。
「我に続け! 敵が最も薄い両翼が狙い目だ! 最も味方に近い西側へ抜けるぞ!」
「ガイア様! ドワーフ軍がすぐそこまで!」
「く……」
後方よりドワーフ軍の力強い足音が近付く。
(早すぎる! 陣を立てるのが間に合わん!)
しかし、ガイアの軍もただではやられない。
「盾を構えよ!」
僅かばかりの兵が、独自の判断で連携し陣形を組んで、ドワーフ軍に対して盾を構える。
「ガイア様! ここは我々が殿を務めます!」
「来るぞ!」
ドワーフ軍とガイアの殿の部隊がぶつかる。
しかし、わずかにその勢いを弱めるだけであり、簡単に陣形は崩れる。
「くっ……このぉ!」
「混戦に持ち込め!」
「ガイア様をお逃がしせよ!」
ガイア軍は混戦に持ち込むことで、ドワーフ軍の勢いを削ぐ。
陣形を整えての突撃を得意とするドワーフ軍は、ガイアまで手が届かなかった。
「く……行くぞ! 動ける者はついてこい!」
ガイアは自らを助けようと奮戦する仲間を信頼し、僅かな動ける者で戦い続ける。
「も、もう……無理だ……」
「来い! 諦めるな! 立て! 総員、西側へ向かえ! 仲間がすぐそこまで来ているぞ!」
道中、仲間を助けつつ、西へ向かえと叫ぶ。
混戦になっていた戦場で、その姿は注目を浴びることとなる。
「そこに総大将がいるぞ!」
「首を取れ!」
「ガイア様を守れ!」
「絶対に逃がすのだ!」
ガイアが注目を浴び、こちら側の軍がガイアへ殺到する。
そのおかげか、パラパラと逃げ出す敵兵が出てくる。
(そろそろ、かな)
ガイアへと狙いを定めて、矢をつがえる。
「俺はここだ! 総大将、ガイア・ドルグフォレストを討ち取ってみせよ!」
そして、城壁の上から狙いを定めて矢を放つ。
「ぐっ……」
「ガイア様!」
放たれた矢は、真っすぐにガイアの首に刺さる。
ガイアは喉を押さえ、その場に倒れた。
「……お前の奮戦、評価に値する。お前の家臣、捕虜の命は取らないでおいておこう」
俺は城壁の上から声を上げる。
「敵総大将は討ち取った! 我々の勝利だ! ザルノール軍の将兵よ! 大人しく武器を捨てれば命は取らん! 抵抗すれば、ドワーフの鋭い斧がお前達の体を切り裂き、たとえ逃げてもエルフの矢がどこまでもお前達を追うだろう! 降伏せよ! お前達に勝ち目はもうない! 全軍、抵抗しない者は丁重にもてなせ! ガイアの奮戦を称えて、その将兵、捕虜には最大限の待遇を約束する!」
そう言うと、武器を捨てる者が現れ始める。
遠くにいた敵はそのままファレスの外へ逃げる者もいた。
なんにせよ、敵に戦う力、意思はもうなかった。
「決着はついたな……さて……フィアナに会いに行こうかな」
「うん。ドヴェルグからのお土産もある」
「私も、ジョバンニにお土産あげよっと」
俺達はロームの『神速』で一番ガイアに近い城壁の上へ移動した。
ロームとレナを護衛として、総大将を討ち取るため、準備をしていたのだ。
なにはともあれ、勝った。
早くフィアナに……皆に会いに行こう。
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