歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

中村幸男

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二人の少女

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「……ん」
 
 アジトで次の策の準備の為、この世界の地図とにらめっこしていた所、例の銀髪の双子の妹、レナが朝食のサンドイッチを手渡してくる。
 それを受け取り、感謝を述べる。
 
「あぁ、ありがとう。レナ」
「……」
 
 しかし、レナは何も反応せず、そのままその場を去る。
 歳は自分よりも少し幼い位。
 この世界の一年の日数や一日の時間にどれ程差異があるのかはっきりしないが、元の世界の感覚で言えば中学生か高校生程であろうと推測した。
 
「……俺、嫌われるような事した?」
「妹がすいません……」
 
 すると、今度はレナの姉であるフィアナが水を差し出してくる。
 
「初対面の人にはいつもああなんです。慣れれば普通に話してくれるんですけど……」
「まぁ、完全に余所者だしな……お水ありがとう。頂くよ」
 
 笑いながらそう言うと、フィアナは少し頬を赤らめる。
 
「い、いえ! 良いんです! ごゆっくり!」
 
 そのまま、フィアナはその場を去る。
 二人は確かに似ているが、よくよく見てみると、違いが分かる。
 その性格のせいか、少し大人びているのが姉のフィアナ。
 顔に何処かあどけなさが残っているのは妹のレナである。
 正直、ぱっと見では見分けがつかないが、そこは髪型のおかげで助かっている。
 後ろで一つにまとめ、ポニーテールの形になっているのが姉のフィアナ。
 そのままにしているのがレナである。
 と、改めて確認しなければならないほど似ているので、大変気を使っていたのだった。
 すると、サナンが近付いてくる。
 
「軍師殿、策の準備はどうですかな?」
「サナン……その呼び方はどうにかならないのか?」
 
 アジトに初めてきた日から数日が経っていたが、気がつけば皆から軍師と呼ばれるようになっていた。
 悪い気分では無いが、そこまでの苦難をまだ乗り越えていない。
 歴史上、数多いる軍師に失礼というものである。
 
「ま、そう言うなよ。実際、俺達の中で最も賢いのはあんただ。頼らせてもらうぞ」
「……そういう事なら、こちらも頼らせてもらおうかな」
 
 頼られるのならばと、こちらからも質問をする。
 
「あの二人なんだが……俺、嫌われるようなことしたか?」
「レナはともかく……フィアナは嫌っては居ないんじゃないか?」
 
 部屋の奥で何やら作業をしているフィアナを見る。
 目が合うとフィアナはすぐさま目をそらす。
 
「……嫌われてるかどうかは知らんが、避けられている気がしてな」
「……多分だが、何処か先代と似た雰囲気を感じているのかもな」
 
 サナンはフィアナとレナを見つつ続ける。
 
「実際、俺も何処か似ていると感じているし、ここにいる他の誰よりも先代に恩を感じている二人なら、複雑な感情を抱いてもおかしくはないと思うぞ? レナは誰に対してもあぁだから気にするな。まぁ、他の奴に比べれば大分マシだが」
「そうなのか?」
「あぁ。さっき飯をもらっただろ? 俺の時は見向きもされなかった。まぁ、つまりはお前が嫌われていることなんて絶対にあり得ない。つーか羨ましい位だ。あんな美人姉妹に気にかけられてな」
「……よく分からんな」
 
 もう一度気を取り直して地図を見直す。
 
「……まぁ、覚えておくよ。今度の策には皆の協力が必要だからな」
「お、ということは策がちゃんと決まったんだな?」
 
 頷き、肯定する。
 
「あぁ。決行は四日後だ。それまでに、準備を整えておいてくれ。王都を脱出するぞ」
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