歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

中村幸男

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情報屋

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「あんたが闇商人のハンザか?」
「……何の用だい?」
 
 フィアナと二人、娼館の路地裏を訪れる。
 娼館の裏路地、そこにはフードをかぶった男が座っていた。
 フードからチラリとやや長い耳が見える。
 エルフというには、少し短い。
 情報にあった通り、ハーフエルフである。
 人気は殆ど無い。
 念の為あたりを気にしてから話しかける。
 
「カルラに要件がある」
「……」
 
 すると、ハンザは立ち上がる。
 
「……こっちだ。ついて来い」
 
 すると、ハンザはそのまま娼館の裏口に入る。
 フィアナと顔を見合わせ、頷き合い、一緒に入って行く。
 どうやら物置に繋がっていたようで、荷物が高く積まれた小さな部屋に通される。
 
「……少し待っていろ」
 
 ハンザはそう言うと、反対側の扉を開け、そのまま娼館の中へ入って行く。
 
「……フィアナ。君の考えは正直、さすがだと思う。そして、今回の駆け引きは任せた。随時手助けもするが、今回は君に頼らせてもらうよ」
「はい。お任せください。あなたから頂いた知識、最大限に活用してみせます!」
 
 すると、すぐにハンザが戻って来る。
 
「あんたら、初めての客だな? なら、ここで暫く待ってろ。そうすれば、間もなくカルラが来る。俺は戻らせてもらう」
「……あぁ。ご丁寧にどうも。そうだ。あんた、闇商人としても活動してるんだよな?」
 
 ハンザは娼館を出ようと出口の扉に手をかけていたが、呼び止められ、振り返り答えた。
 
「あぁ。何か売りたい物があれば受け付けるぞ。だが、今はそちらに集中するんだな」
 
 そう言うと、ハンザは今度こそ出て行く。
 すると、程なくしてカルラが入ってくる。
 
「よぉ、さっきぶりだね。そっちの嬢ちゃんも一緒か。まぁ、そこはどうでも良いけど、代金は用意できたんだね?」
 
 カルラの問いに頷き肯定する。
 嘘は言っていない。
 
「そうかい。じゃ、知りたいことを言いな。この周囲から人払いはしてある。それに、この部屋は防音設計だ。聞き耳立てられても大丈夫だよ」
「……」

 少し気になる事があったが、今は突き止めない。
 そして、フィアナが答える。

「はい。聞きたい事は複数あります」
 
 フィアナが口を開いた事に対し、カルラは少し驚き、こちらを見てくる。
 それに対してこちらも頷き、察してくれる事を願う。
 すると、カルラも頷き返し、察してくれたようだった。
 
「まず一つ目は、我々が魔王領側へ渡る手段について知りたいです。方法があるのか無いのか、あるのならばその方法も」
「へぇ……もう一つは?」
 
 フィアナはすかさず返す。
 
「もう一つはこの街で泊まれる宿についての情報です。魔王領へ出る方法が分かっても分からなくても、この街には数日いることにはなります。現在、私達の人数が泊まれる宿は見つかってないので、その情報も欲しいのです」
 
 そのフィアナの言葉を聞き、カルラは頷いた。
 
「分かった。知りたいのはその二つで良いんだね?」
「はい。お願いします」
「あぁ。了解した」
 
 すると、カルラはキセルを口から外し、煙を吐き、答える。
 
「二つ目のともかく、一つ目のは高いよ? 懐事情は大丈夫かい? そうだね……ざっと……」
「いえ、お金は払いません」
 
 フィアナは臆すること無く言う。
 
「代わりに、私達の持つ情報と交換でどうでしょうか」
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