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軍編成について
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「ふむ……軍編成の見直し、か。面白い。父の代から続いてきた我が軍の伝統あるこの編成、ケチを付けるだけでは無く、しっかりとした代替案もきかせてくれよ?」
「はい。勿論です」
サティスはどうやら現状の軍編成に疑問は無いらしい。
しかし、それではこの軍の発展には望めない。
「勿論、現状の編成でも良い点はあります。それは、あらゆる状況に対処が可能と言うことです。防衛戦においてはこれは最大の長所と言えましょう」
そう、現状の魔王軍の戦略ではこれが最適なのだ。
しかし、敵を攻めるのであればこれでは最適では無い。
最悪だ。
戦場には、最強の戦略など存在しないのだ。
「しかし、敵を攻める侵攻作戦の際には、これは最大の弱点となります。野戦における機動力の欠如は、逆にあらゆる状況に対応できなくなります。簡単にこちらの側背を突かれるでしょう。これが、ここまで魔王領が縮んだ理由と言えましょう」
「何だと!? 貴様、黙って聞いていれば!」
「さ、佐切殿!」
すると、こちらの言葉に怒りを覚えたオークのオラグールが胸ぐらをつかんでくる。
それに慌てたジョバンニが割って入ろうとするが、それよりも魔王の方が早かった。
「よせオラグール。煽られて怒りを覚えるのも分かるが、そこで乗ってしまえば佐切の思う壺だぞ」
「で、ですが……」
「……私は黙れと言っている。それが分からんか?」
サティスは少し圧ををかけて言う。
流石は魔王。
一瞬で場が静まり帰り、オラグールも俺を離した。
「す、すまなかった……」
「いや、煽った俺が悪い。殴られても文句を言うつもりは無かった。何なら、殴ってくれても構わない」
「……」
そう言うと、オラグールは恐る恐るサティスを見る。
すると、サティスは頷いた。
「……なら、遠慮無く行かせてもらおう」
「で、殴られた感想は? 勘助、頭良いの? 悪いの? どっちなの?」
「……後悔してます」
レナにスキルで治療してもらいながら反省する。
どうやらサティスもサティスで、魔王軍を馬鹿にされた事にいら立ちを覚えていたらしい。
「さて、続きを聞かせてくれるかな? 私を試すのももう良いだろう?」
「……バレバレでしたか……」
実は、サティスの器を試すため、煽っていた。
そして、狙い通りになった。
サティスは、怒りで暴走気味になったオラグールをしっかりと圧までかけて制止していた。
人の話を聞くときは聞き、失敗した部下は慰め、暴走する部下はしっかりと制止する。
どうやら素晴らしい主に出会えたようだ。
「先ほど言った、魔王領が縮んだ理由、と言うのは謝罪します。ですが、要因の一つであることは事実でしょう」
「……まぁ、確かに魔王軍の敗戦を見れば側背を突かれて軍が壊滅という事例はよくあった。佐切の言う通りなのだろう」
今度は激昂する者はいない。
ならば、このまま続けさせてもらおう。
「なので、編成を見直す事を提案します。そうすれば……」
「勝てる、とでも言いたいのか?」
サティスがそう言う。
俺は即座に頷く。
と、したい所だったが、そうは出来ない。
「……断言はできません」
「……」
サティスは何も言わない。
それもそうだろう。
何処からどう見ても、この戦は勝てる戦ではない。
皆もそれを理解しているのだ。
しかし。
「でも、新たな軍編成、そして、新たな魔王軍の方針で、勝てる可能性が充分にあります。どうか、その指揮をこの佐切勘助にお任せください」
勝てる可能性は、充分にあるのだ。
「はい。勿論です」
サティスはどうやら現状の軍編成に疑問は無いらしい。
しかし、それではこの軍の発展には望めない。
「勿論、現状の編成でも良い点はあります。それは、あらゆる状況に対処が可能と言うことです。防衛戦においてはこれは最大の長所と言えましょう」
そう、現状の魔王軍の戦略ではこれが最適なのだ。
しかし、敵を攻めるのであればこれでは最適では無い。
最悪だ。
戦場には、最強の戦略など存在しないのだ。
「しかし、敵を攻める侵攻作戦の際には、これは最大の弱点となります。野戦における機動力の欠如は、逆にあらゆる状況に対応できなくなります。簡単にこちらの側背を突かれるでしょう。これが、ここまで魔王領が縮んだ理由と言えましょう」
「何だと!? 貴様、黙って聞いていれば!」
「さ、佐切殿!」
すると、こちらの言葉に怒りを覚えたオークのオラグールが胸ぐらをつかんでくる。
それに慌てたジョバンニが割って入ろうとするが、それよりも魔王の方が早かった。
「よせオラグール。煽られて怒りを覚えるのも分かるが、そこで乗ってしまえば佐切の思う壺だぞ」
「で、ですが……」
「……私は黙れと言っている。それが分からんか?」
サティスは少し圧ををかけて言う。
流石は魔王。
一瞬で場が静まり帰り、オラグールも俺を離した。
「す、すまなかった……」
「いや、煽った俺が悪い。殴られても文句を言うつもりは無かった。何なら、殴ってくれても構わない」
「……」
そう言うと、オラグールは恐る恐るサティスを見る。
すると、サティスは頷いた。
「……なら、遠慮無く行かせてもらおう」
「で、殴られた感想は? 勘助、頭良いの? 悪いの? どっちなの?」
「……後悔してます」
レナにスキルで治療してもらいながら反省する。
どうやらサティスもサティスで、魔王軍を馬鹿にされた事にいら立ちを覚えていたらしい。
「さて、続きを聞かせてくれるかな? 私を試すのももう良いだろう?」
「……バレバレでしたか……」
実は、サティスの器を試すため、煽っていた。
そして、狙い通りになった。
サティスは、怒りで暴走気味になったオラグールをしっかりと圧までかけて制止していた。
人の話を聞くときは聞き、失敗した部下は慰め、暴走する部下はしっかりと制止する。
どうやら素晴らしい主に出会えたようだ。
「先ほど言った、魔王領が縮んだ理由、と言うのは謝罪します。ですが、要因の一つであることは事実でしょう」
「……まぁ、確かに魔王軍の敗戦を見れば側背を突かれて軍が壊滅という事例はよくあった。佐切の言う通りなのだろう」
今度は激昂する者はいない。
ならば、このまま続けさせてもらおう。
「なので、編成を見直す事を提案します。そうすれば……」
「勝てる、とでも言いたいのか?」
サティスがそう言う。
俺は即座に頷く。
と、したい所だったが、そうは出来ない。
「……断言はできません」
「……」
サティスは何も言わない。
それもそうだろう。
何処からどう見ても、この戦は勝てる戦ではない。
皆もそれを理解しているのだ。
しかし。
「でも、新たな軍編成、そして、新たな魔王軍の方針で、勝てる可能性が充分にあります。どうか、その指揮をこの佐切勘助にお任せください」
勝てる可能性は、充分にあるのだ。
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